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「ポチり」による浪費をなくす!ネットショッピングで冷静になるカギは“お取り置き”

ネットショッピングイメージ画像
今年こそ「ポチり癖」を改善して無駄な買い物を減らそう(Ph/photoAC)
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寒波やコロナ対策で家にこもりがちの日々。冬のセール時期もあいまって、ネットショッピングで気軽に「ポチッ」と購入ボタンを押しては、後日無駄な買い物をしたことに気づく人も多いでしょう。今年こそ「ポチり癖」を改善するためのアドバイスを『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)の著者で、マーケティング&ブランディングディレクターの橋本之克さんに教えてもらいました。

「即ポチ」はなぜ浪費になりやすいのか

橋本さんは、ネット上の「ポチり」や、欲しいものを見つけたら即購入ボタンを押す「即ポチ」は、浪費を招きがちだと警鐘を鳴らします。

「人はリアル決済よりネットショッピングの方が浪費しやすい傾向にありますが、それには理由があります。リアル決済は、財布から現金を取り出して手渡す行為により、お金を支払ったことが実感できます。他方、ネット決済は現金の移動がなく、レシートに支払額や引き落とし額などの数字が示されるだけ。お金を使う実感や、残高が減っていく感覚はありません。

しかも、繰り返し利用するネットショップであれば、クレジットカードや配送先住所などは登録済みでしょうから、買い物に伴う手間はほとんどない。するとますます支払いが軽く感じられ、歯止めがかからなくなります」(橋本さん・以下同)

箱を開けている女性
人はネットショッピングの方が浪費しやすい傾向にある(Ph/photoAC)
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リアルの買い物は比較検討しやすい

ネットショッピングが浪費しやすい理由は、他にも。比較検討や熟慮をせずに割高な商品や不要な商品を買ってしまいがちなことです。

「ネットショッピングは24時間全てが買い物のタイミングになり、スマホを使えば、いつでもどこでも買い物できます。情報の検索から商品の選択、決済、送付の手配までが、あっという間に終わるのです。

それに比べてリアルの買い物では、自分がこの商品を本当に欲しいのか、必要なのか、店舗に並ぶ他の商品と見比べたり試着したり、はたまた買い物に付き合ってくれている人と相談したりして、自問しつつ、自分の意志を固める時間があります。そうすることで、購入後に後悔することも少なく、いい買い物につながりやすいのです」

つまり、比較検討や熟考する時間の有無や長さこそ、無駄な買い物か、有益な買い物かを決めるようです。

ただし、ネットショッピングでも、意識すれば時間をかけて熟考することはできます。むしろ、その気になればネットこそ比較検討がしやすいと、橋本さんは言います。

ネットショッピングで浪費を防ぐためのポイント

「ネット上では、商品の特徴、類似商品との違い、購入者の声、専門家の評価、店舗ごとの価格差、キャンペーンの有無などを情報収集した上で比較検討できます。それも、リアル決済よりずっと容易に。情報はネット上でいくらでも、それもピンポイントに収集できますから。

同時に、情報収集していく過程で自分自身が本当に欲しいもの、必要とするものに気づき、商品がそのニーズを満たしてくれるかを確認することもできます。本当に買うべきか、この値段は納得できるか熟考することもできます。そう考えると、情報収集、比較検討、熟考さえできれば、“即ポチ浪費”を防ぐのはもちろん、とても有益な買い物につながるはずです」

欲しい! と思ったらまず商品の情報収集を(Ph/photoAC)
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ネットには自分が興味ある情報ばかりが自動表示される

ただし、ネットで情報収集をすることで思わぬデメリットもあります。情報そのものが偏っているリスクがあるからです。

「多くの人が情報収集に使うサイトには、利用者が見たいと思うであろう情報が優先的に表示される仕組みがあります。これは、サイト側が視聴時間を増やすために取る方策です。これによって、気づかぬうちに自分の考えに合う情報ばかりと接することになります。裏を返せば、自分に合わない価値観の情報は、初めから遮断されている可能性があるのです」

スマホを手にして考えている女性の写真
売り手側の“仕掛け”にはまらないよう気をつけよう(Ph/photoAC)
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例えば、ブランド好きのAさんが見るウェブサイトには、低価格帯のノーブランド店の情報が流れてくる可能性は低い。そうなると、ある商品の値段を比較検討しようにも、既に低価格帯の商品はふるい落とされているため、一定価格以上のショップの中から検討することになりかねません。

自分と他の人が見ている情報は違う

「しかもAさんには、自分以外の人に表示される情報内容は見えてこないため、今自分が見ている情報が万人向けであり、さらに場合によっては、世の中の多くの人たちがそのブランドを好意的に思っていると勘違いしかねません。

こうして表示される情報をただ受け入れ続けていくと、関心の対象が狭まります。その状態で今欲しいと感じそうなブランド情報ばかりが、ウェブサイトを開くたびに果てしなく送り込まれてきます」

例えば、今日のニュースを見るために報道機関のウェブサイトを開いたとします。そうすると、右端のバナー広告欄に、最近自分が閲覧したブランド商品のセール情報がエンドレスに出てきて、ニュースはそっちのけでセール情報に気を取られてしまう。こうしてAさんは、売り手側の“仕掛け”にまんまとハマっていくわけです。

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