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冬のエアコン暖房でも部屋が乾燥しない!? 換気も加湿もできる今注目のエアコン2選

すっかり肌寒くなり、エアコンで暖房をつけ始めている人も多いでしょう。寒いと窓を開けて換気をするのはためらわれますが、まだまだ新型コロナウイルス感染対策で換気は必要。それはエアコン運転中でも同じです。

「エアコンは、室外機から取り込んだ空気を室内に送り込み、室内の空気を室外機から外に排出するイメージもあると思いますが、さにあらず。実際に室内機と室外機でやりとりされているのは冷媒を介した『熱』だけ。室内機から吹き出す風は、その部屋の中から吸い込んだ空気のため、エアコン運転中も定期的な換気は必要なのです」(家電ライターの田中真紀子さん・以下同)

換気ができるエアコンは、部屋の空気を「入れ替える」わけではない

換気に加え、これからの季節で気になるのが乾燥対策。

「気温が下がると、空気が含むことができる水分量(飽和水蒸気量)が少なくなります。この状態でエアコン暖房を運転して室温だけ上げると、空気中の水分は少ないまま空気が膨張し、相対的に湿度が低い状態になってしまいます。またエアコンの風が直接肌に当たると、さらに乾燥が進んでしまいます。

燃焼系のガスストーブや石油ストーブなどは、水蒸気が発生するため乾燥がしにくいですが、エアコン暖房は、乾燥対策は必須です」

ダイキン『うるさらXシリーズ』があり、テレビやソファローテーブルがあるリビング
コロナ禍で換気と加湿ができるエアコンへのニーズが高まっている。ダイキン『うるさらXシリーズ』はその代表格
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つまり冬場のエアコン暖房時も、換気と加湿は不可欠。とはいえ、換気のために窓を開けるとせっかく暖めた部屋に寒い風が入ってきて、また暖め直さなければならないのはつらいですよね。そこで田中さんはこうアドバイス。

「冬のエアコン暖房中に換気をする際は、壁に手を当ててじんわり暖まっていることを確認してから窓を開けるとベター。建物自体が暖まると保温効果が上がるため、短時間、窓を開けても部屋の温度は下がりにくく、エアコンの負荷や電気代の上昇も抑えられます。

もうひとつ、最近では換気と加湿ができるエアコンが出てきています。特に換気については、外からの新鮮な空気を入れながらも、室温をキープしてくれるので冬場には最適。新たにエアコンを買い替える場合、選択肢に入れるのもいいでしょう」

ただし、換気ができるエアコンだからといって、一度も窓を開けなくてもいい、というわけではありません。

「基本的にエアコンができるのは、外から新鮮な空気を取り込む『給気方式』。この場合、部屋の空気はエアコンではなく、換気扇や換気口、レンジフードなどから排出されます。実際、給気方式の換気エアコンは『定期的な窓開け換気も行ってください』と注意喚起されています。あくまでも窓を開ける頻度を抑えられるだけだと心得ましょう」

エアコンの加湿機能は、水を入れる必要がないお手軽方式

加えて注目したいのが、風邪や肌の乾燥対策となる、エアコンの加湿機能。

「通常の加湿器はタンクに水を入れて加湿しますが、以下に挙げる2つのエアコンは水を入れなくても加湿ができる『給水レス加湿』(無給水加湿)という方式。水自体を溜めないので、加湿器のようにタンクに水を入れたり洗ったりするお手入れも必要ありません。加湿の量も通常の加湿器と遜色なく、同じ部屋で他に加湿器を運転させる必要はなさそうです」

早速、田中さんがおすすめの換気・加湿ができるエアコンを見てみましょう。

【1】ダイキン『うるさらXシリーズ』

「ダイキンは以前から水を入れずに加湿ができるエアコンを発売していますが、実はこのコロナ禍で、換気ができる機能にも注目が集まりました。エアコンの室外機を通して屋外から新鮮な空気を取り込む『給気換気』方式のほか、今年の新モデルでは室内の空気を屋外に出す『排気換気』も新たに搭載。ただし、加湿を伴う換気は『給気換気』のみです」

ダイキン『うるさらXシリーズ』本体白
常時部屋に新鮮な空気を入れられる。ダイキン『うるさらXシリーズ』26万円前後~45万円前後(税込)※市場想定価格
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暖房中でも室温はそのままに、新鮮な空気を入れてくれる

本モデルは、スマートフォンと連携させれば、外出先や別室から、スマートフォンにダウンロードした専用アプリで、換気機能を動かすことができます。また、室内機のセンサーによって、在室時と不在時とで、部屋に送り込む空気の風量を自動調整。人がいる時は給気の量を上げ、いない時は抑えてくれます。

さらに、エアコンの運転に関係なく、連続で換気できる機能もあり、常時、部屋に新鮮な空気を入れたい人には嬉しい。もちろん、室温は設定温度に自動調整されるので、寒がりさんも安心です。さらに、給水なしで加湿暖房できる『うるる加湿』機能も人気。

「室外機に搭載された『加湿ユニット』という機能が、外の空気から水分だけ取り出して加湿に利用するため、給水は不要。加湿器のタンクに水を注ぐ作業が手間だった人には重宝するでしょう」

【2】パナソニック『エオリアLXシリーズ』

パナソニックから11月中旬に発売される新モデルにも、換気と加湿の機能が搭載。

パナソニック『エオリアLXシリーズ』本体白
空気を送りながら、菌やウイルス、カビ菌、ニオイなどを抑制するイオン=『新ナノイーX』も放出。パナソニック『エオリアLXシリーズ』※11月中旬発売予定 35万2000円前後~47万3000円前後 ※市場想定価格
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「『換気』ボタンさえ押せば冷暖房の運転時にかかわらず、常に部屋に外からの新鮮な空気を送り込む『給水換気』をしてくれます。しかも、部屋に空気を送りながら、菌やウイルス、カビ菌、ニオイなどを抑制する『OHラジカル』というイオン=『新ナノイーX』も放出してくれるのです。さらに、自動モードに設定しておくと、人の活動量をセンサーが検知して、給気量を調整してくれます」

パナソニックならではの『新ナノイーX』で部屋も肌もうるおう

特に注目すべきは、パナソニックならではの加湿機能です。

パナソニック『エオリアLXシリーズ』の暖房イメージを表す図
室外機に搭載の『換気・除加湿ユニット』は、湿度を抑えたり、加湿したりすることが得意
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「室外機に搭載した『換気・除加湿ユニット』が優れもの。湿度を抑えたり、加湿したりすることが得意な『高分子収着材』というものが、外の空気に含まれる水分を吸収し、潤った空気を部屋に届けます。それにより、すばやい加湿が実現するのです。

除湿機能も、通常のエアコンでは寒くなるのが難点でしたが、本モデルは温度を下げずに湿度を下げるので、湿気の多い6月なども快適に過ごせます」

また、「加湿美肌モード」が、肌にやさしい湿度・風量・風向きを自動コントロール。同時に、エアコンから放出される「新ナノイーX」は、お肌から水分が蒸発するのを防いだり、角質がはがれるのを抑えて肌にうるおいを与えます。エアコンの直風による乾燥や冬場の乾燥が気になる人におすすめです」

換気と加湿という、冬場のエアコンの二大課題に応えてくれる、高性能エアコン。お値段は張りますが、一考の価値あり、といえるでしょう。

◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

田中真紀子
家電ライターの田中真紀子さん
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白物家電・美容家電を専門とするライター。雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://ameblo.jp/makiko-tanaka89/

取材・文/桜田容子

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