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愛犬が急にご飯を食べなくなったら…わがまま?病気?獣医師が語るその理由

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愛犬が急にご飯を食べなくなったらするべきことは?(Ph/AFLO)
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いつも食べっぷりのいい愛犬が、急にご飯を食べなくなってしまった――。そんなときは、どうしたらいいのでしょうか。ペットの健康問題について、プロである獣医師に教えてもらうシリーズ。今回は、愛犬が食事を取らないとき、考えられる理由と対処法を、獣医師の山本昌彦さんに聞きました。

単なるワガママで食べないこともある

猫と違って、犬は目の前に食べ物があれば、空腹でなくても食べることもある動物です。これは満腹中枢の感度がやや鈍かったり、犬の習性として「食いだめ」をすることが要因だと言われています。それなのに、食器にフードを入れて目の前に置いても、興味を示さなくなったとしたら、どんな理由が考えられるでしょうか。山本さんによれば、理由は大きく分けて二通りだといいます。

「一つは、単なるわがままです。フードが気に入らないから、わざと口をつけず、おいしいものが出てくるのを待っているパターン。フードの種類を変えたり、フードのトッピングをやめたりしたときに、しばしば起こることです。おいしいウェットタイプのご飯が好きで、カリカリ(ドライタイプ)は食べないというような」(山本さん・以下同)

お気に入りだけをあげるのはNG

愛犬が食べてくれないと心配で、ついフードをお気に入りのものに変えて(戻して)しまいたくなりますが、それはやってはいけないのだとか。

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ちゃんとしつけをすることが食習慣においても重要(Ph/AFLO)
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「犬は賢いので、一度そんなことがあれば、気に入らないフードは食べずに待っていると、『もっとおいしいもの(特に、トッピングやおやつ)がもらえるんだ。お腹が空いているけどおいしいものを食べたいから我慢しよう』と覚えてしまいます。そうやって、犬が喜んで食べたがるものばかりを与え続けると、栄養バランスの悪い食事になって健康を損ねる恐れもあります。

それに、家庭における人間と犬との秩序や関係性を維持していく上でも、犬のわがままを通すのはよくありません。一度フードをあげて食べなければ、30分ほどで下げてしまってもいいかもしれません。それを繰り返すことで、『ちゃんと食べないと食べられなくなってしまう。』と考え、食べるようにもなります」

本当にお腹が減ったら、あまり好きではないフードも食べ始めるはず。飼い主さんは根くらべに負けずに粘り強く接することが、結局は愛犬のためになります。フードが傷まないように注意しながら、食べ始めるのを待ちたいですね。愛犬が食べない間はあまりかまったりせず、食べたときに声を掛けたり体を撫でたりして、飼い主さんの意思を伝えましょう。

体調不良も原因…まずは口をチェック

食べない理由、もう一つはやはり体に不調があるときです。食べ物を体内へ取り入れようにも消化器系(口腔、食道、胃、腸など)にトラブルがある場合と、病気で気分が悪くて食欲がわかない場合や病気が原因で食べたくても食べられない場合があります。

口が痛くて食べられないことも

「ご飯が食べられないタイプの体調不良でまず考えられるのは、口が痛いケース。例えば歯肉炎の場合、食欲はあっても、食べると患部にフードが当たって痛いので嫌がって口に物を入れないということもありえます。口の中に腫れや変色がないか、口臭が強くなっていないか、触ってどこか痛がったり嫌がったりする部分がないか、確認してみてください。

また、口に中に痛みがある場合は、痛い側を使わずに食べることもあるので、いつもは普通に食べているのに、右側もしくは左側でしか噛まない、という様子が見られたら要注意です」

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口をチェックしてみて(Ph/AFLO)
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また、異物を誤って飲み込んでしまって、食道や胃に炎症があったり、胃内に異物が残っている、胃の入り口や出口を異物が塞いでいると、つらくて食べられないということも考えられます。この場合には、食欲不振の他、頻回の嘔吐が認められることが多いです。

さまざまな病気のサイン、病院で見極めを

一方、病気で食欲が落ちる場合。食欲が減退する病気は非常に多く、内臓疾患の多くが当てはまります。

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消化器官の不調も多い(Ph/AFLO)
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「消化器官の不調も多いですね。食道や胃腸の働きが悪い、炎症がある場合に、ムカムカするから食べたくないということがあります。お腹が痛かったり、下痢が続いていたりして、自ら食べないことを選ぶ犬もいます。消化器官に腫瘍があって、物理的に食べ物が入りにくい感じがするときも同様ですね。

膵炎(すいえん)の場合も食欲が落ちます。また、腹痛だけじゃなく、他のどこかがひどく痛むときも、食欲が落ちます。膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼などの場合、あまりに痛いのでご飯どころじゃないというケースもあります」

「2~3日様子を見て」ではなくもっと早く病院へ

一般的に、愛犬がご飯を食べなくなった場合、2~3日は様子を見て動物病院を受診する飼い主さんが多いようですが、山本さんは「もっと早くていい」と話します。

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体調が悪そうなときは自分で判断するのではなく病院へ(Ph/AFLO)
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「『このフードは嫌いだよ』という意思表示のケース以外は、間をおかずに病院で診てもらうことをおすすめします。2日も自宅で様子を見てしまって、やはり食べなかった場合には、その間、消化器官の動きが止まってしまいますし、栄養も摂取できないので、状況は悪くなる一方です。低血糖や脱水状態になることもあります。

食欲不振は非常に多くの病気に見られる症状です。夏バテなどのようにちょっとした体調不良のケースもありますが、重い病気の可能性もある。病院で原因を突き止めたほうが安心です。食べないな、ただのワガママとは違うようだなと思ったら、遠慮は無用。できるだけ早く病院へ連れて行ってあげてください」

◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

山本
獣医師・山本昌彦さん
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獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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