不調改善

「毒出しうがい」の正しいやり方と効果は?1日3回食後に行うだけで病気予防&改善に!

健康な歯や歯肉を保つには食後の歯磨きが大切。だが、正しい歯磨き法を学ぶ機会はあっても、うがいについては、ほとんど教わっていない。正しくうがいをすれば、虫歯や歯周病、口臭はもちろん、誤嚥性肺炎や糖尿病、認知症などの予防・改善につながるという。さっそく、その方法を身につけよう。

マウスウォッシュのグラスを手に親指を立ててポーズをとる女性の写真
あなたのやり方、合ってます?(写真/アフロ)
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歯磨きセットを常に持ち歩き、外出先でも歯を磨くよう心がけている人は多いが、「せっかく落とした汚れを、きちんとすすがず、口の中に残してしまっている人も多い」と嘆くのは、歯学博士の照山裕子さん。

「水を口内にたっぷり含んでも、軽くクチュクチュするだけでは、汚れをしっかり洗い流すことはできません。また、風邪予防のうがいのように、のどをゴロゴロと鳴らすうがいでは、歯の周囲がきれいになりません。食事をした後の食器は、洗剤で洗った後に水でしっかりすすぎますよね? 歯磨き後の口の中も、同じようにすすぐ必要があるんです」(照山さん・以下同)

すすぎが不充分で、口の中に食べかすなどの汚れが残っていれば、これをエサにバイ菌が繁殖。体に悪さをする原因のプラーク(歯垢)ができ、虫歯や歯周病になってしまう。そこで、照山さんはプラークのもとになる、食べかすやバイ菌を“毒”と考え、しっかり排出するためのメソッドを考案。『毒出しうがい』と命名した。

「毒出しうがい」の正しい方法を解説

「口の中を上下左右の4か所に分け、1か所ずつ、水を強く速く動かして洗浄します。この時、口に含む水は、1回につき約30mlくらいが適量で、おちょこで1杯分くらいが目安です。多すぎると口を力強く動かせなくなり、少なすぎると水圧がうまくかからず、洗浄効果が低くなります」

適量の水を含んだら、口をしっかり閉じて10回クチュクチュと大きな音を立ててうがいを行い、水を吐き出し、次のところに移る。この時、ゆっくり行うと歯と歯の間や、歯と歯茎の境目に食べかすなどが残ってしまうので、できるだけ速く行うことが大切だ。

音が大きいほど洗浄効果は高くなる。さらに、フロスで歯間掃除をした後に行えば、水の通りはさらによくなる。

(1)鼻の下と上の歯の間をクリーニング

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水を含んだら、鼻の下と上の歯の間で水が動くように、鼻の下が膨らむくらい強く、速く筋肉を10回動かす。

(2)下の歯と唇の下をクリーニング!

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水を含んだら、下の歯と唇の下の部分で水が動くように、唇の下が膨らむくらい強く、速く筋肉を10回動かす。

(3)右ほおの内側をクリーニング!

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水を含んだら、口内の右側で水が動くように、右ほおが膨らむくらい強く、速く筋肉を10回動かす。

(4)左ほおの内側をクリーニング!

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水を含んだら、口内の左側で水が動くように、左ほおが膨らむくらい強く、速く筋肉を10回動かす。

効果的に行うコツは?歯磨きできなくてもOK

写真/ゲッティイメージズ
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「歯磨きを行えない場合も、食後すぐに毒出しうがいをすると効果的です。食べたり飲んだりしてから8時間経過すると、口の中に残った糖分をエサに増えたバイ菌がかたまりを作り始め、24時間後には目にも見えるプラークになります。こうなると歯ブラシで丁寧にブラッシングをしないと取り除けません。プラークになる前に、バイ菌のエサとなる汚れを口から洗い流せるのが、毒出しうがいです。極端な話、歯を磨かなくても、飲食するたびにクチュクチュとうがいをしていれば、口の中はいつも清潔。バイ菌が増殖する隙を与えません」

また暑い時季は、冷やし中華などの糖質が多い麺類、アイスクリームなどの甘いもの、熱中症予防のためにと、スポーツドリンクやジュースなどを飲む機会が多いため、口臭や虫歯がひどくなる傾向があるが、このうがいでこれらも予防できる。

「飲食してそのまま放置すると口の中には糖分が残って酸性になっています。すぐにうがいをする、それが無理なら水を飲む。これだけで歯へのダメージが違ってきます」

病気リスク軽減や老化防止にも役立つ

さらに、シニアの老化防止にも、毒出しうがいは有効だ。

「のどを鍛えるのは大変ですが、クチュクチュと音を立ててうがいをすることで、口の筋肉、舌の筋肉が鍛えられます。飲み込む力の衰え防止になるので、今すぐ始めてほしいですね。最初から10回するのは疲れるかもしれませんが、5回くらいから始めて、徐々に回数を増やしましょう。もちろん10回以上クチュクチュしてもOKです」

日本人の20才以上の約8割は、歯周病にかかっているといわれている。歯周病になると、血糖値を下げるインスリンの働きが低下し、糖尿病のリスクが約2倍になり、アルツハイマー型認知症を悪化させ、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクが約3倍に。また、妊婦の場合、早産や低体重児出産のリスクが約7倍になるという報告も。

だが、食後に歯を磨いたり、毒出しうがいをして口内を清潔に保つことは、さまざまな病気のリスクを軽減させることにつながる。

子供の場合は口を閉じる力がつくことで、口呼吸や“ポカン口(くち)”を脱し、鼻呼吸のトレーニングにもなる。特別な道具は必要なく、コツを覚えれば歯磨きよりも簡単で短時間でできる。上の手順を参考に、誰もが習慣化すべき健康法を身につけよう!

教えてくれたのは:照山裕子さん

歯学博士、日本アンチエイジング歯科学会理事の照山裕子さん
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歯学博士、日本アンチエイジング歯科学会理事

撮影/矢口和也

※女性セブン2019年9月19日号

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