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【65歳オバ記者 介護のリアル】母ちゃんには最後まで言わなかったスカーフの“秘密

母ちゃんの世話は「罪滅ぼし」?

だけど、“ドラ娘”の私は素直に喜べないどころか、胸がチクンと痛い。というのも30代前半からギャンブルに夢中になって、そのうち手元にあるお金はギャンブルの種銭にしか見えなくなったの。と同時にイタリアオペラを聴く旅という金持ち趣味にまで手を出したから、入出金の忙しいこと!

実のところ飛行機と宿だけの安ツアーで行って、1000円くらいの天井桟敷席に座っているんだから、“金持ち趣味“でもなんでもないんだけどね。それでも海外に1回行けば、どんなに節約しても30万円はかかる。母ちゃんがくれるのはせいぜい5万円だけど、その5万円が貴重なんだわ。現地の遊興費と食費だもの。

んな内幕はもちろん言わない。だけど実家に帰って、「○日からイタリアだから」と言うと母ちゃんは「なんだ、カネが!」とギロリとニラむんだよ。その目のおっかないこと!

そんなわけで、母ちゃんが死ぬ直前まで首に巻いていたスカーフは、実は私の遊び金を母ちゃんから引っ張るための釣り餌、な~んてことは今の今まで誰にも話したことがない。

私が母ちゃんのシモの世話をしたのは、放蕩娘の罪滅ぼしでもあったのよね。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

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オバ記者ことライターの野原広子
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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