家事・ライフ

薄井シンシアさんがキャリアブレイク中のアラフォー主婦2人と鼎談 「生き方は1つじゃない」「周りに流されず好きな道を選ぶべき」

多様な生き方を知って、主体的に選ぶ

優季さん:私もLinkedInでシンシアさんと出会えたし、菜野さんを紹介していただきました。メッセージのやりとりのなかでシンシアさんが「あなたみたいにバリキャリから専業主婦になった人がいるよ。連絡取ってみたら?」と教えてくださって。

松本優季
シンシアさんに菜野さんを紹介してもらったそう
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シンシアさん:なんでもかんでも横並びが推奨される社会で、周りと違うこと(キャリアを中断して専業主婦になること※)をやろうとすると、やっぱり不安だろうな、私も不安だったし、と思ってすすめたんです。

※総務省の調査によれば、専業主婦世帯(男性雇用者と無業の妻からなる世帯)は1980年の1114万世帯から2021年には566万世帯へと減少。

女性がいったん退職したら二度と復帰できないかのような言説が世の中にあふれているけど、実は仕事に本格復帰している元専業主婦はいる。「いるんだ」って思えたら励まされる人もいる。メディアが好んで取り上げる生き方だけが真実じゃないんですよ。

菜野さん:女性の生き方は一つじゃなくて、あれもあるし、これもある。そういうことを私も言いたいですね。だから、働きながら子育てしている人のコツとかこれいいなと思う話とか、LinkedInで広めたりしています。一方で、ときどきは私が子供と一緒にしたことを発信したり。女性みんな、好きに生きられたらいいよねっていうのを軸にしているつもりです。

シンシアさん:周りに流されないで、自分が好きな道を選ぶべきですね。じゃないと苦しい。特に、経済的には夫の収入だけで家族全員の生活が成り立つという家庭で、出産後に仕事に戻ることを決めた女性は、苦しさを抱えがちに見えます。

優季さん:どこかで罪悪感を持ってしまうのかもしれないですね。そんな必要はないのに。

シンシアさん:働きながら子育てする人も、専業主婦も、自分の選択を後ろめたく思ったり、その裏返しで別の生き方をする人に攻撃を加えたりするのをやめて、自分の価値観をしっかり持って、堂々といこうよと言いたいですね。

そして、企業も変わってほしい。子育て中の30代や40代にばかり、負荷の重い管理職を任せないで、子育てが終わった50代や60代にも管理職をやってもらえばいい。今って、会社の中で順当に階段を上がってきた人は別だけど、それ以外の道を歩んできた60代にはマネジメントをさせませんよね。

薄井シンシア
「企業も変わってほしい」と訴えるシンシアさん
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優季さん:今のシニアの皆さん、お元気なかたが多いので、せっかく子育てが一段落して仕事に集中できる環境になったのなら、力を発揮してもらうほうがいいですよね。生きがいにもなるでしょうし、人手不足の日本社会のためにもなるはず。

菜野さん:それと、もう少し人材が流動的になってもいいですね。一つの会社でずっと働く人たちばかりだと、中には安定的な地位にあぐらをかいて働きが悪くなる年配社員も出てきます。そういう50歳の正社員にできないことが、63歳のシンシアさんにはできる。そんな状況がきっと普通にある。だったら、できる人に任せたほうがいいに決まっています。

シンシアさん:私、これから変わると思う。女性も社会も。私みたいにいったん仕事を辞めて、子育てに専念して、また後で働き始めようって、同じことをやる人が今ここに2人いる。これはきっと社会の変化のきざしだと思っています。すごく楽しみです。