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間食=太るは間違い!? 間食の適切な選び方やおすすめ、とるタイミングを解説

長引く自粛生活で「ちょっとひと口」が増えていませんか? ストレスもたまるし、わかっちゃいるけど、つい食べてしまいがち。でも、間食には栄養補給や癒し、気分転換など、生活に潤いを与える役割のほか、上手に食べれば健康によい効果をもたらす面もあるとか。では、何をどう食べればいいのでしょうか?

いろいろなフルーツが入ったグラス
間食は上手に食べれば怖くない!(Ph/Getty Images)
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間食をとる人の割合は?アンケート調査

カーリング日本女子代表チームが2018年、平昌五輪のデッドタイムにいちごなどを食べる姿や、2019年にゴルフの渋野日向子プロがラウンド中に駄菓子を食べる「もぐもぐタイム」が、注目を集めたこともあったが、コロナ禍で間食が増えたという人はあなただけじゃない。

女性を対象にした間食に関するアンケート【*】によると、約7割の女性が「毎日2回以上」もしくは「ほぼ毎日」間食しており、間食をしないのは2.8%のみという結果が(グラフ参照)。同アンケートでは、約6割の人が間食に罪悪感を抱いているという。

あなたは間食をしていますか?グラフ
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間食に罪悪感はありますか?アンケートグラフ
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Q.間食することについて マイナスだと思うことは?

1.肥満の原因になる…70.5%
2.つい食べすぎてしまう…58.1%
3.カロリーの過剰摂取になる…57.5%
4.食べるのが癖になってしまう…54.6%
5.余計なお金がかかる…44.4%

【*】リビングくらしHOW研究所による「大人のおやつ習慣についてのアンケート」(「リビングWeb」「シティリビングWeb」にて2017年3月7~12日に全国の女性1595人〈平均年齢43.76才〉へのWEB調査)より。

「間食で太る」のは本当か?

「間食というと甘いものやスナック菓子のイメージが強く、“食べすぎはよくない”“間食は太る”といったマイナス面ばかりが注目されてきた」

そう嘆くのは、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長で、『ウェルネスフード推進協会』会長の矢澤一良さん。

「育ち盛りの子供にとって間食は、夕食までに空腹を満たし、エネルギー補給をする役割があります。しかし、食べすぎて夕食が食べられなくなることも多く、“おやつ=悪いもの”という認識になってしまったのです」(矢澤さん)

◆栄養を摂るために必要という側面も

また、『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)の著者で、管理栄養士の森由香子さんは、

「間食そのものが悪いわけではなく、人によっては体に必要な栄養を摂るために大切なもの。食事で摂りきれない栄養を間食で補給できれば、健康的にやせることもできる」

と、力説する。

「“間食は太る”という固定観念は根強く、目の敵にされがちですが、カロリーや糖質を摂取したくないからと間食をがまんし、極度にお腹が空いた状態で食事をすれば、かえって食欲が暴走し、食べすぎることが多い。間食は、食欲のコントロールにも役立ちます」(森さん)

またお菓子には、デザートとして味や香りを楽しむだけでなく、その場の雰囲気を楽しんだり、ストレスから解放されるリラクセーション効果もある。

「間食には、メリットもたくさんあることを知ってほしい」(矢澤さん)

では、健康にいい食べ方とは何か?

【エネルギー補給】朝~昼の間ならポタージュスープ

食事が充分に摂れなかったときや食事の間隔が長かったとき、運動をした後などは、体内のエネルギーが消費されてしまっているため、体が食べ物によるエネルギー補給を求めてお腹が空く。

この場合の間食は、朝昼晩の3食で摂る食事の全体量を、小分けにしたものをイメージするといい。

「主食のおにぎりやパンなど、主菜としての肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質、野菜を使った副菜などから選んで、間食として食べましょう。つまり、おやつというより補食。不足しがちな栄養を補給するものと考えてください。基本的には、たんぱく質が豊富なものを選びましょう」(森さん)

◆昼食と夕食の間なら枝豆、卵、肉まんを

朝食と昼食の間なら、腹持ちのいいポタージュスープがおすすめで、市販の粉末スープを牛乳や豆乳で溶けば、たんぱく質がしっかり摂取できる。昼食と夕食の間なら、枝豆や卵、肉まんなどを食べるといい。糖質が気になるおにぎりも、鮭などのたんぱく質の具に、のりなどのミネラルをプラスすれば、栄養のバランスがよくなる。

ポタージュスープ
ポタージュスープなら腹もちもよくおすすめ(Ph/Getty Images)
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「野菜不足と感じていたら、みそ汁などの汁ものと一緒に野菜スティックを食べる。カルシウム不足の場合は、コンビニでししゃもを買って食べるのもいいですね」(森さん)

◆食べる量の目安は200kcal以下

ただし、食べすぎないよう、手のひらに収まる程度の量に抑えることが基本だ。

「間食の目安は200kcal以下です。空腹で血糖値が下がっているときに糖質の多いものを食べると、血糖値が乱高下しやすくなります。この状態でお菓子などの甘いものやスナック菓子などを食べると、かえって止まらなくなり、ドカ食いする可能性が高くなってしまいます。

間食を加えた規則正しい食事を心がければ、食後血糖値の急上昇も抑えられ、脂肪をためにくい体になり、糖尿病、高血圧、高脂血症などのメタボ予防にもなります」(矢澤さん)

また、成長期の子供にはカルシウム、妊婦なら葉酸、筋肉の減少が気になる高齢者はたんぱく質、骨粗しょう症が気になるならビタミンDなど、それぞれ不足しがちな成分を含んだものを間食として選ぶと、健康効果も期待できる。

【頭の疲労回復】少量の甘いものwith紅茶がおすすめ

勉強やデスクワークなどで頭を使って疲れると、甘いものが欲しくなる。

脳は体重の2%ほどの重さだが、人の基礎代謝量の約20%を消費すると考えられている。体を動かさなくても頭を使えばお腹が空くのはこのためで、すぐにエネルギーに変換しやすい糖質の多いもの、つまり、甘いものを求める傾向にあるのだ。

「頭の疲労回復に甘いものは、確かに効果があります。なかでもチョコレートやココアには、脳をスッキリさせる効果が高いテオブロミンが含まれています。集中力や思考力を高める働きがあるので、頭の疲れにおすすめといえるでしょう」(森さん)

仕事や勉強中に頭をすっきりさせたいなら、場所を移し、間食に集中して食べるといい。短い時間であってもリフレッシュ効果は高くなる。

◆血糖値が急上昇しないように注意

とはいえ、甘いお菓子には血糖値の急上昇というリスクが伴う。日本栄養精神医学研究会会長で、山口病院副院長の精神科医・奥平智之さんは次のようにアドバイスする。

「甘いものや糖質が多い食べ物を摂ると、その直後は血糖値が急上昇してハッピーホルモンといわれるセロトニンが増え、幸せな気分になります。

しかし、30分~2時間で血糖値が急降下して低血糖状態になり、やる気や集中力が低下。だるさや眠気などの症状が表れます。このため、脳が糖分不足と勘違いして、また、甘いものが食べたくなるという、負のスパイラルに陥ることもあります」

チョコレートならカカオポリフェノール含有量が70%以上の高カカオチョコを1~2かけら、クッキーなら低糖質のおからクッキーやロカボクッキーを1~2枚程度に抑えるのが賢明だ。

上から撮った、紅茶の入ったティーカップ
甘いものを食べるなら、紅茶と一緒に(Ph/Getty Images)
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頑張った自分へのご褒美として、時には生クリームたっぷりのケーキを食べたくなることもあるが、紅茶と一緒に食べるといい。

「紅茶に含まれるポリフェノールのテアフラビンには、脂質の分解を抑制する作用があり、吸収が抑えられます。食後血糖値の上昇を抑えるので、甘いものとの相性は抜群です。

もし、食べすぎてしまった場合は、3日間の食事&間食の量や栄養バランスを考えて調整すれば、リカバリーできます。月に1~2回はちょっと贅沢な間食を楽しみ、頭に癒しを与えるのもいいですよ」(矢澤さん)

【心の栄養】ナッツ類など低カロリーのものを

ひとりで何もすることがない暇なときや、手持ちぶさたなときには、お腹が空いていないのになんとなく食べたい気持ちになることがある。これは、心の奥底に足りない何かを、食べ物で満たそうとする「偽りの食欲」。いつの間にかスナック菓子の大袋を食べきってしまったり、お腹がいっぱいなのに食べ続けていると、間食癖が抜けなくなる恐れがあるため、注意が必要だ。

「本当にお腹が空いているわけではないので、できるだけ低カロリーのものを選ぶといいでしょう。よく噛んで食べる硬いもの、ミックスナッツ、煮干し、するめなどがおすすめです」(森さん)

◆よく噛むことでリラックス効果も

しっかり噛み続けることで少量でも満腹感が得られ、食べすぎを抑えられる。また、噛むことでセロトニンの分泌が高まり、リラックス効果も得られるため、一石二鳥だ。

前出の奥平さんも、精神科医の立場から、ナッツ類、煮干しなどの小魚を間食として推奨する。

「低糖質をベースに、B群を中心としたビタミンや鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル、たんぱく質、オメガ3脂肪酸が豊富な食材を間食に選ぶのが理想的です。たとえば、アーモンドやカシューナッツ、くるみなどのナッツ類は、ビタミンやミネラルが豊富です。煮干しなどの小魚は、鉄や亜鉛などのミネラルや、オメガ3脂肪酸が豊富で、たんぱく源となるので、口寂しいと感じたときにおすすめです。“やる気”につながるドーパミンや、“幸せホルモン”のセロトニンといった、脳内神経伝達物質の生成に必要な栄養素もしっかり補充することができます。

これらの栄養素が欠乏すると憂うつ、イライラ、不安などのメンタル不調につながるので、予防の意味でも積極的に摂るといいでしょう」

炭酸水
炭酸水+レモン&ライムで頭もすっきり!(Ph/Getty Images)
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◆シナモン湯や炭酸水+ライムなども

このほか、シナモン湯もおすすめだ。

「360mlほどのステンレスボトルに、お湯とシナモンスティック2本を入れて30分ほど置けばOKです。甘くてスパイシーなシナモンには、抗炎症や抗酸化、抗糖化、精神安定の効果が期待でき、美容効果も高いので、女性に飲んでほしいですね」(奥平さん)

冷たい飲み物では、炭酸水にレモンやライムを入れると、頭も心もすっきりする。

これらの間食を習慣化すれば、イライラや集中力の低下、やる気が出ない、気分が沈む、疲れやすい、不眠などのメンタル症状の改善や予防につながる。ストレスを感じている人は、試してみてほしい。

間食をとるときの5つのポイント

間食はダイエットの敵で、余分なものと思いがちだが、厚生労働省・農林水産省のホームページにある「食事バランスガイド」をよく見ると、「間食」につながる「菓子・嗜好飲料」がきちんと記されている(イラスト参照)。

→「食事バランスガイド」の詳細はこちら

食事バランスガイド
*「食事バランスガイド」厚生労働省・農林水産省決定(平成17年6月策定)
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「これは、私たちが摂るべき食材を、コマにたとえたイラストで、主食、副菜、主菜、果物、牛乳・乳製品に分類し、望ましい組み合わせと、おおよその摂取量を示したもの。イラストの左下の“コマのひも”が『菓子・嗜好飲料 楽しく適度に』となっています。

つまり、必要な栄養をそれぞれの食材でバランスよく摂った上で、間食を『楽しく適度に』することで、食生活がなめらかに回転していく。間食はコマを回すひものように、健康維持の原動力。大切なことだと行政も認めているのです」(矢澤さん)

だが、お墨付きを得ているとはいえ、やみくもに食べていいわけはない。前出の森さんは“食べていい間食”には、5つのポイントがあるという。

【1】満腹になるまで食べない

間食は、あくまでも食事の補助的存在だ。

「間食をしたいために食事量を減らすのは本末転倒です。次の食事のときに、心地よい空腹感がある程度にとどめましょう。エネルギー補給なら300kcal、頭の疲労なら200kcal、心の栄養なら100kcal以内に抑えること」(森さん・以下同)

【2】低糖質のものを選び、たんぱく質や脂質をプラス

血糖値コントロールの意味でも、糖質を控えることはカロリー以上に重要。だが、糖質と同時にたんぱく質や脂質を摂れば血糖値の上昇が緩やかになることも覚えておこう。「食パンをそのままで食べるより、オリーブ油や無糖ピーナッツバターなどとともに食べた方が、血糖値上昇が抑えられ、腹持ちがよく、ダイエットにもつながります」

【3】間食の食べどきは、小腹が空いたとき

食べるタイミングも重要だ。食後3~4時間たち、次の食事までに2時間以上の間があるときを間食タイムにしよう。

【4】1回5分以内に食べ終える

スナック菓子のようにサクサク、ポリポリした食感のものは、食べるスピードが加速して食べすぎる。最初に食べる時間と量を決めておくこと。また、1口食べたら30回ほど噛むよう心がければ満腹感を得やすく、満足度も高くなる。

【5】おいしいと感じながら、全集中して食べる

食事によって必要なエネルギーを補給しつつ、おいしさを感じて心を満たすことで、食欲は満たされやすいと考えられている。

「おいしいと感じながら食事をすると、脳が反応して必要以上のエネルギーを摂らなくても満足感が得られます。ですが、満足が得られないと、満たされない分をエネルギー量で満たそうとして食べすぎに。高級食材を食べるときのように、ゆっくり噛みしめながら味わいましょう」

人は食べるときに、見た目や香り、口に入れたときの食感、音を楽しむなど、五感をフル活用している。

「五感の刺激が脳に伝わると、血流がよくなり、免疫機能も上がります。罪悪感を持って食べるより、体にいいと思った方が、心理面でもよい影響が期待できます」(矢澤さん)

食べすぎにつながる3つの食習慣

一方、食べてはいけないのは、食べすぎにつながる3つの食習慣だ。

【1】お腹が空いていないのに食べる

間食は、小腹が空いたときに食べるのが基本。食べたくないのに食べるのは無駄食いだ。ただし、お腹が空いていると感じても、それから1~2時間後に食事をするのであれば間食をせず、きちんと食事をした方がいい。

【2】糖質の多いものを食べる

間食といえば、甘いお菓子やせんべい、スナック菓子が定番。これらはすべて糖質が多いので、空腹時に食べると「やめられない、止まらない」状態になって、食べすぎてしまい、間食→肥満につながりやすい。

【3】早食いや、ながら食い

早食いは、食べすぎてしまう要因になる。特にカリカリ、サクサクとしたスナック菓子は、食べるスピードが加速しがちで、注意が必要。"ながら食い"や、だらだら食べ続けるのも、食べすぎにつながる。

これさえ気をつければ、間食しても問題はないのだ。

※女性セブン2021年2月11日号
https://josei7.com/

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