不調改善

痩せるカギは朝!ご飯、運動、間食などダイエット成功のための習慣を身につけて痩せ体質に

そろそろ本格的な秋が近づいてきて、ここらへんで夏太りを解消したいもの。どうやっても体重が落ちにくい…悩んでいるあなたにピッタリなのが、やせるタイムスケジュールの導入だ。

6時に起きて朝日を浴び、1時間以内に軽い運動と食事をすませる――。午前中から実践すれば、体調が整い、みるみる体重が減っていくのがわかるはずだ。世界中の科学的根拠を網羅した目からウロコの“やせる時間割”を公開する。

4割の人が”コロナ太り”した

ベッドの上で気持ちよく目覚めている女性
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1都3県の30~50代の男女のうち、新型コロナウイルスの影響で1kg以上“コロナ太り”したと答えた人が4割にのぼることが判明した(マーケティングリサーチ会社のアスマークが8月3~5日に東京、千葉、埼玉、神奈川で実施した「ダイエットと食品表示に関する調査」による)。

ところが、増えてしまったぜい肉をなんとか落とそうとして、ハードな運動や食事制限をがんばっても、なかなか結果が出ずに嘆いている人も少なくないだろう。

しかしそれは、あなたのがんばりが足りないのではなく、本来人間が持つ体の特性との、ちょっとしたタイミングのズレが原因かもしれない。

体内時計と肥満との関係は?

ベッドで横になる女性
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2017年10月、生物の概日リズム(サーカディアンリズム)、つまり体内時計に関する「時計遺伝子」を特定し、その仕組みを解明したアメリカの研究者3人が、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。体内時計とは、人間の体内に備わった時間リズムのことで、1日単位で調整されている。

◆体内時計が狂うと糖尿病、がんなどのリスクも

体内時計研究の第一人者で、早稲田大学先進理工学部教授で先端生命医科学センター長の柴田重信さんが解説する。

「脳の視交叉上核と呼ばれる部分に体内時計の親時計があり、太陽の光を浴びることによってリセットされます。さらに、内臓や筋肉、血液などの末梢組織のそれぞれに、個別に働く子時計が機能しており、食事によってリセットされることがわかっています」(柴田さん・以下同)

これらの体内時計が狂うと、睡眠障害や高血圧、心臓病、糖尿病などの代謝障害に始まり、免疫・アレルギー疾患、うつ病、そしてがん発症のリスクまで高まることがわかっている。注目したいのは、体内時計がずれることで、肥満になる可能性も高まることだ。

◆早寝早起きを心掛けた人は減量

「昨今の新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が増えた結果、就寝時間も起床時間も遅くなった人が増えているようです。しかも、調査結果をまとめている段階ではありますが、体内リズムが夜型化した人に、太った人が多く、早寝早起きを心掛けた人は少し減量できていることがわかってきました。

起きる時間が遅いと、毎朝リセットされるはずの体内時計が正常に働けない。その状態のまま、本来は内臓が休息する時間帯のはずの夜間に食事をする機会が増え、結果、エネルギーが消費できずに蓄積されてしまい、太りやすくなったと考えられます」

つまり、朝寝坊しただけで、体内時計のリズムが狂い、太りやすくなってしまうのだ。

ダイエット成功のカギは朝の習慣

ここ数年、世界中で体内時計をつかさどる時計遺伝子についての研究が進み、次々と新たなメカニズムが解明されてきた。

予防内科医で米国予防医学学会にも所属している中村康宏さんによると、体内時計はすべての細胞のDNAの中にあり、特にホルモン分泌のバランスに大きくかかわっているという。

◆体内時計を整えるとダイエット成功につながる

「ホルモンは自律神経や消化管を動かす、信号のようなもの。体内時計を整えるとホルモンの分泌を正常化するため、私たちの体が本来持っている機能を働かせ、ダイエットを成功させることにつながります」(中村さん・以下同)

では、どんなことに注意して、“やせる体内時計”を整えていけばいいのだろうか。

朝日を浴びてが体内時計を正常化

コーヒーを手にゆっくり朝食をとる女性
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体内時計を整えるために最も重要なのは、“起床からの1時間をどう過ごすか”にある。

「われわれヒトの体内時計は、1日を約24.5時間のリズムで動いています。これを地球の自転による24時間周期に合わせるためには、朝起きたらすぐに太陽の光を浴びてリセットする必要があります。朝寝坊を繰り返すと、このリセットがうまくいかず、毎日少しずつ体の生理的サイクルがずれてしまうのです」

(※体内時計がちょうど24時間でない理由は、季節によって日照時間が違うことなどに体が臨機応変に対応できるよう、幅をもたせているのではないかと考えられているが、詳細はまだ解明されていない。)

◆暗いうちに起きても意味がない

つまり、早寝早起きが健康にいいとはいえ、まだ暗いうちから早起きしても意味がない。日の出の時間を目安に起き、いまの季節なら、朝6時の起床がちょうどいい。

また、朝日を浴びると「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの分泌がストップし、すっきりとした目覚めを得られる。そして再びメラトニンが作られるのは、朝日を浴びてから12~14時間後。夜に良質な睡眠をとるためには、カーテンを開けて、しっかり朝日を浴びることが大切だ。

舌を磨いて味覚を敏感に

睡眠中は唾液の分泌が減るため、口の中では虫歯や歯周病の病原菌が増えることがわかっているが、舌にも“舌苔”と呼ばれる汚れが付着する。そしてこの舌苔が残っていると、食べたものの味がわかりにくくなり、味の濃いものを好むようになってしまう。

◆歯磨きと一緒に舌を磨く習慣を

そこで歯と一緒に舌も磨いて舌苔を取り除けば、薄味でもおいしく感じ、食べすぎや調味料の摂りすぎを防ぐことができる。“朝食前の歯磨き”は、意外にもダイエットには重要なのだ。

朝食は目覚めから1時間以内に

ヨーグルトを食べる女性
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脳にある親時計は、太陽の光が目の網膜を通して入ってくることで朝になったことを認識してリセットされ、動き始める。一方の、臓器などにある子時計は、光に関係なく、食事によって動き出すことがわかっている。

「朝起きてすぐに食事を摂り始めると、親時計も子時計も同じリズムで一日を動きますが、朝食を抜いて正午に最初の食事を摂った場合、子時計のリセットが1時間ほど後ろにずれてしまいます。これでは、脳のリズムと臓器のリズムがバラバラに動いているようなもの。体の中で時差ボケが起きている状態で、体調不良や病気を招きかねません。朝食は、起きて1時間以内に摂って」(柴田さん)

◆血糖値スパイクを防いで昼食後も活動的に

朝食を抜かずに摂る必要性はほかにもある。時間栄養学に詳しい管理栄養士の麻生れいみさんが解説する。

「朝食を食べないでいると昼の血糖値が急上昇してしまう可能性があります。セカンドミール効果といって、まずきちんと朝食を食べることにより、次に食べる昼食の血糖値の上昇が緩やかになり、俗にいう血糖値スパイクを回避できます」

理想は「旅館の朝ごはん」

時間栄養学によると、栄養素の代謝も時間によって変化することがわかっている。たとえば炭水化物に含まれる糖質がインスリンの分泌を刺激し、体内時計を動かすが、インスリンは朝に感受性が高い。

他方のたんぱく質にもインスリンに代わって体内時計をリセットさせる働きがあることが、早稲田大学理工学術院の研究により明らかになった。

「たんぱく質の吸収率は、夜よりも朝の方が高い。朝にたんぱく質を摂ると筋肉が大きくなりやすいという研究があり、筋肉が増えれば基礎代謝が上がり、ダイエットにつながります。朝食ではご飯やパンといった炭水化物と一緒に、卵や肉料理、乳製品を摂るといいでしょう」(麻生さん・以下同)

◆みそ汁と青魚がいい理由

一碗のみそ汁
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さらに、朝食には、みそ汁と青魚もおすすめとも。

「朝、青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸のDHAとEPAを摂ると、脂質代謝が改善されることが産業技術総合研究所による研究でわかっています。みそ汁のみそに含まれるトリプトファンは、睡眠ホルモンのメラトニンの原料になります。これらすべての栄養素が摂れる、旅館の朝食で出されるようなメニューが最適です」

朝食の前に30分の散歩を

ウオーキングする女性
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体内時計を正しく始動させるためには、朝日を浴びて朝食を摂ることだけでできるが、さらに効率を高めたいなら、朝食前に散歩などで軽く体を動かすとよい。

「朝の散歩は、日光を全身で浴びることで、運動自体にもリセット効果があります。筋肉はもちろん、胃腸も動き出して食欲がわきやすくなる。消化を助け、排便にもつながります」(柴田さん)

また、英・バース大学とバーミンガム大学の共同研究によると、軽い運動後に朝食を摂ることで、脂肪の燃焼が2倍になることがわかっている。朝の運動はダイエットに有効なのだ。

◆ウオーキングなどあくまでも軽い運動を

とはいえ、朝は筋トレやランニングなどのきつめの運動は避けた方がいい。

「“モーニングサージ”といって、朝の5時頃は血圧が上がりやすい。脳梗塞や心筋梗塞の発症が朝に多いのはこのためで、高血圧の人はこの時間に無理して運動をしない方が賢明です」(中村さん)

散歩やウオーキング程度の軽い運動に抑えてほしい。

10時の間食はフルーツかヨーグルト

バナナやオレンジ、スイカなどのフルーツがテーブルにならんでいる
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朝食後にお腹がすいたら10時に間食をしてもいい。

「フルーツの果糖は中性脂肪にすぐに変わるものの、午前中は脂肪の吸収率が低い。ヨーグルトなどの乳製品にも脂肪が含まれるため、この時間帯の間食に向いています」(麻生さん)

朝の“やせるタイムスケジュール”まとめ

やせる時間割を実践する際に重要なのは、きちんと朝起きて一日の始まりをリセットすること。そのうえで有効な、やせ時間の刻み方をお伝えする。「朝の行動」を制すれば“やせる習慣”が身につく!

◆6時 起床

カーテンを開けて朝日を浴び、体内時計の親時計をリセット。

歯と舌磨きをする
散歩程度の軽い運動を

◆7時 朝食

起床後1時間以内に食事をし、体内時計の子時計をリセット

必ず朝食を摂る
次に食べる昼食の際の血糖値の上昇が緩やかに。

炭水化物とたんぱく質を積極的に摂る
たんぱく質は、夜より朝の方が吸収率が高い。朝のみそ汁は、みそに含まれるトリプトファンの作用で良質の睡眠をサポート。

◆10時 間食

朝食から3~4時間後にフルーツや乳製品を

※女性セブン2020年9月10日号

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