更年期

更年期を“幸年期”にするコツ|家事もたまには手抜きを。少しいい加減ぐらいでOK

更年期は誰にでも平等に訪れるものなのに、症状に個人差があるのはなぜでしょう?

たくさんの女性のイメージイラスト
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婦人科医で成城松村クリニック院長の松村圭子さんに、更年期の乗り切り方を、心の持ちようを中心に教えてもらいました。

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不調には環境と性格が影響する

更年期の不調は、おかれている環境と性格が影響するので、どうしても個人差が出てしまうものです。可能な範囲で環境を整え、自分に厳しくしすぎていないかなど自身の考え方を振り返ってみるのが症状を緩和させる助けになります。

◆楽をできる環境を整える

職場が忙しすぎたり、親の介護をしていたり、反抗期の子供がいたりなど、ストレスフルな環境にいる人は更年期の不調も強く出がちです。中でもパートナーの理解があるかどうかは大きいですね。

いろいろな惣菜
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つらい状況はなかなか変えられないにしても、たまには休んで食事にお総菜を取り入れる、パートナーに家事をやってもらうなど、負担を減らして楽になる工夫をすることは可能です。例えば、ハウスクリーニングなどのサービスもありますし、アウトソーシングすることを恥ずかしいことと考えず、上手に手を抜くようにしていけるといいですね。

◆生真面目な人は症状が重くなりがち

性格的には几帳面で生真面目な人のほうが症状が重くなりがちで、楽観主義だったり、ちょっといい加減だったり、という人はわりと軽かったりします。

更年期にはいると、女性ホルモンが急減することで自律神経が乱れ、できないことが増えてきます。それを「ま、いいか。できないんだから仕方がない」と受け入れられるとよいのですが、「できない自分はダメだ」と自己嫌悪になって無理をすると不調が重くなります。更年期はゆるく前向きに、少しいい加減なくらいでちょうどよいのです。

◆無理して前向きになる必要はない

とはいえ真面目な人は、今度は「どうすれば前向きになれるの?」と悩むかもしれません。そんなふうに「前向きにならなくちゃ」と思うことも、かえって自分を追い詰めてしまいます。

太陽に手をかざす女性
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そうではなく、「人生、こういう時期もあるよね」くらいに思ってください。更年期に大切なことは、自分のハードルを下げることなのです。

更年期を「幸年期」にするためのカギ

体を守っていたさまざまな機能が低下する更年期は、人生の棚卸しの時期。もう若い頃のように無理はできないというサインでもあります。これまでがんばってきた自分をほめてあげて、背負ってきた荷を少しずつ下ろしていきましょう。

◆少し自分中心に人生をシフト

更年期になったと感じたら、ぜひ「自分のために生きる転換期に入った」のだと考えてください。がむしゃらに頑張る時期は過ぎたということなんです。生活のスピードをゆるめて、疲れたときは周囲のことは気にせずに休んでください。そのように少し自分中心に物事をとらえるようにしたら、楽になれると思います。

◆ときめくものを見つける

趣味とか生き甲斐を持っている人は強いものです。常々、更年期世代の女性たちにお伝えしているのが「大事なのは食事・運動・ときめき」という言葉。心が輝いていることが、つらい更年期を乗り切るためのカギになります。そのためにも、自分は何か好きで何がしたいのか、を心に訊ねてみてください。

オンライン授業を受ける女性
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習い事でも、料理でも好きな芸能人を応援する推し活でも何でもいい。これをやっていれば楽しいという何かを見つけて、元気に更年期を乗り切りましょう。

→R50女性たちが語る「趣味のススメ」はコチラ

更年期に意識して摂りたい栄養

ときめいて楽しく生きるためには、しっかり栄養をとることも重要です。更年期の症状に効果的な、3つの栄養素を覚えておきましょう。

さまざまな食材
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◆たんぱく質

女性ホルモンの原料になるたんぱく質は、エストロゲンの減少をゆるやかにするためにも必要な栄養素。たんぱく質は体内に蓄えることができないので、毎回の食事からこまめに摂りましょう。目安となる1食の摂取量は、片手に乗る量。肉、魚なら一切れ、卵なら1個が適量です。

◆イソフラボン

大豆や大豆製品に含まれているイソフラボンは、更年期に減少する女性ホルモン・エストロゲンの不足を補う働きがあります。不調が気になるときは、豆腐、納豆、味噌など大豆を使ったおかずを1日1食食べることを心がけましょう。

◆ビタミンACE

ビタミンACE (エース)とも呼ばれるビタミンA、C、Eは、抗酸化作用があり体の細胞の老化を防ぐ働きをする更年期の強い味方です。組み合わせて摂ることで、より高い効果が期待できます。にんじん、ブロッコリー、かぼちゃなど緑黄色野菜に多く含まれていますよ。

教えてくれたのは:成城松村クリニック院長・松村圭子さん

松村圭子さん
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まつむら・けいこ。1969年生まれ。日本産科婦人科学会専門医。成城松村クリニック院長。広島大学医学部卒業。広島大学附属病院などの勤務を経て、現職。若い女性の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけ、アンチエイジングにも精通している。生理日管理を中心としたアプリ「ルナルナ」の顧問医。西洋医学のほか、漢方薬やサプリメント、各種点滴療法なども積極的に治療に取り入れている。著書に『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『これってホルモンのしわざだったのね』(池田書店)など多数。https://www.seijo-keikoclub.com/

構成/森冬生

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