スキンケア

若々しい肌のカギは「脂の摂り方」。肌トラブルの予防&改善に役立つ食事法3つのポイント

月経前になると気になる、肌トラブル。女性なら多くの人が経験する悩みだろう。実は、肌トラブルは食事の仕方を変えることで予防や改善が可能だという。そのカギを握るのは「脂」だという。

顔のシミを気にする女性
写真/ゲッティイメージズ
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『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)の著書がある管理栄養士でインナービューティープランナーの木下あおいさんに教えてもらった。

生理前に吹き出物が出やすいのはなぜ?

「そもそもニキビができるのは、毛穴に古い角質が溜まり、皮脂が排出できないから。ではなぜ毛穴が詰まってしまうのか。それは、ストレスで増える男性ホルモンや、生理前に増える黄体ホルモン、プロゲステロンが、肌の表面を硬くしてターンオーバー(肌の再生)の正常化を妨げるからだと言われています」(木下さん・以下同)

肌トラブルを撃退する脂の選び方

ホルモンのせいなら仕方ない…とあきらめるなかれ。木下さんは、食事法を改めれば吹き出物を予防することができるという。具体的には、「食事で使う脂、つまり脂質との付き合い方」を改めることがポイントだ。

◆摂るべき脂とその注意点は?

脂質と聞くと、かえって肌をギトギトさせるようなイメージがあるが、中には良質な脂がある。木下さんはこの2つを区別し、良質な脂をとり、そうでない脂を控えるように指南している。

「脂質は、炭水化物・たんぱく質と並んで、実は体内でエネルギー源となる大切な栄養素です。肌の新陳代謝を促してターンオーバーを正常化し、肌細胞の炎症を抑えたり、毛穴のつまりを解消してニキビを予防する働きもあるんです。特に摂ってほしい良質な油は、体内で作ることができない必須脂肪酸のn-3系脂肪酸、いわゆるオメガ3系脂肪酸です」

器に入ったアマニオイルと亜麻仁の花
摂るべき脂のひとつ亜麻仁油(写真/GettyImages)
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オメガ3系脂肪酸は、亜麻仁油、えごま油、そしてさんまやさばを始めとする青魚の油に多く含まれている。ただし、摂り方次第では逆効果になる。

「油は酸化すると体内で細胞を傷つけ、体への悪影響が懸念されます。その点、オメガ3系脂肪酸は、加熱に弱く酸化しやすいのでご注意を。作ってから時間が経つと酸化するので、作り置きやお弁当には適しません。亜麻仁油やえごま油なら食べる直前に、ドレッシングとして生のままかけたり、スープに垂らしたりして摂るのがおすすめです。そこに栄養価の高い旬の野菜や発酵食品の力を掛け合わせれば鬼に金棒ですね」

◆摂らない方がいい脂は?

一方、同じ必須脂肪酸でも過剰に摂らない方がいいのはn-6系脂肪酸。サフラワー油(ハイリノール)、グレープシードオイル、ひまわり油(ハイリノール)、とうもろこし油などに多く含まれる。聞きなれない油が多いが、実は市販の加工品や外食先で使われがちだという。

「n-6系脂肪酸と並んで、お肉などに多く含まれる飽和脂肪酸も、過剰に摂取するとニキビのもとになるといわれています。生理前や肌トラブルが気になるときは、避けた方がいいでしょう」

上記を踏まえ、吹き出物ができそうな月経前や、できてしまったら、次の3つのポイントを実践してみよう。

肌荒れを予防&撃退する3つの食べ方

【1】外食をやめ簡単でもいいから自炊する

自炊の最大の目的は、外食などによる“油”を抜くことだ。

白いお皿にのったシナモンロールパン
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「お菓子、パン、お総菜、ファストフードなどの外食には、酸化した油や、前述のn-6系脂肪酸が含まれていることが多い。私の料理教室の生徒さんでも、3日間抜いただけで、肌荒れが改善したという声はよく聞きます」

【2】調理の際に油は使わない

肌が荒れているときは、炒め物や揚げ物は避けること。

箱に入ったフィッシュアンドチップス
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「加熱に油を使うと、シワやたるみの要因になります。油自体が酸化し、お鍋の温度が上がることで肌や体を老化させる原因となる物質であるAGE(糖化最終生成物)の量が増えてしまうからです」

そこでおすすめは、ウォータースチームを使った調理だ。これは文字の如く、油を使わず、少量のお水と塩で蒸して、甘みを引き出す調理方法。

「ウォータースチームは、鍋さえあれば誰でもできます。例えば野菜を調理する場合、鍋に大さじ2杯程度の水を入れ、野菜を平たく並べて高い位置から塩を振り、ふたをして弱火で蒸していくだけ。とても簡単ですよね。しかも低温でじっくり火を通すので栄養素を壊しにくく、素材本来の味が引き出されてとてもおいしく仕上がるんです。

低温蒸しにすると、どれだけ栄養素が残るの?とよく聞かれるので、一例を挙げましょう。例えばキャベツの場合、100度で1分加熱すると残るビタミンCは84.5%。それが60度の低温なら1分の加熱で93.7%も残り、低温の方が10ポイント近くのビタミンCを多く摂れるんです」

【3】“美肌食材”を積極的に摂る

木下さんイチオシの美肌食材は、モロヘイヤやほうれん草などの青菜、にんじん、ブロッコリー、ケール、きのこ類などだ。

「要は、ビタミンA・C・E、B2、葉酸が含まれている食材です。まず、モロヘイヤやにんじんなどに多いビタミンAは、皮膚や粘膜の潤い、乾燥予防に一役買います。脂溶性ビタミンなので、肌にいい亜麻仁油やえごま油をかけて食べたり、魚と一緒に摂ると相乗効果が期待できるでしょう。

市場に並んだbroccoliやカラーピーマンなど
写真/GettyImages
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次に、アセロラやパプリカ、ブロッコリー、ケール、ピーマンに多いビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲン作りに役立ちます。ビタミンEと同様、抗酸化ビタミンとして体内のサビを防ぐ働きも。

続いて、きくらげなどのきのこ類やひきわり納豆に多いビタミンB2は、皮膚や粘膜を整え、葉酸はつや肌を作ると言われています。葉酸は、ほうれん草などの青菜やブロッコリー、ゆでた枝豆などに多く含まれていますが、水溶性ビタミンなので、栄養素を逃がさないよう、みそ汁やスープに入れたり、生で食べてほしい。前述のビタミンCやB2などと合わせて摂取すると吸収率も高まります」

自炊が面倒でも、上記の食材の中から使いやすく、手にはいりやすいものを鍋に入れて少量の水と塩で蒸すだけでいい。野菜の甘みだけで十分おいしいが、物足りなければ亜麻仁油やえごま油をプラス。これだけで、簡単美肌料理のできあがりだ。

白いお皿の上に乗ったサバの味噌煮さらに上にしめじやネギなどがのっている
写真/『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)より
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木下さんの著書『ママになっても美しい人の食事術 食べ方ひとつで人生が変わる』(PHP研究所)には、他にも油や砂糖を使わない、トラブル肌におすすめのレシピが紹介されている。肌荒れに悩む人はぜひ参考にしてみてほしい。

教えてくれたのは:木下あおいさん

管理栄養士の木下あおいさんが男の子を抱っこして笑っている
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管理栄養士。社団法人日本インナービューティーダイエット協会理事長。都内で、インナービューティーダイエット専門の料理教室を主宰し、インナービューティープランナー(R)として、腸内環境を整え内側からキレイになる美容食を提案している。

木下あおいさん公式ブログ

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