エンタメ・韓流

草なぎ剛が体現する“生活者” 映画『サバカン SABAKAN』での演技と語りで懐かしい景色に誘う

草なぎ剛のナレーションが観客を“あの頃”へ

大人になった久田が社会的に特別な人間になれなかった現実を見せられるというのは夢のない話のようにも思えますが、現実とはそういうものなのではないでしょうか。彼は特別な大人になることはできなかったのかもしれない。けれども竹本と過ごした時間は無くなりませんし、竹本にとって久田が特別な存在であった事実も変わりません。

映画『サバカン SABAKAN』場面写真
(C)2022 SABAKAN Film Partners
写真15枚

この、ありふれているけれども感動的な事実を、番家さんと草なぎさんの好演が観客に訴えかけます。全編にわたる草なぎさんのナレーションはすべての登場人物にしっとりと寄り添うようで、きっと私たちを“あの頃”へと連れ戻してくれることでしょう。

◆文筆家・折田侑駿

文筆家・折田侑駿さん
文筆家・折田侑駿さん
写真15枚

1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。https://twitter.com/yshun

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