更年期

【更年期の悩みを解決!】不眠を解消する4つの方法を薬剤師が指南

女性の閉経前後、45歳から55歳くらいの時期は一般的に「更年期」と呼ばれ、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。

眠れない人のイラスト
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最近の不調ってもしかして更年期のせい…? いわゆる更年期の症状といわれるものに思い当たる節はあるけれど年齢によるものだから仕方ない、とあきらめている人は、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師の清水みゆきさんが教える更年期症状の対策をチェック。4回にわたって更年期症状との付き合い方をレクチャーしてもらう。

「更年期症状の改善には、食事や運動など生活習慣の見直し、ホルモン補充療法などがありますが、楽に症状を軽くしたいという人には漢方がおすすめです。漢方薬とは、中国から5~6世紀頃に日本に伝来し、独自の発展を遂げた漢方医学で使用される薬です。医療現場でも使われるなど医薬品として認められており、症状に合った漢方をのむだけで効果を実感できますよ」(清水さん)

第1回のテーマは「更年期の不眠」。更年期の不眠症状には、不安を感じて寝付きにくい、夜中に汗をかいて目覚めるなどの特徴があり、このような症状を感じたら更年期のせいだと疑っていいという。更年期の不眠の原因と根本から不眠を改善するための方法を知り、快適に過ごすために役立てて。以下、清水さんによる解説だ。

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更年期の不眠の原因とは?

2人の女性が喧嘩をしているイラスト
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更年期には、ホルモンバランスが乱れやすくなります。女性ホルモンの分泌が急激に低下することで自律神経が影響を受け、寝付きにくくなったり、夜中や早朝に起きてしまったりするのです。

◆睡眠不足は肥満の原因に

たかが眠れないだけだから…とそのままにしておくと、日常生活に支障が出て、精神不安やうつ病につながる恐れもあるので注意が必要です。

また、睡眠不足は実は肥満の原因にもなります。睡眠時間が短いと、日中の代謝が落ちる上に、食欲増進ホルモン「グレリン」の分泌量が増え、逆に食欲抑制ホルモン「レプチン」は減るため、太りやすくなることが分かっています。最近太ってしまった…という場合は、夜眠れない日が続いていないか振り返ってみてください。

すぐにできる!更年期女性の不眠の改善法

布団の中でスマートフォン
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更年期の不眠によって、精神的にしんどくなったり、ダイエットの努力を無駄にしないために、自宅で簡単にできる改善法で、ぐっすり眠れる生活を取り戻しましょう。

◆質のよい睡眠のための日々の工夫

生活習慣を工夫することは、質のよい睡眠への近道です。
自律神経を整える4つのポイントを実践してみてください。

・朝はできるだけ同じ時刻に起きると、睡眠のリズムが整いやすくなる。
・体内時計のスイッチを入れるために、起きたらまず太陽の光を浴びる。
・寝る1~2時間前までにゆっくりお風呂にはいってリラックスを。(40℃前後のぬるめのお湯に10~30分浸かるのが理想的)
・寝ながらスマホは厳禁!
(夜はパソコンやテレビ、スマートフォンなどブルーライトを発する電子機器の使用はなるべく避ける)

牛乳とバナナのイラスト
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◆乳製品や大豆、バナナで脱・不眠体質

寝る前に食べすぎると体の負担になり、睡眠の質の低下につながります。できれば、夕食は寝る3時間前までに終えたいもの。夕食の時間が遅い人は、意識して消化のよいものを食べるようにしましょう。

また、自然な眠りを誘う作用のあるホルモン「メラトニン」の分泌不足を防止することも有効です。体内でメラトニンの原料となるアミノ酸「トリプトファン」を含む食品をとり、メラトニン合成がスムーズに行われるようにしていきましょう。例えば、牛乳、チーズ、大豆製品、バナナなどがおすすめです。

そして、コーヒー、緑茶、チョコレートなどカフェインが含まれるものには覚醒作用がありますので、敏感なかたは寝る前5~6時間は避けましょう。アルコールも眠りが浅くなる原因となりますのでできる限り控えるとよいですね。おすすめの飲み物は、リンデンフラワー、カモミールなどリラックス効果があり、安眠に導くハーブティーです。

◆眠りやすくするためのツボ押し

リラックスできて、気持ちよく眠ることができる効果が期待できるツボは3つあります。ツボ押しはテレビを見ながらでもできるので、気軽にやってみてください。

失眠の位置を図解
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◆失眠(しつみん)
足の裏側、かかとの中央の少しへこんだ場所を強めに刺激する。

安眠の位置を図解
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◆安眠(あんみん)
耳の後ろにある尖った骨から指1本分下がった場所をやさしく押す。

神門の位置を図解
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◆神門(しんもん)
手のひら側(内側)の手首にある小指よりの端にあるくぼみを親指で刺激する。

◆漢方薬で不眠を根本から改善

漢方薬は天然の植物や動物由来の生薬で作られており、睡眠薬のように“強制的に眠らせる”のではなく、「不眠の原因を解消する」ことで、自然な眠りを回復し、睡眠の質を高めます。症状の緩和と根本的な不調改善を目的としているのです。

漢方医学では、不調の原因は、気・血・水や五臓六腑(特に心・肝・脾)のバランスの乱れであるとされており、漢方は、この乱れを改善して自律神経のバランスを整えたり、自然治癒力を高めることで、不調を引き起こしにくい体質へと改善してくれるため、根本的な解決につながると考えられています。

睡眠薬には抵抗があるというかたでもとり入れやすく、のむだけでいいという点も継続しやすいポイントです。不眠の原因は人によって異なりますので、原因に応じて適した漢方をとり入れるとよいでしょう。

不眠に悩む人におすすめの漢方

・気持ちが落ち込み気味で寝付きが悪い、眠りが浅く夢をよくみる人に

【加味帰脾湯(かみきひとう)】
精神を安定させる血が不足するとなかなか眠れません。また、気の熱を冷ますことができず眠りが浅くなります。そこでこの漢方は、脾(胃腸)のはたらきを高めて血を補い不眠を改善します。

・疲れているのに眠れない、何度も目が覚めるかたに

【酸棗仁湯(さんそうにんとう)】
心身ともに疲れすぎると、かえって軽い興奮状態になり逆に眠りにくくなります。そんなときに、気や血を補いつつ神経の高ぶりを鎮めることで不眠を改善します。

・ドキドキ感があったり、小さな音が気になって眠れないかたに

【柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)】
イライラや不安で眠れないときに、気を巡らせて体にこもった熱をさますことで不眠を改善します。

私のお客様の中には、43歳になった頃から夜、布団にはいると動悸や汗が止まらず、寝付きにくくなり、眠れたとしても眠りが浅くてすぐに起きてしまうという更年期による不眠症状に悩まされていましたが、漢方薬を2週間ほど続けたところ寝付きやすくなったというかたもいます。

漢方と薬剤師のイラストイメージ
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ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶ必要があるので、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師等に相談して購入するのが安心です。自分に合った漢方薬が知りたいけれど、近くに漢方専門薬局がない…という場合には、「オンラインAI漢方」など、インターネットで漢方を購入できるサービスを活用するのもおすすめです。

睡眠薬に頼らずに更年期の不眠改善を

「最近なかなか眠れない」「睡眠が浅くて寝た気がしない」…そういった不眠は、更年期の女性ホルモンの減少による自律神経系の乱れが原因かもしれません。

眠れないからと睡眠薬をのむ前にできることがあります。漢方をとり入れたり、食事や生活習慣の工夫をしたり、リラックスを心がけて質のよい睡眠を手に入れましょう! ぐっすり眠れると、朝の目覚めもすっきり。昼間も活動的に過ごせるため代謝も高まり、ダイエットにも効果的と言えます。そして心地よい疲れは、さらに良質な睡眠につながります。更年期による不眠症状もあきらめずに、できることから始めてみましょう。

教えてくれた人:薬剤師・清水みゆきさん

清水みゆきさんの写真
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しみず・みゆき。漢方薬・生薬認定薬剤師。JAMHA認定ハーバルセラピスト。製薬企業の研究所勤務を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康つくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。現在は「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」の薬剤師として働きながら、漢方やハーブの通信講座の運営や、セミナー講師としても活動中。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/

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