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”マダニ感染症”で人が死に至ることも!愛犬や愛猫にすべきマダニ対策

庭や公園など、身近な草地に生息するマダニ。刺されると皮膚が赤く腫れたりするだけでなく、怖い病気を媒介することも。この夏は、ペットから人へ感染した例も複数報告されました。

子犬
愛犬や愛猫をダニから守る方法とは?(Ph/GettyImages)
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愛猫や愛犬をダニから守るにはどうしたらいいのでしょうか? ダニ対策について獣医師に聞きました。

マダニが媒介する病気には致死率が高いものも

ダニにもさまざまな種類があります。最も身近なのはチリダニ(ヒョウヒダニ)。肉眼では見えない小さなダニで、人家の布団やソファーなどに生息します。人やペットから吸血することはないのですが、生きているときも死骸になっても、アレルギー性疾患の原因になることがあります。

人やペットを噛むのは、イエダニです。名前のわりに、チリダニほどどこにでもいるわけではありません。高温多湿で暗い環境を好み、ねずみに寄生しますが、宿主が死んだ場合などには移動して他の動物から吸血します。その場合、人やペットを噛むこともあります。噛まれると、かなり強いかゆみが出るのが特徴です。

そして、ペットを飼う人が最も注意を払うべき厄介者がマダニです。肉眼で見える大型のダニで、屋外に生息します。マダニに噛まれると、ライム病や日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)といった人獣共通感染症を発症する場合があります。

SFTSは致死率が6~30%と高く、日本でも毎年、数十人が発症し、そのうち数人が亡くなっています。国立感染症研究所が公表したデータによると、今年は6月6日までに40の例が報告されており、死者も出ています。

飼い主自さん自身が感染しないためにも、愛犬や愛猫がマダニに噛まれることがないように、しっかり対策したいものです。

冬でも草むらにはマダニがいる

一般に、マダニの活動時期は4月頃から11月頃とされています。しかし、獣医師の山本昌彦さんは「通年で対策してほしい」と話します。

毛をかく犬
冬でも注意が必要(Ph/GettyImages)
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「マダニが活発になるのは気温13℃以上といわれていますが、冬でも身近な草むらにいます。公園などを散歩している間に愛犬の毛にくっついて、そのまま帰宅すると暖かい屋内で活動を始めます。ノミも同じで通年、生息できるので、冬だからといって油断しないほうがいいですね。

マダニに刺されると、犬や猫は、人間にも感染するSFTSなどの他に、バベシア症やヘモバルトネラ症といった貧血症にかかることがあります。ノミも、皮膚炎を起こしたり感染症を媒介したりします」

予防薬は動物病院で処方されるものを

予防には、ノミ・ダニ予防薬を使います。おやつのように食べられるチュアブルタイプもあれば、皮膚にふりかける粉タイプもあります。愛犬・愛猫の性格や飼い主さんのライフスタイルに合わせて、獣医師に相談しながら選ぶといいでしょう。

「予防薬はホームセンターなどでも市販されていますが、動物病院で処方してもらうことをおすすめします。動物病院で処方される予防薬のほうが効果・効能が確実だといえます。

犬
動物病院で処方してもらおう(Ph/GettyImages)
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最近よく選ばれているのは、蚊が寄生虫を媒介して起きるフィラリア症(犬糸状虫症)とノミ・ダニを1種類で予防できるタイプの薬ですね。ただ、この薬はすでにフィラリアにかかっている子に投与するとアナフィラキシー反応を起こし亡くなってしまうこともあります。やはり、動物病院で適切に検査しながら処方してもらうのが安心です」

刺される前にブラッシングでノミ取り

予防薬の使用のほかに、飼い主さんができるノミ・ダニ対策といえば、ブラッシングです。

「毛についたノミ・ダニがだんだん内側へ入ってきて皮膚を刺すので、犬の場合は特に散歩から帰ってきたタイミングで、ノミ・ダニがついていないかどうか確認がてら、ブラッシングしてあげるといいですね。

吸血前のマダニは1mm程度と小さいので、目の細かいクシを使いましょう。ちなみに、毛の長さでリスクはほぼ変わりません。短毛種の犬や猫にもノミ・ダニはつくので気を付けてあげてください」

愛犬・愛猫がマダニに噛まれたらそのまま動物病院へ

対策しても、マダニが皮膚に取りついているのを見つけたときは、どうしたらいいのでしょうか。飼い主さんとしてはすぐに退治したくなると思いますが、それは避けたほうがよさそうです。

犬と猫
異変を感じたら病院で検査を(Ph/GettyImages)
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「マダニに噛まれても、愛犬や愛猫が悲鳴を上げたり、最初の段階では気にして引っかいたりすることも少ないかもしれません(皮膚炎などを起こしてくると痒がる動作が見られます)。ただ、吸血するとダニの体は大きくなるので、目視で見つけやすくなるはずです。

愛犬や愛猫の皮膚にマダニがついていたら、慌ててしまうと思いますが、手で取ろうとはしないでください。ダニは吸血の際にセメントのような物質で口の周りを固めて外れにくくしてくるので、飼い主さんが除去するのは難しいと思います。

無理に取ろうとして顎などダニの体の一部が皮膚下に残ると、皮膚炎や他の病気を起こすことがあります。見つけたら動物病院へ連れて行って、薬品などでノミやダニを除去してもらいましょう」

◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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