コロナ禍で『愛の不時着』や『梨泰院クラス』を見て久しぶりに韓国ドラマにハマり、「次は何を見よう？」と悩んでいる人も多いのでは？ そこで、韓ドラ初・中 級者のかたにぜひ見てほしいおすすめのドラマを、『女性セブン』で長年、韓国エンタメを追いかけるライター・田名部知子がご紹介！
仕事に家事に育児、介護…あっという間に日々が過ぎていくと感じている人も多いのではないでしょうか。今回は、中年女性のトキメキと成長、現実の厳しさを温かく描いた、ハートウォーミング・ラブコメディー『2度目の二十歳』をご紹介します。
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チェ・ジウ演じるヒロイン、夫の愛を取り戻すため大学生に!?
『冬のソナタ』『誘惑』など、韓国を代表する女優 チェ・ジウが、40歳にして新たな青春に挑戦。その魅力を再開花させています。
《あらすじ》
高校3年生の夏に、思いがけない妊娠で高校を中退して結婚したハ・ノラ（チェ・ジウ）は、大学教授の夫、キム・ウチョル（チェ・ウォニョン）に離婚を言い渡され、息子のミンス（キム・ミンジェ）が大学に入学したら離婚するという公正証書まで書かされています。
ノラは夫に釣り合う妻になるべく、こっそり大学受験を決意。見事ウチョン大学の補欠合格を勝ち取るものの、息子もウチョン大学に通うことになり、さらには夫のウチョルも偶然、同大学に赴任することに…。
夢と希望に満ちあふれて通い始めた大学生活では、高校時代の男友達、チャ・ヒョンソク（イ・サンユン）に、教授と学生として再会。ヒョンソクにとってノラは、今でも引きずる苦い初恋の相手で、そのせいでノラに意地悪をしてみたり助けてみたり、高校生のような大人げないけんかを繰り返しながら、2人は少しずつ距離を縮めていきます。
【見どころ１】家族のために生きたのに…女性の生きづらさに共感大
ヒロイン・ノラを演じるのは、『冬のソナタ』のヒロイン・ユジン役で、ペ・ヨンジュンと共に韓流ブームの立役者となったチェ・ジウ。2020年、全世界で韓流ブームを巻き起こした『愛の不時着』では本人役で登場し、日本でも再び注目を浴びたことも記憶に新しいでしょう。
“大人ツンデレ”で女性たちの心を鷲づかみに
そんなノラをそばで温かく見守り、支える高校時代の友人を、ドラマ『いとしのソヨン』でミドル層の人気を博したイ・サンユンが演じています。俳優としては遅咲きですが、ソウル大学（韓国一の難関大学）物理学科出身の秀才で、日本でも毎年ファンミーティングを開催するほど人気が高い俳優です。
ノラが気になって仕方がないのに、会うたびに意地悪をしてしまう小学生のような言動が微笑ましく、“大人ツンデレ”という新しいキャラクターで、女性たちの心を鷲づかみにしました。
20年間家族のためだけに生きてきたのに、夫と子供にはバカにされる日々。山ほど作った朝食を食べずに出かけるつれない息子、離婚は自分のせいだと思い込んでいたところに、夫のデート現場を目撃…。ノラの毎日は、それはそれは切ないものです。
そんな日常に疲れ切った中年女性の置かれた現状と夢のはざまで大きく揺れながら、前向きにアラフォーの大学生として、新たな一歩を踏み出すノラには、女性として共感、応援せずにはいられません。
【見どころ２】40代になっても変わらない、チャーミングなチェ・ジウの魅力
チェ・ジウは、38歳のアラフォー女子大生役を40歳のときに演じています（現在は46歳／2021年6月末現在）が、長身でスレンダー、美しい顔立ちは昔のまま。
モラハラ（モラルハラスメント）夫には、教養がない、言葉づかいがなっていないなど毎日さんざん言われっぱなし。そんな点を直そうと愚直に努力を重ねる姿は、悪く言うとかなりドンくさく、最初はかなりイラっときます。
ところが、ノラがなぜそんなふうになってしまったかということがわかってくると、ノラの気持ちに寄り添いたくなり、ともに怒り、涙するようになってくるのです。
大学での授業や若者たちとの交流を通して、ノラは人間としても、女性としても成長し輝き始めます。モラハラ夫に対しても、言いたいことを論理的に言えるようになり、どんどん夫の知らない女性に変わっていく様子は痛快そのものです。
肩の力が抜けたナチュラルなファッションがキュート
登校初日は、マダム感全開でキャンパスでは浮きまくっていたノラですが、次第に大人カジュアルを着こなし、白シャツ×デニム姿にポニーテールなど、肩の力が抜けたナチュラルなファッションの数々はとてもキュート！
はりきって登校してはみたものの、若い大学生たちにはあからさまに拒否され、大学生活は苦難の連続。それでも新生活はトキメキと喜びにあふれ、遅れてきた青春の時間ひとつひとつを、うれしそうにかみしめながら過ごすノラの姿は本当に愛らしくて、抱きしめてあげたくなります。
もともとチェ・ジウは滑舌がいいほうではなく、むしろ舌足らず気味でたどたどしいしゃべり方なのですが、それがヒロインのおっとりとしたキャラクターによく合っているような気がします。
【見どころ3】涙の女王は健在！ハ・ノラの境遇に涙、涙…
“涙の女王”の異名をもつチェ・ジウですが、今回も毎回、毎回よく泣いています。
大学の入学試験の不合格通知を見て号泣、末期のすい臓がんで余命半年と宣告されてバス停で号泣、亡くなった祖母を思い出してポロポロ…。
夫のウチョルは大学で心理学を教えている教授ですが、自分の社会的地位にしか関心がなく、自己中心的で自分を都合よく正当化するタイプ。
20年前、ダンスをするノラに一目惚れして結婚したはずなのに、結婚生活はモラハラ行動の連続で、見ていて本当に胸が痛み、悔しくて泣けてきます。夫にはノラの存在がまったく見えていないのです。
【見どころ4】高校時代の男友達VSモラハラ夫…軍配はどちらに？
ノラをめぐる2人の男性の青年時代と20年後の雰囲気が、それぞれガラリと変わっているのが面白く、年月とともに、イケメン具合も入れ替わっている点にもぜひ注目してください。
ヒョンソクは青年時代、大人時代、どちらもイケメン！
キム・ヒチャン演じる青年時代のヒョンソクは、何をするにも自信がなさそうでイケメンとは言い難いタイプですが、いつも前向きなノラの存在、励ましによって次第に自信をつけていき、ノラに淡い恋心を抱きます。
そして、青年時代のウチョルを演じているのは、俳優集団5urprise（サプライズ）のカン・テオなのですが、熱い眼差しの精悍な青年で、かなりのイケメン！ モラハラ夫も出会った頃はノラをまっすぐに見つめ、さわやかで優しくて頼もしく、確かにこの人だったら人生をかけてもいいと思ってしまうかも!?
大人になったヒョンソクを演じるイ・サンユンは、身長185 cmで脚長、大きなえくぼが魅力の甘いマスクの持ち主で、ノラを陰に日向に見守り、ストーリーが進むにつれてさらにイケメンに見えてくる点も見逃せません。
チェ・ウォニョンが最悪の夫を好演
かたや20年後のウチョルを演じるのは、名バイプレイヤーのチェ・ウォニョン。自分の出世のために家族を犠牲にし、不倫相手の女性教授にも、妻の悪口を散々言うようなみっともなくて情けない最悪の夫を、憎たらしく演じているのが見事です。
モラハラ夫と大人ツンデレな男友達の対比が面白く、自分の人生を歩き始めたノラが、この2人の男性の間でどのように揺れ動いていくのかが、もっとも目が離せないポイントです。
【見どころ５】緑あふれるキャンパスライフを疑似体験
本作は、ソウルに実在する建国大学を使ってロケをしているので、韓国のキャンパスライフを疑似体験できるようで、見ていてとても気持ちがいいのです。韓国の大学はたいていどこも山を切り開いて作られているのでとても広大な敷地を持ち、緑にあふれた解放感が魅力的。コロナが明けてソウル旅行が楽しめる日が来たら、大学のキャンパスもぜひ観光スポットとして取り入れてみてください。
胸キュンだけでなく、“ほっこりパワー”ももらえる作品です。「私の人生、こんなはずじゃなかった…」と誰しも後ろを向きたくなる瞬間はありますが、そんなときはぜひノラのことを思い出してみてください。きっと「私にも何かできるはず！」と前向きな気持ちにさせてくれることでしょう。
『2度目の二十歳』
（全16話／2015年放送）
＜シンプルBOX 5000円シリーズ＞
DVD-BOX1・2 各5000円+税、ほかAmazon Prime Video、Netflix、dtv、huluなどにて配信中。
発売・販売元：エスピーオー
http://www.cinemart.co.jp/hatachi/
（C）CJ E&M Corporation,all rights reserved.
※ 商品情報は、2021年6月現在のものです。
教えてくれたのは：韓国エンタメライター・田名部知子さん
『冬のソナタ』の時代から16年、K-POP、韓国ドラマを追いかけるアラフィフ・オタク記者。女性週刊誌やエンタメ誌を中心に執筆し、取材やプライベートで渡韓回数は100回超え。韓国の食や文化についても発信中。2018年に韓国の名門・梨花女子大学に短期語学留学し、人生2度目の女子大生を経験。twitter.com/t7joshi
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