不調改善

免疫力UPにも効果的!睡眠の質を高める方法12選を医師が伝授

忙しく睡眠時間がなかなかとれていないという人は注目! 実は睡眠時間を増やさなくても睡眠の質を上げることで、生活の質が上がり、病気の予防にもつながるそう。

寝ている女性
写真/アフロ
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そこで「睡眠の重要性」と「睡眠の質を上げるコツ」を伝授! 今回、内科医の山下あきこ先生が「fracora(フラコラ)」を手掛ける協和に明らかにした内容から紹介していく。

睡眠の重要性とは?よい睡眠が自律神経を整える

寝ている女性
写真/アフロ
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経済協力開発機構(OECD)が行った平均睡眠時間の調査「Gender Data Portal 2019」によると、日本の睡眠時間は世界的にも短いとの結果が出ている。

「眠れない、夜中に起きるなど睡眠の悩みを抱えるかたは年々増え、睡眠負債が日本の社会課題です。1日に7時間以上寝るのが理想と分かっていても、仕事、家事、育児と忙しく睡眠時間を捻出するのが難しいのが現実です」(山下あきこ先生・以下同)

そんな現状の中、山下先生は「睡眠時間を変えなくても、睡眠の質を上げるといい」と言う。

山下あきこ先生
山下あきこ先生
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「よい睡眠をとると、自律神経の働きがよくなって、心も体も調子がよくなります。自律神経は、胃腸、心臓、血管を動かし、汗や体温を調整し、体を一定の状態に保つ司令塔のような働きをしています。

自律神経には、交感神経と副交感神経がありますが、交感神経は活動するときに活発になり、筋肉を緊張させたり、心臓の鼓動を早くしたりします。一方、副交感神経はリラックスモードで家族と過ごしたり、お風呂でリラックスしているとき優位になります。体を休めて栄養を吸収するメンテナンスの時間ですので、筋肉や血管は緩み、胃腸は活発に働くんです」

自律神経のしくみ
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自律神経が乱れると、肩こり、高血圧、糖尿病、うつ病などの生活習慣病が起こりやすくなるそう…。では、どんなときに自律神経が乱れるのか?

「自律神経が乱れる原因の1つは、交感神経が活発になりすぎていること。例えば、大昔、狩りをしているときの人間は、数十分間緊張する程度でした。現代は、仕事や人間関係で緊張状態が長くなり、交感神経を働かせ続けています。

2つ目には、副交感神経が活発になる深夜から朝にかけて、質のよい睡眠がとれていないこと。人間の体は、昼の光で交感神経が、夜の暗さで副交感神経が活発になります。現代では24時間常に光が灯せるので、太陽の動きや体内時計を無視した夜型の生活を続けていると、自律神経が乱れ、体調が悪くなります。

寝起きの女性
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日中、交感神経が過剰に働いている場合は、夜に副交感神経を働かせる時間、つまり睡眠の時間をしっかりとることで1日のバランスがよくなります。また、免疫力アップにもつながり、病気の予防にもなります」

よい睡眠をとることが、健康な体作りに効果的なのだ。ちなみに、よい睡眠をとるには、メラトニンと呼ばれるホルモンが必要で、それには朝の過ごし方と栄養の摂り方がポイントになるそう。

メラトリンの仕組み
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「メラトニンは“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンから作られます。セロトニンがよく分泌されると、夜ぐっすり眠れて、昼間の幸福感も高まる、うれしいホルモンです」

ここからは、睡眠の質を上げるコツをご紹介!

睡眠の質を上げるコツ【就寝編】

【1】寝る時間と起きる時間を一定に!週末の寝溜めはNG

寝る時間と起きる時間をなるべく一定にする。夜勤や海外出張で睡眠サイクルがずれると、体のダメージにつながる。週末の寝溜めは、“社会的時差ぼけ”と言われ、体にはよくないため、できる限り睡眠サイクルを一定にしよう。

【2】寝る時間に向かって体温を下げる

お風呂に入っている女性
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体温変化も、寝つきに影響する。寝る時間に向かって体温を下げていくと、寝つきがよくなる。温かいお風呂にはいるなら、寝る1~2時間前に済ませ、寝る前ならばぬるめのシャワーがベター。寝室の温度は、少し涼しめの方が体温が下がりやすい。

【3】スマホやテレビは寝る90分前まで

スマホを見ている女性
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パソコンやスマートフォン、テレビなどから出るブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制してしまうため、寝つきが悪くなる原因に。ブルーライトを発生させるものは寝る90分前から消すのが理想だ。

至近距離でブルーライトがはいるスマートフォンは、特に注意が必要。就寝前のSNSやネット検索は、さらに興奮や覚醒を促してしまうので、できるだけ止めよう。夕方以降、自宅の照明を徐々に暗くしたり、ブルーライトカットめがねを活用するのもオススメだ。

【4】アロマの香りで寝つきのよさをアップ

ラベンダーのアロマオイル
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香りを認識する嗅神経は脳から直接出ており、香りがダイレクトに脳に伝わる。神経を鎮めるラベンダーは、寝つきをよくしてくれる。

香りを選ぶときは、効能よりも自分が好きな香りを選んで。寝具や部屋にスプレーしたり、入浴剤、ハンドクリームを使うのも効果的だ。

【5】「ボディスキャン」で寝つきをよくする

マインドフルネス瞑想
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「ボディスキャン」とは、体の感覚に注意を向ける方法。寝る前に行うと寝つきがよくなる。体の各部分の感覚をありのままに観察していく、マインドフルネス瞑想の1つだ。

【6】寝室は真っ暗に

寝室はできれば真っ暗にするのが◎。アイマスクをしても、皮膚が光を感じて、メラトニンを抑制する。子供の場合は、弱い光でも、点灯下の就寝は近視になる確率がアップするので、子供と同じ部屋で就寝する人は気をつけて。

【7】寝る姿勢は仰向け

仰向けで寝ている女性
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寝る姿勢は、仰向けがおすすめ。仰向けは、胸郭が開きやすく、全身の筋肉がリラックスしやすい体勢。横向きでは、片方の肩や腕に重力がかかり背骨や歪みの原因に。ただし、睡眠時無呼吸症候群の人は横向きの方が、空気の通りがよくなる。

睡眠の質を上げるコツ【起床~日中編】

【8】朝に30分の太陽を浴びよう

太陽の光を浴びている女性
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朝起きたら、太陽光を浴びよう。朝の太陽光が、セロトニンを分泌し、入眠後90分の深い睡眠に有効的になる。

特におすすめなのが、6時~8時30分の間に太陽光を30分以上浴びること。晴れた日の屋外は、室内と比べて100倍以上の明るさがあるため、屋外に出るのがいい。難しいときには窓辺で過ごすのも有効だ。

また、目と皮膚の両方で光を浴びることがポイント。起きたら以下のような行動をとってみるのがおすすめ。

(1)カーテンを開ける
(2)洗濯物を干す
(3)窓際で朝食をとる
(4)通勤でひと駅歩く

窓際で過ごすときには紫外線対策のUVケアも忘れずに。

【9】昼間にリズム運動を

ウォーキングしている女性
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昼間に体を動かすことも重要だ。特にリズム運動は、セロトニンの分泌を促すため、取り入れるとよい。運動=トレーニングでなはく、激しい運動は不要。以下のようなものでも構わない。

(1)腹筋を使った呼吸瞑想
(2)ウォーキング
(3)トランポリン
(4)カラオケでダンス
(5)硬いものをよく噛む
(6)ゴルフの素振り

いつでもどこでも気軽にできる呼吸瞑想は特におすすめ。腹筋を縮めたり緩めたりする腹式呼吸を、午前中にするとベター。

ちなみに、就寝前のハードな活動は快眠には逆効果なので、リズム運動は寝る4~5時間前までに済ませるように。運動のやりすぎにも注意。

睡眠の質を上げるコツ【食べ物・飲み物編】

【10】朝食でたんぱく質、夕食では葉物野菜を積極的にとる

大豆食品
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幸せホルモンのセロトニンが多く含まれるたんぱく質を朝食に、メラトニンが多く含まれる葉物野菜を夕食にとるように。

睡眠ホルモンのメラトニンは、セロトニンから作られ、セロトニンはトリプトファンから作られる。トリプトファンは体内では生成できない必須アミノ酸で、食事からこまめに摂取する必要があるのだ。トリプトファンからメラトニンに合成されるまで時間がかかるので、朝しっかりと食べてトリプトファンを摂取し、寝る前のメラトニンを蓄えよう。

トリプトファンが豊富な食材は、大豆食品やナッツ、煮干し、麩、ごま、さば、あじ、鮭、卵など。ビタミンB12と一緒に摂取すると、体内でメラトニンにスムーズに合成できる。

睡眠ホルモンであるメラトニンは、白菜、キャベツ、レタス、ハムなどに多く含まれる。これらは合成する必要がないので、夕食での摂取でも大丈夫。

朝食
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朝食は、ご飯に豆腐の味噌汁、納豆、鮭、卵があると理想。忙しい朝は、トリプトファンとビタミンB6が多く含まれるバナナでも代用OK。

夕食には、葉物野菜を多く取り入れ、糖質が多く含まれる甘いものやご飯、アルコールなどの摂取を減らすことで、血糖値の変動を抑え、安定した眠りにつなげることができる。

【11】カフェインは14時頃までがベター

コーヒー
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カフェインはアドレナリンなどの分泌を促進させ、興奮や覚醒の作用があり、カフェインを飲んだあと、血液中で半分の濃度になるまで8時間かかる。体内に残っていると寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなる原因に。つまり、15時に飲んでも、23時頃まで残っているので、飲むなら昼食後の14時頃までがベターだ。

また、カフェインにはメリットもあり、朝飲めば目覚めがよく、日中の集中力や注意力をアップすることにつながる。飲むタイミングを考え上手につきあって。

【12】アルコールは摂りすぎないように!週に2~3日の休肝日を

乾杯している女性
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アルコールのとりすぎは、睡眠の質に影響を及ぼす。眠りの前半には眠りの浅い状態であるレム睡眠の状態が少なくなり、記憶の整理ができなくなる。深酒した翌日に前日の記憶を失ったりするのは、これが原因だ。

寝始めは深い睡眠になるが、その後は浅い眠りが続き熟睡感が得られない。また、アルコールの利尿作用でトイレに目覚める確率が上がり、さらに眠りを阻害。アルコールは摂取量をコントロールし、週に2~3日の休肝日を作ろう。

「12の項目のうち、まずはできるところから始めるとよいでしょう。私が絶対にしないことは、寝室にスマホを持ち込むことです!」

この人に聞きました:山下あきこ先生

医学博士、内科医、神経内科専門医、抗加齢医学専門医。2016年に株式会社「マインドフルヘルス」を設立。アンチエイジング医学、脳科学、マインドフルネス、コーチングを取り入れたセミナーやweb情報配信サービスを提供し、生活の中で賢い選択を習慣化できるよう支援している。

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