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永野芽郁の新たなハマり役!新作映画は「絶対に演じたい」と切望した「対話」による愛の物語

「そして、バトンは渡された」劇中写真
(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
写真8枚

10月29日より公開中の永野芽郁(22歳)主演の映画『そして、バトンは渡された』。瀬尾まいこ(47歳)による同名ベストセラー小説を映画化した本作は、田中圭(37歳)、石原さとみ(34歳)、岡田健史(22歳)ら注目のキャストが集結した話題作です。人と人が関わり合い紡ぎ出す、温かな愛を描いた作品となっています。本作の見どころについて、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿が解説します。

“2つの家族”が織り成す感動作を話題のキャストで映画化

本作は、2019年本屋大賞を受賞した同名小説を、永野を主演に迎えて実写映画化したもの。映画『王様とボク』や『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』、そして現在公開中の天海祐希(54歳)主演の映画『老後の資金がありません!』などを手掛けた前田哲監督(49歳)がメガホンを取りました。

そんな本作で展開するのは“2つの家族”の物語。優子と梨花という女性がそれぞれの物語の中心に立ち、別々であるはずの物語がいつしか交差し、やがて繋がっていくのです。

「そして、バトンは渡された」劇中写真
(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
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一通の手紙をきっかけに物語が交差

あらすじはこうです。これまでに4回も苗字が変わった森宮優子(永野芽郁)は、血の繋がらない親に育てられ、現在はワケあって料理上手な義理の父親・森宮さん(田中圭)と2人暮らしをしています。卒業式に向けてピアノを猛特訓中の優子は、将来のことや恋愛のことなど、思春期特有のいくつもの悩みを抱えています。

一方の梨花(石原さとみ)は何度も夫を替えながら、一見、自由奔放に生きているかに見える女性。それでも、泣き虫な娘のみぃたんにはたっぷりと愛情を注ぎ、2人で過ごす時間を大切にしていました。ところがある日、梨花はみぃたんを残して姿を消してしまいます。優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに、この“2つの家族”の物語が交差していくことになります。

「そして、バトンは渡された」劇中写真
(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
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2組の奇妙な家族関係が織り成す感動作。この2つの家族がどのようにして繋がり、関係し合っていくのか──観客は、物語を進めるうちに自然とその経緯が“読める”仕掛けとなっています。そして「バトン」とは何を意味するのかも、クライマックスの種明かしの前に気付く人も多いのではないかと思います。筆者がそうだったように、それが分かった時、静かに涙が頬を伝っていくことでしょう。

永野芽郁の新たな代表作が誕生

主演の永野は原作のファンであり、「この役(主人公・森宮優子)は絶対に自分が演じたい!」という熱い想いを抱いていたようですが、実際に作品を見て、永野の新たな代表作が誕生したのではないかと思えるほど、優子役はハマり役です。

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(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
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永野といえば、朝ドラ『半分、青い。』(NHK)のヒロイン役をはじめ、これまでに多くの作品で見せてきた“笑顔”が印象的な俳優ではないでしょうか。本作で演じる優子も、どんな時でも笑顔を絶やしません。彼女の見せる笑顔は本作の重要なカギの一つともなっており、多くの観客を惹きつけることでしょう。

田中圭ら俳優たちの掛け合いも見どころ

もちろん、永野を筆頭に、物語の中心に立つ俳優たちの掛け合いも大きな見どころです。優子にとって血の繋がらない父親である“森宮さん”に扮した田中圭は、親子関係を築きながらもどこか友人同士のような絶妙な距離感を、少々オーバーな調子の演技で実現。梨花に扮する石原さとみは、奔放で生命力に溢れた母親役をパワフルに演じ上げています。

「そして、バトンは渡された」劇中写真
(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
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娘のみぃたんを演じる稲垣来泉(10歳)とのやり取りも終始愛らしく、彼女の“パワフルさ”が後の展開に効いてくるのです。そして、優子の恋の相手である早瀬くんを演じているのが岡田健史。彼の淡々とした語りは、この風変わりな家族の物語に心地良くマッチし、大きな感動が押し寄せるクライマックスへと穏やかに導いてくれるのです。

「そして、バトンは渡された」劇中写真
(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
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彼らを取り巻く面々も魅力的。梨花が選んだ1番目の夫・水戸さん役に大森南朋(49歳)、2番目の夫・泉ヶ原さん役には市村正親(72歳)が配されています。前者は夢を追うため家族を残して海外へと向かい、後者はお金目当てで一緒に暮らし始める梨花を受け入れるという役どころで、それぞれが対照的な夫像を体現しています。

しかし2人とも、娘のみぃたんにたっぷりの愛情を注ぎ、彼女が“いろんなかたちの愛情”を受けて育っていくのが分かります。そして、早瀬くんの母親役には戸田菜穂(47歳)、優子のクラスメイト役に萩原みのり(24歳)といった手練れの演者が配され、優子の成長の物語を彩っています。

「対話」の重要性を気付かせてくれる物語

男女、友人、親子、義理の親子と、さまざまな関係性における登場人物の「対話」が見どころの本作。そこから見えてくるのは、冒頭でも述べたように、人と人が関わり合い紡ぎ出す「温かな愛」だと思います。SNSが隆盛を極める昨今、コロナ禍ということもあり、人々は“繋がり”の多くをインターネットに頼っています。しかし、そこで失われているものが、密な対話だと思うのです。

「そして、バトンは渡された」劇中写真
(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
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対話によって相手の心の内側を知ることも

密な対話の結果として、必ずしも愛情が芽生えるとは思いません。伝え方や、相手の話す言葉の捉え方によってすれ違いが生じ、憎しみや争いを生む場合もあります。けれども対話によって、相手の表情に隠された心の内側を知り、より豊かな人間関係を築いていこうとするのが、本来の私たちなのではないでしょうか。本作は、改めてその事を教えてくれます。

本作のラストでは、ある大きな「秘密」が明かされます。その秘密は、人と人が向き合い、相手を(あるいは誰かを)大切に想うがために生まれたもの。物語の登場人物たちは少し特殊な人間関係を築いていますが、一人ひとりが互いに向き合っています。きちんと向き合い対話をするからこそ、自然と秘密も生まれるのです。彼らの姿を目にして、優しい嘘(秘密)の存在を知り、「対話」の重要性を再認識させられました。

◆文筆家・折田侑駿さん

折田優駿さん
文筆家・折田優駿さん
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1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。http://twitter.com/cinema_walk

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