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旅行ジャーナリストがすすめる!この秋冬こそ訪れたい狙い目の5つの観光地

霧氷テラス(北海道:星野リゾート トマム)
霧氷テラスは期間限定でライトアップも(北海道:星野リゾート トマム)
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コロナ禍で、海外から旅行が困難となり、寂しくなった国内の観光地。そんな今こそ、ゆっくりと日本の魅力を再発見するチャンスです。そこで今回は、旅行ジャーナリストの村田和子さんが、この秋冬こそ訪れたい、全国のねらい目「観光地&過ごし方」を紹介。緊急事態宣言が解除され1か月。観光地も人の流れがゆっくりと再開してきています。ぜひ参考に旅の計画を始めてみてはいかが?

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冬はやはり「雪」!今ならパウダースノーを独り占め

桜、紅葉、そして冬の雪など日本の四季は、海外のかた、特に四季のない熱帯・亜熱帯地域に住むアジア圏のかたには、憧れ。雪は、アジアのみならず全世界からスキーやスノボーを楽しみに訪れる人が多く、東京から新幹線で気軽にアクセスできる新潟県の越後湯沢、長野県の野沢温泉などのスキー場は、海外の旅行者で賑わっていました。

そういった地域も、今ならゆったりとウィンタースポーツ、そして温泉も楽しめます。

雪景色
雪景色は見ているだけで癒される
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また、雪といえば北海道。パウダースノーが人気のスキー場も、訪日旅行者がいない今シーズンは、混雑せずに楽しめそう。スキーやスノボーをしないかたには、スノーシューもおすすめです。新雪の上をスノーシューで歩き、美しい銀世界を満喫しちゃいましょう。

また、冬といえば雪や氷の祭典も楽しみのひとつ。残念ながら来年(2022年)の「さっぽろ雪まつり」は開催見送りとなりましたが、北海道では、千歳・支笏湖氷濤まつり(2022年1月29日〜2月23日)など開催予定の祭典もあります。また、星野リゾート トマムでは、幻想的な霧氷テラス(2021年12月1日~2022年3月31日)やアイスヴィレッジもオープン。

幻想的なアイスヴィレッジ
アイスヴィレッジは2021年12月10日~2022年3月14日開催(予定)
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他にも、1月~2月を中心に全国各地で雪や氷がテーマの催しを実施するところが多くあります。開催の有無を確認して計画されるといいでしょう。

青森県「奥入瀬渓流氷瀑ツアー」
青森県の奥入瀬渓流では「氷瀑」をテーマにした各種ツアーも実施。夜にはライトアップもされ、自然の造形美は圧巻
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空気の澄む冬こそシーズン!富士山の絶景を楽しむ

富士山といえば、やはり雪をかぶった姿が美しいですよね。夏場は雲に覆われ姿が見えにくい富士山も、冬に向けては出現率が大幅にアップ。特に私がおすすめしたいのが、富士五湖のひとつ河口湖からの眺め。河口湖湖畔は紅葉も美しく、雪が降れば海外の山岳リゾートのように幻想的、そして雪をかぶった富士山の雄大な姿に心が洗われます。

逆さ富士
運が良ければ、逆さ富士がみられることも(河口湖)
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富士山ビューのホテルも多いので好みをみつけて滞在するのもいいですし、「富士山パノラマロープウェイ(カチカチ山ロープウェイ)」や「河口湖遊覧船 天晴(あっぱれ)」など、乗物から眺める絶景もおすすめです。

「カチカチ山」の舞台になった山頂にあるロープウェイ
昔話「かちかち山」の舞台といわれる天上山にある富士山パノラマロープウェイ。河口湖を眼下に望み、山頂からは天気がよければ見事な富士山が見られる
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世界遺産を体感!2021年自然遺産登録となった西表島

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として、2021年、世界自然遺産に登録となった注目の西表島。マングローブの森が広がり、イリオモテヤマネコやカンムリワシなどの独自の生態系があり、日本とは思えない非日常感が味わえます。

実は首都圏や関西圏からもアクセスは思っている以上によく、沖縄の石垣空港へ着いたらバスで30分ほどのところにある石垣離島ターミナルへ。そこからは高速艇で30~40分、2泊3日でも楽しめます。

冬でも温暖な気候の中、大自然を感じる様々なアクティビティが充実
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マングローブでカヌーやサップの体験も人気
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イリオモテヤマネコの生態や保護活動などを学べるナイトツアーなどへ参加するもよし。同じく天然記念物のカンムリワシは電柱の上にとまっていることが多いので、訪れたらぜひチェックしてみてくださいね。島は観光客の受け入れ人数は限られるので、「今のうち」がおすすめです。

予算内でもう1泊!京都を住むように旅する

桜と紅葉シーズンには、海外だけではなく国内からも多くの観光客が訪れる京都。昨秋にはGoToトラべルが実施され混雑した様子も見られましたが、そうはいっても天気の良い週末など混雑は限定的。平日を中心にコロナ前とは比較にならないほど、今の京都はゆっくりと楽しめます。

紅葉
紅葉シーズンの京都も、日時を選べばゆっくり見学できる
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密を避けるという意味では、連泊して早朝や夜間などの時間を活用したり、移動もレンタサイクルがおすすめ。思いがけない穴場や魅力に出会えるチャンスが広がります。

また、ホテルの開業ラッシュが続く京都は、コロナ前から宿泊施設が供給過多気味でした。そこにコロナが直撃し、一部の高級ホテルを除き、価格も手頃になっています。日本の和をフューチャーしたホテルや、ユニークなホテルも多く開業しているので、お好みをみつけていつもより長めに滞在。住むように余裕をもって観光を楽しんでみてはいかが?

2020年秋にオープンした三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺
2020年秋にオープンした三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺。ホテル一階に本堂があり、宿泊者は朝のお勤めに参加できる(有料/先着順)
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ロビーには本堂のレガシーが
ロビーには本堂のレガシーが随所に。客室も落ち着いた上質な雰囲気だ
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必見の特別公開!古都「奈良」に今、訪れるべき理由

京都と同様、コロナ前には訪日外国人に人気だったのが奈良。特に日中は、多くの大型バスが行き交い、人の多さに戸惑うことも。そんな奈良も今は静かでのんびりとした時間が流れています。コロナ禍だからこそ、仏様と対峙し、心静かに自分と向き合う時間を持つのもおすすめです。

特にこの秋冬は、奈良の象徴ともいうべき2つの古刹で、特別公開を執り行っています。今回を逃したら、しばらくはチャンスがないということで必見です。

まずは、天武天皇が皇后の病気平癒を祈り建立した法相宗大本山薬師寺「東塔初層特別開扉」。

薬師寺のご本尊薬師如来(国宝)
薬師寺のご本尊薬師如来(国宝)は身体や心の病、さまざまな苦しみを癒やしてくれる仏さま。コロナの今こそ、ぜひお参りしたい(コロナ禍ということで、特別に薬壺を手にする姿を拝めます)
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薬師寺には塔が二つあり、「東塔(国宝)」は薬師寺総建当時からのもので、1300年の歴史を持つ平城京最古の建物です。約12年にわたる修理を終え、今春から初層が特別公開されています(2022年1月16日まで)。

手前が修繕を終えた東塔(国宝)、奥が西塔。
手前が修繕を終えた東塔(国宝)、奥が西塔。五重塔の中でも美しさではNo.1!
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東塔の内部
東塔の内部。「心柱」が見える形での公開は修理を終えた今だからこそ。再びこの姿を見るのは難しいという貴重な機会
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薬師寺といえば、お写経。予約不要の立派なお写経場があり(※コロナ対策も万全)、いつでもお写経することができます。薬師寺ではお写経を仏さまにお供えし、その後お堂に納め永代に渡り保管・供養をしてくださるとのこと。

香象
写経をする場合は、香象をまたいで身を清めてから行う
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道具もすべて用意されており、所要時間は般若心経で1時間から1時間半程度
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また、現在期間限定の御朱印「国宝東塔 初層特別開扉記念」「金紙薬法印の期間限定御朱印」も授与が行われています。

薬師寺御朱印
薬師寺御朱印
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珍しいところでは”薬師如来”を祀る「薬師寺」と”新幹線のお医者さん”ドクターイエローがコラボした御朱印も登場しています。

”薬師如来”を祀る「薬師寺」と”新幹線のお医者さん”ドクターイエローがコラボした御朱印
JR東海ツアーズの一部ツアー、JR東海EXサービスの画面リンク(11月1日開設予定)より、拝観を申し込むことで授与
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そしてもう1つ。近鉄奈良駅からも近く、多くの人が訪れる法相宗大本山興福寺では「国宝特別公開『五重塔』~令和大修理前の御開帳」を実施中。約120年ぶりに行われる令和大修理前の特別開扉となり、初層4方に安置された四方四仏を拝める貴重な機会です。(開催中~2021年11月23日、2022年3月1日~3月31日)

国宝特別公開「五重塔」:拝観時間9時~17時/拝観料護符付:大人・大学生1000円、中高生600円、小学生400円
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五重塔の入口
五重塔の初層を開扉。特別公開では五重塔のご朱印も授かることができる。コロナ終息を祈念し静かに参拝したい
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初層内陣
初層内陣。心柱を中心に背中合わせで四方に諸尊が鎮座する姿は荘厳
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明治33年以来、およそ120年ぶりの大規模修理は屋根瓦の葺き替え工事等を実施。大規模修理中は塔内に入れないだけではなく、外観も60メートルの素屋根に覆われ、美しい姿は拝めなくなるといいます。

古都奈良のシンボルともいうべき「興福寺五重塔」を心に深く刻む貴重な機会、お見逃しなく。

興福寺中金堂
興福寺中金堂。極彩色に彩られた本来の姿を見学できる
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他にも、興福寺には2018年に創建当時の規模で復元された中金堂や、興福寺国宝館には人気の阿修羅像など至宝が多く安置されています。

安全安心に気を付けながら、日常や人生を豊かにする旅へお出かけください。

◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

村田和子さん
旅行ジャーナリスト・村田和子さん
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旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)

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