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【64歳オバ記者のリアル】93歳母が「危篤状態」で入院1か月、それでも面会が叶わぬ現実

バツイチ独身のライター・オバ記者こと野原広子(64歳)が、趣味から仕事、食べ物、健康、美容のことまで“アラ還”で感じたリアルな日常を綴る人気連載。

オバ記者
地元・茨城に帰省したオバ記者こと野原広子
写真5枚

256回目となる今回は、コロナ禍で入院生活を送る高齢の母について。

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ステイホームで110円”前かけ”を作成

ほんとにもうこの天気、どうにかして!! 毎日毎日だらだら、じとじと、雨、雨、雨。ああ、こんな日は梅雨のない北海道に行って、真っ直ぐ続く道を原チャで走ったらどんなに気持ちいいか。コロナ禍が去ったら真っ先にやってみたい。

な~んてことを朝から布団の中でぐずぐずと夢想していると、いつの間にかほんとに夢の中に落ちている。ここのところ議員会館のアルバイトの休みが多くて家にいるので、時間がのっぺらぼうになって、ほんとにヤバいんだわ。

オバ記者
オバ記者お手製の前かけ
写真5枚

こんな日が続いたある朝、これじゃいかんとむっくり起き上がった私が何をしたか。サロン前かけを巻いてみた。私のお手製なの!って、いうほどのこともないけどね。エプロンなんて適当な生地を四角く切って腰ヒモを縫いつけるだけで、ポケットをつけたら上等よ。

布地は日暮里の生地屋さん『トマト』で1メートル110円で買ったもの。制作時間2時間で費用は110円なり。

病院に行っても入院中の母には会えず

しかしこれの効果は110円じゃないよ。前かけをぐるんと腰に巻いたら、なんだか知らないけど何かをしなくちゃと思うんだよね。いわゆるスイッチが入ったって感じ? 私にしては珍しくパッパッパッと家の中を片付けて、ふた駅先の錦糸町までお買い物に出かけちゃった。

錦糸町の駅前
錦糸町の駅前を歩く人たち
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というといかにもアクティブおばちゃんみたいだけど、現実はなかなか厳しい局面を迎えているのよ。意識不明の危篤状態で入院して1か月の母親がどうなっているのか。茨城に住む弟から「一進一退だな」と聞くだけで、その弟も週に一、二度、病院に電話をして医師から様子を知らされるだけ。病院のコロナ対策で一切の面会が禁止されているの。

ただでさえ忙しい医師に、私まで93歳の老婆の安否を電話で聞くのは忍びないから、間接的にしかわからないの。

それが昨日は医師から今後のことを相談したいと連絡があり、3か月ぶりに帰省したわけ。

医師から病状の説明を聞いた私は「母親は笑っていますか?」と聞いてみたの。40代のU医師は、「私はとし江さんの笑顔を見たことがありません」だって。この日は医師との面談はできたけど、母との面会は叶わなかった。同じ思いをしている人が世界中にどれだけいることか。

前に入院したときは「ケンカした」と言い、その前の入院のときは若い看護士さんを「かわいいな~」と目を細めていたのに、今は表情をなくしている、らしい。そんなことを思いながら眺める故郷の山は、なんだかとても心細そうに見えた。

アルバイト中も田舎のことが頭から離れない

その翌日は、アルバイト先の代議士が所属する石破茂さんの派閥「水月会」の昼の勉強会がホテルニューオオタニ東京の「鶴の間」で開催。私は来客の検温を仰せつかったの。

検温を行うオバ記者
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ニュースで見るあの大物議員も、有名議員も「検温をおねがいしま〜す!」と検温機の前に誘導して「はい、OKで〜す」と、次から次へと。

そうそう、政治家のパーティーにやって来るおじさまたちって、晴れ舞台なのね。みんな生き生きしていて頼もしくて、いい顔しているのよ。

そんなことを思いながら、茨城の田舎のことは頭から離れなかった。明日は晴れてくれないかしら。

オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
オバ記者こと野原広子
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1957年生まれ、茨城県出身。『女性セブン』での体当たり取材が人気のライター。同誌で、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。一昨年、7か月で11kgの減量を達成。

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●【254】コロナ禍に思う「小学生を国会議事堂に案内していた」あの頃

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