マネー

お金のプロが解説「資産を堅実に守るなら債券」の理由|そのメリットとデメリット

パソコンのキーボードとスマホと貯蓄計画書
50代以上の投資におすすめという債券について、投資のプロが指南!(Ph/Photo AC)
写真4枚

まとまった資産を運用するとなると、まず耳なじみのある株や投資信託に手を出そうとしがち。けれど、お金のプロによれば、大人女性は、株式よりも、債券への投資を検討すべきだといいます。独立系フィナンシャルアドバイザーで、シニア投資コンサルタントの西崎努さんの著書『老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門』(アスコム)によれば、「資産を育てるなら株、堅実に守るなら債券」は金融界の常識とのこと。その、債券とはどのようなものなのでしょうか。

* * *

「債券」、聞いたことあるけれど何?

債券というと、なんとなく聞いたことはあるけれど、詳しくは知らないという人が多いのではないでしょうか? そこでまずは、債券がどんなものなのか知っておきましょう。

債券は安定性抜群の金融商品

債券とは国や企業への貸付のことで、期限も金利も決まっているため、投資をした時点で将来返ってくる金額が予測できる金融商品です。企業への出資をする株式投資とは違い、一般的に値動きが小さく、大きく値上がりすることも値下がりすることもありません。

債券は50代以上の投資にぴったり

債券の安定性は金融商品の中でも軍を抜いていて、資産形成を終え、これからは今ある資産を運用・管理していく50代以降には特にぴったりなのです。

知らない人が多い、債券の4つの魅力

2019年1月に公表された日本証券業協会の調査結果では、「公社債(債権)」を保有している個人投資家は全体の13.2%と、その割合は少ないです。

では、持っている人が少ないのになぜ「堅実に守るなら債券」と言われ、50代以降にぴったりのなのか、不思議に思いますよね。そこで知っておくべき債券の4つのメリットを紹介します。

電卓と通帳
投資で債券を購入する4つのメリットとは?(Ph/Photo AC)
写真4枚

【1】抜群の安定性

債券は満期が決まっていて、満期になれば買ったときの金額が払い戻されます。たとえば、500万円で「5年後の2026年12月に満期になる」債券を買い、満期まで保有していれば、500万円は戻ってきます。これが株や投資信託との大きな違いです。

さらに、そこに金利分が上乗せになるため、着実にお金を増やすことができるのが債券投資のメリットです。

【2】預貯金を上回る金利がつく

債券は、購入する時点で金利が何%(年率)なのか決まっていて、1年に1回や半年に1回など、支払いのタイミングは銘柄によって異なるものの、定期的に支払われます。

先ほどあげたように、「5年後の2026年12月に満期になる」債券を500万円で買った場合、この債券が「年に1回、3%の金利を支払う」条件の銘柄だったとすると、500万円の3%、つまり15万円が毎年1回支払われます。また、満期まで5年間あるので、単純に15万円を5回、計75万円が支払われることになります。

要するに、500万円で買った債券を満期まで運用すると575万円になることが購入時点でわかっているということです。ただし、満期まで持っていたときの場合にかぎるので、途中で手放さないことが条件です。

【3】ほったらかしでOKの安心感がある

ほとんどの債券は、満期までの期間とその間の金利が決まっているので、買ってしまえば後は何もする必要がないのも、魅力のひとつです。株式投資のように価格の値動きに一喜一憂しながら、ズルズルと持ち続ける心配がありません。

また、コスト面にもメリットがあります。投資信託などは、保有期間中はずっと信託報酬がかかります。しかし、債券ならば売買時の単価に調達手数料が含まれるものの、保有中に金融機関に支払うコストはゼロなんです。

【4】お金を使う計画が立てやすい

債券は満期になれば自動的に現金が戻るので、「5年後に自宅をリフォームする」などと決めて計画的にお金を使うことができます。

現在、銀行に預けけても利息はほとんどつきません。株や投資信託は、売ろうと思えばいつでも売れますが、値下がりしていたり、まだ値上がる可能性があったりと、タイミングの見極めが必要です。

コインと双葉を手に乗せている
リスクを考慮しつつ、安全性の高い投資を(Ph/Photo AC)
写真4枚

債権のリスク、デメリットは?

もちろん、リスクやデメリットもあります。債券は、安全性が高い分、収益性は低いものだと心得ておきましょう。また、途中で売却した場合、損失が出る可能性があります。さらに、信用リスクもデメリットのひとつです。日本が経済破綻をして国債が債務不履行(デフォルト)となることは考えにくいですが、国債に比べてリスクの高い社債においては財務状況の悪化して、元本の払い戻しや利息の支払いが滞ることも考えられますし、最悪の場合、倒産して元本を丸々失う可能性もあります。

このように、投資なのでリスクやデメリットはあるものの、銀行に預けるのと比べれば、「5年後に使う」と決めて債権を買っておいたほうが、はるかに効率よくお金を増やすことができるわけです。

損益の面でも心理的な面でも、市場に大きく左右される株式などのリスクの高い商品は、計画的に現金化することがとても難しいです。投資なのでリスクがゼロとは言い切れませんが、今後お金を使う見通しが立っている人は、債券を選択するのが賢い方法です。

◆教えてくれたのは:独立系フィナンシャルアドバイザー・シニア投資コンサルタント 西崎努さん

独立系フィナンシャルアドバイザー・シニア投資コンサルタント 西崎努さん
独立系フィナンシャルアドバイザー・シニア投資コンサルタントの西崎努さん
写真4枚

リーファス株式会社 代表取締役社長。2007年に日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)に入社、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール・ロンドンでの海外研修も経験。 帰国後は新規・既存の上場会社や不動産投資法人(REIT)の公募増資等の株式引受業務に従事する。2017年4月に独立し、リーファス株式会社を設立。金融商品の仕組みはもちろん、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法まで熟知したアドバイスが好評。https://refas.co.jp/

●50代以降が「投資」を行うときに知っておきたい5つの鉄則とは?

●50代の20%以上が貯蓄ゼロ!? 「老後資金」が足りなくなる人の3つの特徴

関連キーワード