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コロナ禍で活況の外貨預金、今こそ始めるタイミング!? メリット&リスクは?

新型コロナウイルスの流行で、先行きが不透明な暮らしの中、将来のお金に対して不安を抱く人が増えている。不安解消のために、貯蓄だけではなく資産運用も考えておきたい。かといって投資信託や株はハードルが高い…そんな人に注目を集めているのが外貨預金だ。そのメリットとリスクとは?

外貨預金を始める人が増加

2020年3月以降の急激な円高で外貨預金を新たに始める人が増えているという。外貨預金に力を入れるソニー銀行では、外貨預金の売買高は2019年と比べて2020年は約2倍だった。

パソコン画面を眺めている女性
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◆為替差益を目的とした短期売買が増加

同行広報担当の篠原奈穂子さんは「新規の口座開設数も、ペースは緩やかながらも着実に増加しており、主に為替差益を目的とした短期売買が増えたことが背景にある」と明かす。世界経済が混乱するなかでも、賢い人はお金を有効活用して得しているようだ。

コロナ禍で進んだ円高

実際、これまでと比べて現在はどのくらいの円高なのか。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也さんが話す。

◆ドル円相場は一時101円台に

「昨年3月以降のコロナショックでドル円相場は一時101円台まで上昇し、最近は103~104円台の水準で推移しています。過去15年間、ドル円相場は80~120円台で推移していることから見れば、101円台に近づく頃にドルを買っておけば、将来的にプラスになる可能性はあるのではないでしょうか」(上野さん・以下同)

そもそも外貨預金とは?そのメリットは?

そもそも外貨預金とは、日本円を米ドル(以下、ドル)などの外貨に換え、その外貨で銀行に預金すること。では、なぜ円高になると得するのか。

「円高のときにドルを買っておけば、円安に転じたときに売ることで資産が増える可能性が高い。例えば、1ドル=100円のときに50万円をドルに換えた場合、1ドル=120円になったときにまた円に戻すことで、単純計算で1円当たり5000円の為替差益が得られ(為替手数料、税金は除く)、合計10万円得します」

貯金箱にお金を入れている
写真/ゲッティイメージズ
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◆日本より高い他国の預金金利

また、その他のメリットとして「金利」もある。日本の銀行の普通預金金利は0.001%と超低金利のため、お金を預けていても利息は微々たるものだが、他国の預金金利は日本に比べて高いことが多い。例えば住信SBIネット銀行の場合、米ドルの1年物定期預金金利は0.2%、豪ドルやニュージーランド・ドルの1か月物定期預金なら6%と比較にならないほど高い(金利は2021年1月現在)。

もっとも、直近では、コロナによる経済の打撃を下支えするため、アメリカやヨーロッパは大規模な金融緩和を行っている。主要国の金利は多くの銀行で日本と同等の低水準となっていることから、金利のメリットが得られる通貨が限られることには注意が必要だ。また、高金利の国の通貨でも、その国の政治リスクや経済状況をしっかり下調べして、納得したうえで預金するのが得策だろう。

空港を歩く女性
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◆円以外の資産へ分散投資する意味

外貨預金のメリットは他にもある。上野さんは、「長い目で見れば、円以外の資産を持つことに意味がある」と話す。

「日本の人口減少や高齢化がこの先も続くことを考えると、将来的に日本の国力は低下していきます。為替の世界では、強い国の通貨は買われ、弱い国の通貨は売られます。グローバルな視点から言えば、円預金しかしていない人は、全財産を特定の通貨に集中させていることになり、仮に今後為替相場が円安方向に動き続けた場合、保有する購買力(モノやサービスを買うことができる力)が目減りしていくと考えることもできます。それを防ぎたいのなら、世界の基軸通貨であるドルなど、日本円以外の強い国の通貨に資産を分散させておくこともできます 」

外貨預金は、海外旅行のときにもメリットがある。 日本円を外貨に両替するときは手数料がかかるうえ、円安(日本円の価値が低い)ときに両替すると損することがある。しかし、あらかじめ円高時に外貨預金をしておけば、預け先の金融機関が提供しているデビットカードなどを使って、預け時の為替レートでそのまま買い物できるのだ。コロナが収束した後のことを見据えて、海外旅行で使うための外貨を妥当な水準で買っておくのも手だろう 。

外貨預金のリスクと金融機関選びの注意点

メリットの多い外貨預金だが、注意点もある。

「円高のときに買っても、購入時よりさらに円高になれば『為替差損』が生じます。円高時にお金を引き出す事態にならないよう、外貨預金は余裕資金で行うようにしましょう」

東京タワーが見える夜景にお金のイメージが描かれている
写真/ゲッティイメージズ
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◆金融機関によって異なる為替手数料

では、実際、外貨預金を始めるとき、どうやって金融機関を選べばいいのか? 注意すべきは、円から外貨、外貨から円にお金を換える際、「為替手数料」がかかることだ。金融機関によって手数料には大きな違いがあるため、できるだけ安い金融機関を選びたい。例えばドルの場合、メガバンクの為替手数料は通常1ドル当たり25銭~2円かかるが、住信SBIネット銀行やソニー銀行など実店舗を持たないネット銀行の場合、4~15銭で済む。一方、金利については、メガバンクもネット銀行もキャンペーンや優遇金利を展開していることもあるため、お金を預ける金融機関はよく吟味するのが良いだろう。

◆今後のドル円相場はどうなる?

上野さんは、「2021年のドル円相場は1ドル=100~110円のレンジで動く」と予想する。1ドル=101円に近づいてきたタイミングで、今年こそ外貨預金を始めてみては。

教えてくれたのは:上野泰也さん

上野泰也さん
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みずほ証券チーフマーケットエコノミスト。1963年生まれ。上智大学文学部卒業後、1986年会計検査院入庁。1988年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行し、為替ディーラーなどを経て、2000年のみずほ証券設立に伴い、現職に就任。「日経公社債情報」や「日経ヴェリタス」など数々のアナリスト・エコノミストランキングで1位を獲得。著書に『No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本』(かんき出版)などがある。

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