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行ってはいけないヨガ教室 「根拠のない効果」など7つの注意点

街中で「ヨガ教室」の看板を見ることが多くなってきた昨今。爆発的なブームの中で、先生や教室との間でトラブルが増えているって知っていましたか?

ヨガ教室でポーズをとる女性たち
トラブルも増加。ヨガ教室は見極めが大事(写真/pixta)
写真4枚

ヨガ教室による重度のけがの報告も

「職場近くのホットヨガに2~3日通ったら脱水症状になり、数日寝込みました」(52才事務員)

「インストラクターが『誰でも簡単にできる』と言うので、痛くても無理をして体を捻るポーズをキメたら、肋骨を圧迫骨折しました」(48才主婦)

3000年前から続く古代インドの伝統的修行法であるヨガ。心身を鍛えて健康的になれる手軽なメソッドとして日本でも女性を中心に約650万人が実践しており、今後数年でヨガ人口は1600万人に達するとの予測もある。

一方で、冒頭の声のようなトラブルも急増している。

NHKによると、国民生活センターに寄せられた相談数は2016年度に40件にのぼったが、これは前年度の倍近い数字だ。「肩の腱板を損傷した」「指導に基づいて運動中に圧迫骨折した」という重度のけがの相談もあった。

理学療法士でヨガスタジオ「TAKT EIGHT」主宰の中村尚人さんは、トラブルの増加について「教える側」に問題があると指摘する。

「3000年以上の歴史を誇るヨガには山ほどの流派があり、統一的なルールを作るのが難しいので国家資格などはありません。本来、インストラクターはきちんと経典を読んで体の動かし方や呼吸法を学ぶ必要があるのですが、ヨガブームの中、教室が急増。教える側の知識や技術がおざなりになっている。それがトラブル増加につながっていると思います」

健康のためにヨガを始めたのにけがをしてしまっては本末転倒だ。そこで、いいヨガ教室を見極める7つのチェックポイントを伝授する。

【1】ホットヨガ教室の壁

カビが繁殖したヨガ教室のイラスト
写真4枚

室温35~39℃前後、湿度60%前後に保たれた室内で行うホットヨガ。多湿な環境で発汗を促し、老廃物を排出させる「デトックスヨガ」として最近人気を集める。

だが、ヨガ教室「Rire YOGA&Kidsdance studio」の講師を務めるインストラクターのKouさんは「ホットヨガは要注意です」と話す。

「教室が高温多湿なので、壁にカビやバクテリアが生えて不潔な環境になりやすく、カビ防止で塩素や銀イオンを利用することによるにおいも出やすい。ヨガは呼吸が大事なので、カビやカビ止めなどの不快なにおいに体が反応し、体調を崩すことがあります」

米国では体質的に合わないのにホットヨガをした人が心筋梗塞になった例もある。

「ホットヨガは相性が大切なので、希望者は必ず体験レッスンを受けましょう。教室が清潔でなかったり、体質的に合わないと感じたら、体験レッスン以降は受講を避けるのが無難です」(Kouさん)

【2】インストラクターの経験年数を聞く

インストラクターの経験年数も大切なポイントだ。

「ヨガを教えることは想像以上にハードで、すぐ辞める人も多い。経験や知識のないインストラクターは生徒に無理なポーズをさせることが多く、けがをするリスクが増します。本来ならば10年以上の経験者が求められますが、少なくとも3年以上のインストラクター歴はあった方がいい」(Kouさん)

【3】インストラクターの師匠や資格をチェックする

伝統の継承を重んじるヨガは、「誰に教わったか」が重要な要素となる。

「ヨガはのれん分けの世界なので、インストラクターには必ず師匠がいます。さらに師匠の師匠をずっとたどっていくとインドの先生に行きつくはずです。インストラクターに『先生は誰に学んだのですか?』と尋ねて答えられなかったり、ルーツがインド人でなければ、その先生のヨガは自己流の可能性が高い。伝統のヨガとは違うものを教えていると理解すべきです」(中村さん)

インストラクターのプロフィールも、HPなどでしっかりチェックしたい。

「『インストラクターの〇〇です。楽しくやりましょう!』という呼びかけではなく、いつどこで誰に師事したか、細かく記されているほど安心できます。きちんとヨガを習っていないインストラクターに指導されると、けがにつながるだけでなく、ヨガにとって最も大切な“心を整える”効果も期待できません」(中村さん)

「資格」も安心の目安になると言うのはKouさん。

「けがのリスク回避という面では理学療法士、看護師、鍼灸師やスポーツトレーナーなど、体の仕組みについて詳しい資格を持つインストラクターなら安心です」

【4】レッスン生は20名以内

1クラスの参加人数も教室選びのポイントだ。

「1人のインストラクターが参加者のポーズなどをきめ細かに指導できるのは20名までといわれます。80名規模の教室もありますが、個人にあった丁寧な指導を求めるのならば、20名程度のところがおすすめです」(中村さん)

【5】「鏡」の有無

ヨガ教室でポーズをとる女性たちのイラスト
写真4枚

エアロビクスやダンスは教室の一面が鏡であることが当たり前だが、ヨガ教室では鏡はマイナス効果となる。

「鏡があるとついつい自分のポーズを人と比べてしまいます。実はヨガにとって姿勢の美しさは大切ではなく、ポーズをとっている時に、自分の内面をいかに見つめてそこを磨けるかが重要です。鏡があるとつい気になって内面のチェックが疎かになり、ヨガ本来の効果が損なわれます」(Kouさん)

【6】効果を謳いすぎない

「子宮ヨガ」は、骨盤まわりの血流やリンパの流れをスムーズにし、体を内側から温めながら免疫力をアップさせ、子宮や卵巣を温めると謳う。

「月ヨガ」は、ヨガで子宮や骨盤を活性化し、心身の健康を手に入れることで徐々に月のサイクルと月経期間を合わせることを謳うものだ。

いずれも最近生まれた新しいタイプのヨガだが、科学的な効果は立証されていない。

「ヨガが心身に好影響を与えることは科学的にも証明されていますが、伝統的なヨガの本流に則ったメソッドでなければ心身の変化は起きにくい。あまり根拠のない医学的効果を大々的に謳う教室には注意しましょう」(Kouさん)

多種多様な流派があるなか、「自分たちこそいちばん」とアピールする教室にも注意。

「そもそもヨガは多様性を学び、『確かにそれもいいけれど、これもいいよね』という中庸的な態度を養うものです。“われこそはいちばん”と言っている教室はヨガ的ではありません」(Kouさん)

【7】スピリチュアルに走る

お金を請求するスピリチュアルヨガインストラクターのイラスト
写真4枚

ヨガは精神面を重視するだけに落とし穴もある。

「ヨガはどうしてもスピリチュアルの要素が入りやすいですが、『この石を買うとハッピーになれます』などと物品販売をする教室は避けるべきです。“見えない世界”を取り扱い始めたら気をつけましょう」(中村さん)

よい教室、よいインストラクターに出会えれば、3000年もの伝統の恩恵にあやかれるはず。チェックポイントを参考に素敵なヨガ教室を見つけて、新しい自分に出会いましょう。

イラスト/大窪史乃

※女性セブン2018年8月9日号

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