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愛犬が認知症になったら…7歳過ぎたペットの飼い主が持つべき心構えとやるべきこと

年を重ねると、体のさまざまなところに不調が出たり、物忘れがひどくなったり…。それはペットも同じです。ペットの健康に関するお悩みについて、専門家である獣医師が解説するシリーズ。今回は、シニア世代の愛犬や愛猫に多い病気や健康トラブルについて。

犬

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犬も猫も、近年は平均寿命が延びる傾向にあります。飼い主さんはその分、老境にはいった愛犬や愛猫と暮らす時間が長くなるので、どんな病気に注意が必要か、知って安心の情報をお届けします。

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犬も猫も長寿命化。健康のピークは2~4歳頃

日本人の平均寿命は、女性が87.45歳、男性が81.41歳(厚生労働省が発表した2019年の「簡易生命表」より)。30年前に比べて5~6歳、長寿命化しています。実はこの長寿命化の流れは、犬や猫も同様です。「アニコム家庭どうぶつ白書」によれば、犬の平均寿命は14.0歳、猫は14.2歳で(2017年度調査)、過去10年ほどの間に人間でいう3~5歳分、寿命が延びているそうです。

獣医師の山本昌彦さんによれば「犬や猫を含め、ほ乳類は全般にメスのほうが長寿命の傾向があります。また、犬では大型犬より小型犬の寿命が長い傾向がありますが、猫ではあまり体格差の影響はみられません」(山本さん・以下同)とのこと。

犬と猫

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犬も猫も7~8歳からシニア世代

一方で、犬や猫の健康のピークは2~4歳頃といえそうです。

「動物病院での診療が必要なレベルの内臓疾患は、犬では2~3歳頃、猫では3~4歳頃が最も少なく、以降は少しずつ病院にかかる機会が増えていきます。犬も猫も7~8歳からシニア世代とみていいでしょう。ペット保険の新規加入条件などでも、7~8歳で区切っている会社が多いですね」

ペットと過ごす年月の後半は、シニアになった愛犬、愛猫との生活になるので、お世話の仕方を知っておきたいですね。

愛犬の老衰や認知症、心構えは?早期発見&対応を意識

「年を取ると、犬や猫も食欲が落ちたり、歩けなくなったり、排泄がうまくできなくなったりしますので、そうした状態に応じたケアが必要になります。さらに、シニアの犬では心疾患や腎臓疾患、認知症、猫では腎臓疾患や甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)に罹るリスクが増します」

犬が老化すると、脚力が衰えて散歩を喜ばなくなったり、踏ん張りがきかないのでトイレの失敗が増えたり、視力が落ちて物にぶつかることが増えたり、認知症をわずらってムダぼえや夜鳴きをするようになったりします。

犬

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「認知症では他に、ぼんやりして元気がなくなったり、飼い主さんの呼びかけに反応しなくなったり、食事をしてもそのことを忘れて食べたがったり、徘徊をしたりといった行動もみられます。老化や脳の疾患が原因で起きると考えられますが、柴犬など日本犬に多いので、遺伝的な要素も関係があるのでしょう」

徘徊や夜鳴きの症状の軽減につながる対策も

サプリメントやフードでの認知症の予防や進行を遅くすることはできるかもしれませんが、残念ながら、人間の認知症ほど原因や発生のメカニズムが解明されておらず、予防や治療の方法も確立されていないのが現状のようです。

飼い主さんが確認できるチェックリストなどをインターネットに公開している動物病院もあるので、参考にして、早めに病気を発見し、進行を遅らせるように努めましょう。

例えば、なるべく日中に散歩や運動、日光浴などをして長時間の昼寝はさせないなど、昼夜の感覚、生活のリズムを維持できるように工夫すると、徘徊や夜鳴きの症状の軽減につながります。

「認知症もそうですし、いわゆる老衰もそうですが、根本的な治療法があるわけではありません。ペットも年を取れば若い頃と同じようにはできないことが増えますが、その状態や病気を受け入れて、なるべく明るい態度で接してあげてください。飼い主さんが悲しんでいると、犬は察します。

ペットの命は私たち人間に比べれば短く、どうしても彼らは先に衰え、先に旅立つ運命です。共に過ごせる時間を、最後までなるべく充実した、楽しいものにしたいですね。介護グッズなどを使って生活をサポートしながら、つらい場合には介護施設の利用も検討するといいと思います」

猫は腎臓疾患や甲状腺機能亢進症に注意!

猫もシニアになると、活動的でなくなって寝ている時間が長くなったり、トイレの失敗が増えたりといった老化現象がみられます。中には認知症にかかる猫も。ただし、猫は認知症を発症する年齢が高いので、その前に別の病気にかかることが多いようです。

猫

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「多くは腎臓疾患ですね。猫は3割以上が泌尿器系の疾患で亡くなります。中でも腎臓疾患は、6歳頃から罹患率が急上昇することが分かっています。定期的な健康診断を受けて、症状が現れる前に疾患を把握して、療法食や投薬を始めることが大切です」

愛猫の尿量などにも日頃から注目を

また、甲状腺機能亢進症もシニアの猫に多い病気だといいます。のどの辺りにある甲状腺から分泌されるホルモンは、体の代謝を活発にする役割を持っていますが、この甲状腺ホルモンの分泌量が増えすぎてさまざまな症状を引き起こすことがあります。

「最も分かりやすい症状は、怒りっぽくなることですね。落ち着きがなくなり、攻撃的になってしまう。それから、水を飲む量と尿量が増えます。代謝が活発になるので、食欲も異常に強まりますが、体は徐々にやせ細っていく。脱毛や毛づやが悪くなったりもします。

治療法は投薬治療と、甲状腺を切除する外科的治療(切除後は甲状腺ホルモン薬を投与していく)があります。この病気も早く見つけて治療を始めることが大切なので、飼い主さんは愛猫の尿量などにも日頃から注目してほしいと思います」

教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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