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病気が潜んでいることも。犬や猫の飼い主が注意すべき”ニオイ”のポイント

普段の暮らしの中で、愛する“わが子”の病気に気づけるかもしれません。ペットの飼い主さんの疑問に、専門家である獣医師が答えるシリーズ。今回は、ペットのニオイについて聞きました。

子犬

Ph/Getty Images

一口に「ニオイ」と言っても体臭や口臭、耳、お尻、フンのニオイなど、どこからのニオイかによって、発生する原因や対処方法が異なるといいます。

犬の体臭の原因は?汗腺には2種類

家族として一緒に暮らしているペットでも、人間にはない特有の動物臭さは気になるところです。ペット臭と相性のいい消臭剤・脱臭剤なども開発されていますが、そもそもニオイの発生自体を抑えることはできるのでしょうか。獣医師の山本昌彦さんに聞いてみました。

「犬や猫のニオイは、いわゆる体臭、口臭、フンのニオイに加えて、耳やお尻からも発生します。ニオイの出る場所によって、ニオイが生まれる原理も異なります。おおまかにでも理解しておいて、それぞれ適切に対策するといいでしょう」(山本さん・以下同)

子犬たち

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◆犬はもともと体臭が強い面も

まずは体臭から。体臭は主に汗腺(かんせん)からの分泌物から生まれるといいます。

「人間と同様に、犬にも2種類の汗腺があります。体温調節のために汗を出すエクリン腺と、いわゆる“フェロモン”などを放つ役割があるアポクリン腺です。エクリン腺からの汗はほとんど水分なのでにおいません。アポクリン腺からの汗は脂質などが混じっていてニオイがします。

人間は腋(わき)の下などにアポクリン腺がありますが、犬は全身にアポクリン腺が分布していて、腺の数が多いので、元来、体臭は強いのです」

シャンプーの頻度はどれぐらいがベスト?

一方、猫は汗腺が肉球など、ごく限られた部分にしかなく、あまり体臭のない動物なのだそうです。では、犬の体臭対策はどうすればいいのでしょうか。

シャンプーされてる子犬

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「シャンプー剤を使って体を洗ってあげることで、ある程度、ニオイは抑えられます。特に皮膚トラブルのない子なら、3~4週間に1回の頻度で洗ってあげるといいでしょう。シャンプーは、皮膚病がなければあまり神経質に選ばなくても大丈夫。ペットショップなどで、飼い主さんのお好きな香りのものをご購入ください」

◆皮膚が薄い犬は洗いすぎに注意

ただし、犬の皮膚は人間に比べて2~3層薄い構造になっているため、洗いすぎると傷めてしまうそうです。あまり頻度を上げないようにしましょう。また、人間とは皮膚のpH(ペーハー、水素イオン指数)が異なるため、人間用のシャンプーは犬には使えません。

口臭は内臓疾患のサインの可能性も

次に、口臭について。犬も猫も、歯の汚れが原因で口臭が強くなることが多いようです。

犬

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「歯に歯垢や歯石が付着していると細菌感染を起こし、口腔内で炎症が起きてニオイがします。要は歯周病ですので、歯磨きで歯垢や歯石が付かないようにすることが大切です。歯ブラシで磨いたり、薄い不織布などで歯表面の汚れをぬぐってあげたりするといいですね」

◆歯石にならないようにケアして

いったん歯石が付いてしまうと自宅で除去できないのは、犬も猫も人間と同じ。歯石にならないようにケアしていきましょう。

「歯垢や歯石以外には、口内の粘膜に腫瘍ができて腐敗臭がするケースもあります。また、胃炎など内臓に疾患があって口からニオイがすることも考えられます。糖尿病のケースもある。口臭がキツいけれど、歯周病でも口内炎でもなさそうという場合は、獣医師の診察を受けることをおすすめします」

注意すべき耳のニオイ

続いて、耳のニオイ。犬も猫も、耳からにおうときは外耳炎のことが多いようです。

子犬

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「耳が通気しにくい構造であることや毛が生えているので蒸れて細菌が繁殖してしまったり、自分で引っかいて傷つけたりして、外耳に炎症が起きることがあります。外耳炎になったペットは、しきりに耳をかいたり、頭を振ったりして、普段と違った行動を取ります。耳をちょっと触ってみると、痛がるようなそぶりを見せる子もいますね」

◆デリケートなので、過度なケアは禁物

しっかり予防してあげたいところですが、犬も猫も耳はデリケートなので、過度なケアは禁物です。

「そっと汚れを拭いてあげてください。その際に専用のローションを使うのもいいでしょう。人間でいう耳かきのようなことは、耳の奥のほうに傷ができてしまう可能性があるので、しないほうが無難です」

ニオイをきっかけに耳の病気を見つけた場合も、自己流で対処するのではなく、動物病院を受診しましょう。

肛門腺トラブルに注意

続いて、お尻のニオイ。犬や猫には肛門の左右に肛門腺(肛門嚢)があります。仲間とのコミュニケーションや個体識別に使う、ニオイのする分泌液を溜めておく器官です。分泌液は排便の際に一緒に出たり、興奮したときに出たりします。

子犬

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「肛門嚢に分泌液が溜まってくると、自分で肛門腺をこすってしまったり、場合によっては肛門嚢が破裂してしまいます。目に見える炎症ですし、ペット自身もお尻を地面にこすりつけたり、しきりと舐めたり、何かと気にする様子が見られると思うので、病院に連れて行ってあげてください」

◆”肛門腺しぼり”は必要?

日頃から人手で“肛門腺しぼり”をする必要があるかどうかは、愛犬や愛猫の体質しだいです。必要があればしぼってあげたり、病院やペットサロンにお願いしたりして、分泌液が溜まりすぎないように気を付けてあげたいですね。

普段のニオイを覚えておくことが大切

最後に、フンのニオイです。フンはどうしてもにおうものですが、特にニオイが強くなるときがあります。

子猫

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「犬や猫はもともと肉食動物です。食べ物を消化する酵素も肉食を前提として備わっているので、繊維質の強い食べ物などを与えた場合に、消化不良ぎみになってフンが臭くなることがあります」

◆飼い主の温かいまなざしがペットの健康を守る

食べ物が合わないと、下痢や血便になることも。ペットの健康状態について、フンを見て分かることも多いので、排便の回数や色、ニオイ、硬そうか軟らかそうかなど、普段から気を付けておくとよさそうです。

「フンもそうですが、犬や猫は人間の言葉がしゃべれないので、普段の状態を飼い主さんが覚えておくことが大切です。うちの子の体臭はこれぐらい、被毛の下の皮膚はこんな色、と覚えておいて、普段と様子が違ったら原因を探る。そうすると病気を早期に発見できると思います。飼い主さんの温かいまなざしが、ペットの健康を守ります」

教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

獣医師・山本昌彦さん

獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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