どん底に突き落とされた主人公が苦難を乗り越えてのし上がる、大切な人に裏切られて愛が憎しみに変わる…。絶望の淵に立たされたからこそ剝き出しになる感情や、ドロドロとした人間関係が魅力の「復讐劇」は、韓国ドラマでも人気のジャンルです。そこで、韓国ドラマに詳しいコラムニストの児玉愛子さんが、数ある韓国ドラマの中から「復讐ドラマ・ベスト3」を厳選しました。
3位『梨泰院クラス』 韓国版“半沢直樹”との声も
御曹司のチャン・グンウォン（アン・ボヒョン）が起こした交通事故で父を亡くしたパク・セロイ（パク・ソジュン）は、グンウォンに暴力を振るって刑務所行きとなる。セロイは犯罪歴を背負い復讐心を秘めながら、ソウルの繁華街・梨泰院で飲食店を開店し、グンウォンの同族経営である外食チェーン1位の居酒屋・チャンガグループに挑む。
「人と違ってもいい」というメッセージも
「韓国の人気ウェブマンガが原作です。高校時代に父親を失った青年パク・セロイが、大手食品財閥への復讐を誓います。韓国版『半沢直樹』ともいわれたドラマで、主演は人気俳優のパク・ソジュン。原作のキャラクターと同じく、特徴的ないがぐり頭で好演しました。
初めは弱者であっても、いつしか持たざる者が持てる者へと成長していく姿に感動を覚えます。舞台となった梨泰院は日本でいう六本木のような街で、さまざまな人種が入り乱れています。サクセスストーリー的な要素だけではなく、ドラマにはマイノリティーな人たちも登場し、『人と違っていてもいい』というメッセージも伺えます」（児玉さん・以下同）
2位『ペントハウス』 韓国で視聴率30％超えの話題作
韓国で瞬間最高視聴率31.1％を記録し（ニールセン・コリア調べ）、社会現象を巻き起こした大ヒット作。ソウルの高級住宅地にそびえる100階建てのタワーマンションに住む3人の女性が中心となって繰り広げられる愛憎劇。
格差社会や不倫をスピーディーな展開で描く
「韓国ドラマといえば、外せないのが“マクチャンドラマ”です。日常ではあり得ない非現実的なドラマのことをいい、本作はまさにそんな衝撃的なストーリー展開になっています。韓国の視聴者はもちろん、芸能人までハマっているという話題作です。ドラマは今年に入ってシーズン2が放送され、ついに視聴率は30％を超えました。すでにシーズン3の制作も決定しています。
韓国の格差社会や不倫などスピーディーな展開で描いているのが魅力。“竜頭蛇尾”と皮肉られる韓国ドラマも多い中、このドラマは“竜頭竜尾”ともいえる勢いで、今、韓国での注目度がもっとも高いドラマ。女性たちのファッションも話題です」
1位『夫婦の世界』 英のヒットドラマをリメイク
イギリスの大ヒットドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』のリメイク作品。ソヌ（キム・ヒエ）は愛する夫のテオ（パク・ヘジュン）と息子に囲まれ幸せな日々を送っていた。しかし夫が浮気をしていることに気づき、しかも浮気相手が妊娠していることを知ると、ソヌは壮絶な復讐を計画する。
『愛の不時着』を上回る人気ぶり
「韓国ケーブルドラマ史上、歴代最高視聴率の28.4％を記録した人気ドラマです。『愛の不時着』をはるかに上回る人気ぶりで、視聴者を熱狂させました。韓国で絶大な人気を誇る女優キム・ヒエが不倫されて、夫に復讐する妻役を熱演します。ドラマは6話で一区切りついたかのように見えますが、その後、新たな展開を迎えて事件へと発展していきます。
不倫相手役を演じた若手女優ハン・ソヒは、女性視聴者から憎まれる存在でありながらも、小悪魔的な魅力を振りまいて一躍人気スターになりました。放送中に彼女が着用した衣装やバッグ、靴までが話題になるほどで、韓国のファッションアイコンとなりました」
◆教えてくれたのは：韓国コラムニスト・児玉愛子さん
東京都出身。日本人の韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、ガイドブック等の企画、取材、執筆を行う韓国ウォッチャー。メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係のコラムを寄稿。
取材・文／小山内麗香
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