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【64歳オバ記者 介護のリアル】「シモの世話」でも喜びあえた母ちゃんとの“蜜月関係”がやがて崩れるまで

出口の見えないトンネルを右往左往する心細さ

夜を日に継ぐトイレの世話をして、口に食事を運んでいたのは最初の2週間だけ。それでもまだ母親の体調は不安定で目を覚ますと、私を見て不思議そうな顔をするのよ。それで「私がここに寝泊まりするから」と言うと、「ああ、またヒロコと一緒にいられんだな」とホロッとするようなことを言ったかと思えば、数時間後に「マサコぉ~!」と87歳の妹の名前を呼んだりしていたの。

オバ記者の母親
出口の見えない介護生活、心細さがつのる日々だった
写真9枚

その間、11歳年下の弟は時間があれば実家にやって来て、食事からトイレまで私がすることは何でもした。人に話すと「シモの世話をする男きょうだいなんて聞いたことがない」と驚かれたけど、私の介護生活はこの弟なしには成り立たなかった。

だけど、当たり前だけど弟は夜になれば自分の家に帰る。

「明日は夕方、なるべく早く来るよ」と言う弟に、「わかった。こっちは大丈夫だからムリするな」と私は姉ちゃんらしく答えていたけど、またひとりで朝を待つのかと思うと、なんとも言えない寂しさが襲ってきたの。

自ら買って出た親の介護だけど、出口の見えないトンネルを毎日、右往左往している心細さといったらなかったの。

気に入らない母ちゃんの「お世話さま」

母親は回復すると共にもともとの性質というか性格がどんどん表に出てきて、またこれがおかしいんだわ。たとえば私やヘルパーさんが寝ている母親の体を上に引き上げたり、ポータブルトイレに座る手助けをすると、「よいっしょお~」とかけ声をかけるの。力を入れる私が言うならともかく、持ち上げられる側が言うかね。

そのたびに、母親はそれなりに気をつかっているんだなと思って私は「あはは」と笑った。

オバ記者の「母ちゃん」
母ちゃんの上から目線にイラッ!
写真9枚

だけどその後、必ず言う「はい、お世話さま」が気に入らない。普通の状態だったら礼を言っていると思うのだろうけど、シモの世話の後に言われると「何、上から言ってんだよ」とムカつくんだわ。しかも普通ではないに大粗相したのを片付けた私に「お世話さま」はないだろうよ。で、私は聞こえないふりをするようになった。

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