不調改善

1日3食は食べすぎ?医師も実践「1日2食」で病気予防やダイエットにも

新しいダイエットに飛びついては挫折していたあなたに朗報。医師たちが次々と成功する、エビデンスに基づいた“医学的に正しい方法”がありました。しかも健康効果もテキメンとあればやるしかない。それは1日3食ではなく、2食にする方法です。

朝食中のテーブル
「1日3食」をやめると健康に?(写真/Getty Images)
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「1日3食が健康」にエビデンスはない?

「早寝早起き朝ご飯」「下種も三食上臈も三食」──誰もが3食しっかり食べ、特に重要なのは朝ご飯。そんな健康に関する格言は、もはや過去の“間違った常識”になりつつある。

「実は1日3食しっかり食べることや朝食をしっかり摂ることが健康にいいというエビデンスはありません。むしろ1日3食は“食べすぎ”。肥満を招き、高血圧や糖尿病、心筋梗塞、がんなどを引き起こす原因になってしまいます」

◆1日2食生活で体重16kgの医師も

そう話すのは『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)の著者であおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚さん。自身も「1日2食」生活を送って16kg体重を落とし、現在は身長170cmで体重53kg、体脂肪率6.6%のスリムな体形を維持しているという。

“コロナ太り”が蔓延し、肥満が国民病になりつつあるいまこそ、漫然と行っていた「1日3食」をやめるべきとき。医学的根拠に基づいた“失敗しない”実践方法を紹介する。

「1日3食」のデメリット

「江戸時代より前は、一般の人は1日2食の生活が普通でした」

力説するのは、大阪大学招聘教授で医師の石蔵文信さんだ。

「朝早く起きて畑仕事をし、それから朝食を食べてまた仕事をして間食を摂る。その後早めに夕食を摂って眠っていた。3食摂るようになったのは江戸時代になってからで、毎回お腹いっぱい食事するようになったのは昭和40年以降のこと。その頃から生活習慣病が増え始めました」(石蔵さん)

◆胃や腸に負担をかける

特に糖尿病罹患者数は食事量が増えるごとに増えていき、いまでは昭和40年以前に比べて、なんと50倍も増えているという。1日3食のデメリットはカロリーオーバーだけではない。

「食べたものをすべて消化するためには、長い時間がかかります。3食摂ってしまうと、消化しきれないうちに次の食べ物が入ってくる。胃や腸は休む暇がなく、疲れ切ってしまいます。だから意図的に空腹状態をつくって胃腸を休めてあげることが大切。江戸時代以前の日本人は何も食べない状態を8~12時間確保して、胃腸を休ませていた。

私もこの方法を採用し、食事と食事の間を12時間あけることで172cm・67kg、血糖値やコレステロール値も低い状態をキープしています」(石蔵さん)

空腹状態によるメリット

満腹が万病のモトであるのとは逆に、“空腹状態”が生むメリットは大きい。

青木さんは、空腹が長く続き、体内のブドウ糖が枯渇したとき、その代替物質として生まれる「ケトン体」に注目している。

空腹でお腹をおさえている女性
写真/アフロ
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◆ケトン体により活性酸素の発生を抑える

「ケトン体には抗酸化作用があり、傷ついた細胞やDNAの修復に役立ちます。がん予防の原因物質とされる活性酸素の発生を抑えられるほか、オートファジー機能も活性化させてくれます」

オートファジーとは、植物や動物、菌類などに備わっている細胞内の浄化・リサイクルシステム。免疫力を上げ、生活習慣病をはじめとしてさまざまな病気から体を守り、体の健康維持を促す効果がある。

ほかにも、腸内環境の改善による便秘の解消や、自律神経が整うことで「片頭痛が治まったという人もいる」(石蔵さん)というから驚きだ。

「1日2食」を成功させる2つのルール

ダイエット効果に加えて健康維持や病気予防まで、一石三鳥の「1日2食生活」だが、長年慣れ親しんできた食生活は、簡単には変えられない。どうすれば1日3食を2食に減らせるのか。

脳神経外科医でエビデンスに基づいた「食欲マネジメント」を行い、1日2食を実践している菅原道仁さんは2つのルールを守ればうまくいくと言う。

「1つは、夕食を摂るなら就寝の2時間前までに済ませること。満腹の状態で眠ると睡眠の質が下がります。もう1つは、食事と食事の間を“12時間あける”こと。例えば朝7時に起きて朝食を食べるのであれば、遅くとも夜7時までには夕食を終わらせたいですね」(菅原さん)

大きい皿にエビフライや餃子などが盛り付けられている
写真/Getty Images
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◆朝昼夕のどの食事を抜けばいい?

朝昼夕のどの食事を抜くかに決まりはなく、自分のライフスタイルに合わせて選べばOKだという。

「体内時計を考えると、理想は朝しっかり食べ、昼を中くらいにして、夜を抜く。ただし、夕食はだんらんの時間で、家族と食事することで癒されたりストレス発散になるという人は、朝を抜いてもいい。私も朝寝坊したときは、朝食を食べずに出勤する形で、空腹時間を設けることもありますよ」(青木さん)

◆3食時のカロリーを超えないように注意

食事する時間の習慣を変えたら、次に注意したいのはその内容。特に気をつけたいのは、空腹のあまりに「ドカ食い」してしまうことだ。

「2食に減らしても、3食食べていたときに摂っていたカロリーを超えないようにしてください。多くの“ドカ食いしたい”という欲望は、3食満腹で食べていたときの習慣が染みついた脳が生み出したいわば“フェイクの食欲”。本当にお腹がすいているのか、体の声を聞いてください。もし、どうしても空腹に耐えきれなければ、2食に慣れるまでは野菜スープや、豆腐などを間食として2~3回に分けて摂るのもいい」(菅原さん)

間食をとることで食欲をコントロールする

青木さんも自身の経験から、「間食」が重要だと声をそろえる。

「徐々に慣れていきますが、最初の1か月は空腹でイライラしたり、つらい思いをすることもあります。そこで注意すべきは、欲望を抑えすぎないこと。私はお腹がすいたらナッツ類を食べています。

糖質が少なく、含まれる脂質の多くは血液サラサラ効果のある健康にいい不飽和脂肪酸。種類によって差はあるが、ビタミンやミネラル、食物繊維も豊富。ナッツ類を習慣的に食べている人は、食べていない人に比べて20%も全死因死亡率が低かったという調査結果もあるほどです」(青木さん)

成功のカギは“間食”にあり。くるみやチョコレートなどを持ち歩こう(写真/Getty Images)
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◆飴やチョコレートでドカ食い防止

石蔵さんは空腹に耐えきれなかったとき、あえて甘いものを食べるという。

「私は常に小さな飴やチョコレートを持ち歩き、どうしても耐えられないときに1粒食べています。小さいものならばドカ食いすることもないですし、ほどよく血糖値を上げてくれます」(石蔵さん)

久しぶりに、お腹が鳴る音を聞いてみる?

※女性セブン2021年1月21日号
https://josei7.com/

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