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空気清浄できるエアコンの実力は? 菌やウイルス、花粉、ニオイを抑制するエアコン3選

部屋の空気を洗浄する家電製品といえば、真っ先に空気清浄機を思い浮かべる人は多いでしょう。ところがいま、部屋の温度調節を行うエアコンに、空気清浄機能がついているモデルが増えています。果たして、どれほどの機能なのでしょうか? 家電ライターの田中真紀子さんにうかがいました。

エアコンはどのようにして空気をきれいにするのか

「エアコンは『エアーコンディショナー』の略、つまり空調家電であり、風を放出するため室内空気への影響も大きい。そのため、『エアコンで快適な空気環境をもたらそう』という発想はかねてよりありましたが、コロナ禍で清潔意識がいっそう高まるいま、空気清浄機能を“指名買い”で選ぶ消費者が増えています」(田中さん・以下同)

エアコンの空気清浄機能は、大別して次の種類があります。

東芝ライフスタイル『大清快 H-DT』シリーズのあるリビング
コロナ禍で清潔意識がいっそう高まり、空気清浄機能を重視する人も増えている。東芝ライフスタイル『大清快 H-DT』シリーズはホコリや花粉が舞い上がりにくい
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「最近の上位モデルに搭載されている空気清浄機能は、主に2つ。イオン放出方式と、電気集塵方式です。前者は、エアコンから放出されたイオンが汚れを包み込み、分解。パナソニックの『ナノイー』、シャープの『プラズマクラスター』のように、メーカー独自のイオン技術で空気中の菌やウイルス、カビ菌などの有害物質を抑制するタイプですね。

一方後者は、粉塵が多い工場などの設備でも使われている方式で、高圧放電で空気中の汚れを帯電させ、電気の力でエアコン内部に汚れを吸着させます。東芝ライフスタイルや富士通ゼネラルの『プラズマ空清』がその代表例です」

空気清浄機と、空気清浄できるエアコンの違いは?

それでは、こうしたエアコンがあれば空気清浄機は不要になるのでしょうか? 田中さんは、「厳密には空気清浄機と異なる」と言います。

「空気清浄機には『集塵効率70%以上』『騒音値55dB以下』という定義があり、エアコンと同じイオン技術や帯電技術を使っていても、空気清浄機のフィルターやファンのパワフル度、つまり“吸い込む力”は、エアコンとは大きく異なります。その中で、唯一空気清浄機と呼べるのが、シャープの『エアレスト』シリーズになります」

また、清浄機能が付加されたことで、ランニングコストもわずかながらアップすることにも注意が必要です。

「イオン技術や帯電技術そのものを稼働させることによる電気代は1時間平均0.7円程度と微々たるものですが、エアレストのように空気清浄機レベルの性能を搭載したものは、高性能フィルターを通過させるために風力が必要となり、通常のエアコンより電気代がかかる場合があります。またイオン発生ユニットを数年ごとに交換する必要がある機種もあります。

あくまでもプラスアルファの機能ですので、必要かどうかは個人の価値観によりますが、エアコンから出る空気の質や、部屋のニオイが気になる人は、付加されていると安心でしょう」

田中さんが厳選した、空気清浄機能に優れたエアコンは以下の3モデル。いずれも、空気清浄機能は単独で運転できるため、例えば冷暖房などを運転しない時期も含め、24時間365日、空気清浄機能を稼働させることができます。

【1】 シャープ『Airest(エアレスト)N-P』シリーズ

エアコン業界で唯一空気清浄機の基準をクリアしているのが、シャープのプラズマクラスターエアコン「Airest(エアレスト)N-P」シリーズです。

シャープ『Airest(エアレスト)N-P』シリーズ
まさに空気清浄機とエアコンを1台にしたモデル。シャープ『Airest(エアレスト)N-P』シリーズ 22万8000円前後~27万5000円前後(税込)※10月11日時点の実勢価格
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「高性能フィルターと、同社独自のイオン技術『プラズマクラスターNEXT』の2大アプローチで、空気をきれいし、脱臭します。

まず、シロッコファン(エアコンの吹き出し口にある送風ファン)と、集じん脱臭フィルターは、同社の空気清浄機と同じ仕組みを採用。ホコリやPM2.5、花粉のほか、料理やペットなどのあらゆるニオイ、菌、ウイルスなどをパワフルに集じんします。さらには、フィルターでは除去しきれないほどガンコに付着したニオイや菌などには、同社独自のイオン技術『プラズマクラスターNEXT』を放出することで、消臭し、除菌します。

空気清浄機とエアコンを1台で済ませたい人に

「前述の通り、冷暖房などとの併用はもちろん、空気清浄機能の単独運転もできるため、部屋干しやペットなどの日常的なニオイに悩まされている人はもちろん、空気清浄機とエアコンを1台で済ませたい人に特におすすめです」

まさに1台2役。床置きの空気清浄機が不要となれば、部屋もより広々とし、すっきりするでしょう。

【2】 パナソニック『エオリア X』シリーズ

この秋発売の『エオリア X』シリーズは、菌やウイルス、ニオイなどを抑制する最強イオン放出で知られる『新ナノイーX』を搭載。

パナソニック『エオリア X』シリーズ
独自のイオン技術『ナノイー』を搭載。パナソニック『エオリア X』シリーズ ※10月下旬発売予定 約28万円前後~約45万円前後(税込) ※市場推定価格
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「パナソニックのエアコンには、同社の空気清浄機にも使われている、独自のイオン技術『ナノイー』を搭載しています。ナノイーには、菌やウイルス、カビ菌、ニオイなどを抑制する『OH ラジカル』というイオンが含まれていますが、特に本モデルを含む上位モデルには、最大48兆個ものOHラジカル量を放出する『新ナノイーX』を搭載。

スピーディーに空気を浄化してくれます。その実力は、『日本アトピー協会推薦品』マークを取得するほど。花粉を抑制するスピードも速いため、花粉が気になる人にも重宝します。通年活躍するでしょう」

【3】 東芝ライフスタイル『大清快 H-DT』シリーズ

エアコンの風が苦手な人におすすめなのが東芝ライフスタイルの『大清快 H-DT』シリーズ。

東芝ライフスタイル『大清快 H-DT』シリーズ
付着した汚れのお手入れも、軽減できるよう設計。東芝ライフスタイル『大清快 H-DT』シリーズ15万円前後~22万円前後(税込)※市場推定価格
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「東芝ライフスタイルの『大清快 H-DT』シリーズには、空気清浄機能として『プラズマ空清』という電気集塵方式を採用。花粉やホコリ、PM2.5(※)など空気中の汚れを、エアコン内部にある『プラズマ空清ユニット』によって帯電させ、熱交換器に吸着させます。

付着した汚れのお手入れも、軽減できるよう設計。熱交換器は表面に特殊なコーティングがされており、冷房・除湿運転時に発生する結露水で洗い流し、ホースを経由して屋外へ排出してくれるのです」

ホコリや花粉の舞い上がりが気になる人も、安心

「本モデルの特徴として『無風感空調』という、風を感じさせずに冷暖房や除湿、空気清浄できる機能があります。エアコンの風が苦手な人、乾燥しがちな人のほか、ホコリや花粉が舞い上がりにくいので小さいお子さんがいるご家庭には喜ばれています」

いずれも上位モデルゆえに値は張りますが、「空気清浄機を買うほどではない。でも、部屋に漂う菌や花粉、ニオイが気になる」という人には、価値がありそうです。

※PM2.5について、換気等による屋外からの新たな粒子の侵入は考慮していません。●PM2.5とは2.5㎛以下の微小粒子状物質の総称です。●JEM1467に基づく除去性能試験においては、0.1㎛未満の微小粒子状物質の除去確認はしていません。また、空気中の有害物質のすべてを除去できるものではありません。●32平方メートル(約8畳)の密閉空間での効果であり、実使用空間での結果ではありません。

◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

田中真紀子
家電ライターの田中真紀子さん
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白物家電・美容家電を専門とするライター。雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://ameblo.jp/makiko-tanaka89/

取材・文/桜田容子

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