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運動をするとヤセにくくなる?運動指導者・森拓郎さんに聞くヤセる食べ方

 

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運動指導者の森拓郎さんが“運動するとヤセにくくなる”と言うそのわけは?
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──頑張って運動をしなくてもいいんですね!?

森さん:現在の日本のフィットネス人口は約3%で、これはバブル期からほぼ横ばいです。つまり、世の中の97%の人は運動が継続できないということでもあります。運動が流行っているようでいて、フィットネスクラブの実質的な会員数は平行線です。運動はした方がいいですが、「運動を好きになりましょう」と言っても大半が運動嫌いな人や運動したくない人たちなので、嫌々やらなくていいと思うんです。

この本では、運動をしない人が簡単にできる食べ方を書きました。お酒は飲まない方がいいしお菓子も食べない方がいいし、するべきルールはたくさんあります。ただ、100点でなくても60~70点取れれば結果はある程度出るのに、0か100かで考えて、自分は100点取れないからやらないという人がほとんど。しかも100が間違った100であることが多いんです。一生懸命走って、いきなり豆腐とサラダのみにするなど極端にやるのではなく、日常の極悪な食さえ省けばヤセられるんです。

短期間で糖質制限をして運動を激しくやるのは、短期の減量プログラムであって、リバウンドするためにやるのと同じこと。嫌だな、辛いなと思いながら我慢してやるそれはダイエットではなく減量です。健康的な体になるための食事をして、運動するよりも歩くことを少し増やして、それを継続することがダイエットです。

──“ヤセたければ、走るな”とのことですが、走らずに心がけるべきは?

森さん:要は、時間を決めてランニングをしたり、ジムのウォーキングマシンで歩くよりも、日常生活の活動量を増やす方が、結果的に効果が出るということです。わざわざ運動する時間をもうけることは時間とお金の浪費でもったいない。それに30分間、1時間集中的に走っても、燃やせる体脂肪なんてわずか数グラムです。ヤセるために有酸素運動をするよりも、1日のトータルの消費カロリーを増やす方が有効です。しかも、運動習慣をもうけることで“運動している気分”になり、他の時間帯の活動量が低いままだったり、むしろ減ってしまう人が多いんです。運動習慣をやめたら途端に消費カロリーは元通り。体力や時間を無駄遣いするよりも、太らない食生活に切り替えれば、運動ゼロでもヤセることができ、適正体重をキープできるんです。

筋トレではヤセない

──お腹ヤセには「腹筋運動」と思っていました!

森さん:腹筋運動をしてもお腹は凹まないし、ひねってもくびれはできません。筋肉は鍛えたら太くなるものですから“お腹の筋肉をつける運動”でしかありません。腹筋運動をして引き締まった気がするのは、筋肉を鍛えたことでその上の脂肪が引き上がっただけ。やればやるほど細くなることはありません。くびれを作るには、背中とお尻を鍛えて大きいところと差をつけて、ウエストを細く見せることです。いちばん重要で効率的なのは、日々の食事内容を変えて内臓脂肪や皮下脂肪を減らすことです。人がヤセ始める時、最初に落ちるのは内臓脂肪なので、食事を変えるだけで簡単に内臓脂肪は減らせます。

──加齢と共に代謝が落ちてきたら、運動でカロリーを消費しないとヤセないという定説についてはどうでしょうか?

森さん:筋肉を増やして基礎代謝を上げたり、たくさん動いてカロリーを消費するという働きもありますが、それよりも運動が必要なわけは、刺激を入れて体の代謝システムを良くするためです。運動をすると、ホルモンの代謝が良くなるので体の栄養の吸収率が良くなります。加齢と共にインスリンの作用はどんどん低下し、血糖値が下がりにくくなります。すると、摂った栄養がうまく細胞に取り込めなくなってくる。なのに脂肪は蓄えやすくなるんです。そのインスリンの作用をよくするために運動をして、筋肉に栄養がほしくなる刺激を与えると、摂った食べ物の栄養が正しいところへ運ばれるので、代謝が上がるのです。

──「筋肉をつけると代謝がアップする」は間違いですか?

森さん:嘘ではないですが、その恩恵を受けるために筋肉を1~2kg増やすには1~2年かかります。それで得られる1日の基礎代謝量って50キロカロリーと、1食分のお茶碗1杯が大盛りできるようになる程度なので、そんなに意味がないんです。それよりも大事なことは、普段からエスカレーターを使わないなど、1日をトータルで活動的にする習慣をつけることなのです。

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森拓郎(もり・たくろう)

1982年生まれ。運動指導者。大手フィットネスクラブを経て、2009年自身のスタジオ『rinato』(加圧トレーニング&ピラティス)をオープン。ダイエットやボディメイクなど、10年以上の運動指導経験を持つ。栄養学を学び、運動の枠だけにとらわれない指導が支持されている。著名人のクライアントも多く、その指導に定評がある。

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