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マイナンバーカードが健康保険証として使用可能に。知っておきたいメリット6つとデメリット

2016年からスタートしたマイナンバー制度ですが、マイナンバーカードの普及率はなかなか上がっておらず、現在で、交付率は30%となっています(2021年5月5日時点)。

マイナンバーカード
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しかし今年から、マイナンバーカードが一部の医療機関や薬局で健康保険証として使用できるようになる予定です。

今回は、マイナンバーカードの申請方法や健康保険証としての使用方法、さらにメリットとデメリットを特定社会保険労務士の小泉正典さんの監修のもと紹介します。

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いまさら聞けなマイナンバーととマイナンバーカードの違い

マイナンバーは日本に住民票を持つすべての人に与えられる12桁の番号です。社会保障、税、災害の3分野で共通の番号を使用することにより、個人の特定を確実かつ迅速に行う目的で導入されました。

マイナンバーカードは、ICチップが搭載されたプラスチック製のカードのこと。マイナンバー制度が始まった2015年10月頃に送付された「マイナンバー通知カード」とは別物で、申請しなければもらえません。初回交付は無料です。スマホやパソコンからオンラインで申請できるほか、郵便でも申請することができます。

マイナンバーカード
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コンビニで住民票の写しを取得可能

カードのおもて面には本人の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別が記載されており、本人確認の身分証明書としても利用可能です。コンビニエンスストアなどで住民票の写しや印鑑証明書などの公的な証書を取得することもできるほか、マイナンバーカードがあれば、総務省が運営する個人サイト「マイナポータル」から行政手続きの申請を行ったり、世帯情報・税情報を確認することもできます。

健康保険証として使えるマイナンバーカード

すでに3月から一部の医療機関、薬局でマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになりました。本格的に運用が始まるのは秋になりそうですが、2023年3月末までにほぼすべての医療機関等に導入される予定です。

マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、マイナンバーカードを持っているだけでなく、事前に「マイナポータル」から申し込み手続きが必要になります。手元にカードと数字4桁の暗証番号があれば、スマホやパソコン(カードリーダーが必要)でマイナポータルにアクセスできるので、手続きを行いましょう。数字4桁の暗証番号は3回間違えるとロックがかかるので注意してください。

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専用のカードリーダーにカードをかざす

実際に利用するには、専用のカードリーダーが設置されている医療機関や薬局の受付でマイナンバーカードをかざし、顔写真か暗証番号で本人確認を行います。

マイナンバーカードを持っていても従来の健康保険証はそのまま利用できますし、必ずしもマイナンバーカードを健康保険証として利用する必要はありません。マイナンバーカードのICチップには医療データは保存されないので、安心です。

暗証番号がわからなければマイナポータルにもアクセスできません。カード紛失時は24時間対応の窓口に電話をすれば対応してもらえます。

健康保険証として利用するメリット

マイナンバーカード健康保険証として利用するメリットは大きく分けて6つあります。

マイナンバーカード
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同じ健康保険証としてずっと使える

健康保険証は就職や転職、引っ越しのタイミングで取得や再交付が必要でしたが、マイナンバーカードを利用すれば、手続きのタイムラグが関係なく受診できます。

待ち時間の減少

これまでは人が対面で健康保険証をチェックしていましたが、カードリーダーで読み込むことで医療事務の効率化が期待できます。

書類の持参が不要に

医療費の支払い免除を受ける際、これまでは事前に高齢受給者証や限度額認定証などを発行してもらい、窓口に持参する必要がありました。しかしマイナンバーカードを利用すれば窓口での限度額を超える医療費を一時的に支払う必要はなくなります。

マイナポータルで健康管理

将来的には、マイナポータルで薬剤情報や特定検診情報を確認できる予定です。また患者の同意があれば、医療機関は過去の医療データを見ることができるようになります。これによって、不要な治療や服薬を防止することができるでしょう。

医療費控除が便利に

薬
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将来的にはマイナポータルから医療費情報を確認できるようになるので、医療費控除の確定申告の際に便利になります。

政府は2023年3月末までにマイナンバーカードの全住民への普及を目指しており、2024年までに運転免許証と一体化させる方針を打ち出しています。今後、利用できる場面は増えていくと思われます。

マイナンバーカードを持つデメリット

では、マイナーバーカードを持つデメリットはあるのでしょうか。強いて挙げるならば、個人情報漏洩のリスクが出てくるということでしょう。

また、カードの紛失や盗難などにより、カードが他人により勝手に使われる「なりすまし」被害の可能性もあります。実際、日本と同じようなマイナンバー制度を導入しているアメリカや韓国では、なりすましの被害が報告されています。今後、カードの用途が広がっていった場合、新たなリスクが発生することも考えられるでしょう。

→マイナンバーカードの健康保険証利用|マイナポータル

※手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、令和3年6月1日時点での内容となっています。

監修:特定社会保険労務士・小泉正典さん

小泉さん
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こいずみ・まさのり。特定社会保険労務士。1971年生まれ、栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士 小泉事務所 代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は労働・社会保険制度全般および、社員がイキイキと働きやすい職場作りのコンサルティング。監修書に『社会保障一覧表』(アントレックス)、『「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)など。セミナーや講演も多数行う。https://koizumi-office.jp/

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