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犬や猫の寒さ対策を獣医師が解説 ブラッシングや加湿が有効、ホットカーペットは低温やけどに注意

犬、猫
犬や猫の寒さ対策を獣医師が解説(Ph/イメージマート)
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夏であれば犬や猫の熱中症に注意が必要ですが、冬場のペットのお世話ではどんなことに気を付けるべきでしょうか。寒さ対策や感染症予防について、獣医師の山本昌彦さんに聞きました。

寒さ対策、気を付けたい低温やけど

猫の祖先は砂漠で暮らしていたとされ、そのせいか、猫は今でも暑さには強く、寒さを苦手にする傾向があります。ずっと体を丸めていたり、衣類やブランケットに潜り込んで長時間出てこなかったりするのは、寒がっている証拠です。

一方、犬は厚い被毛を持った種類を中心に、どちらかといえば暑がりです。それでも、冬は猫と同様に体を丸めたり、散歩に行きたがらなくなったりする犬もいます。これもやはり、寒さがこたえている証拠。寒さ対策が必要です。

山本さんは「寒さ対策としては、エアコンなどで部屋を暖めたり、ペット用のヒーターを用意したり、毛布やタオル、古い衣類などを与えたりするといいですね」と話します。

こたつやホットカーペットには注意

一方で、こたつやホットカーペットは、犬や猫が低温やけどを負う可能性があるので、あまり長い時間、こたつの中やホットカーペットの上にいさせない方がいいのだとか。

「猫がこたつに入ったら、こたつ布団の一部をトンネル状にして出口を用意するなどの配慮をしてあげてください。こたつやホットカーペットをつけたまま、ペットを留守番させるのも控えたほうがいいでしょう。エアコンならつけたままでも構いませんが、その場合は部屋のドアを少し開けておいて、犬や猫が暑くなったら出て行けるようにしておくことをおすすめします」(山本さん・以下同)

低温やけどは、40~50℃ほどの熱源に、数分から数時間、皮膚が直接触れたことで、やけどを負うことをいいます。皮膚に赤みが出たり、水ぶくれができたりして、皮膚下の組織にもダメージを負うことがあるので、注意しましょう。

摂取カロリー増やブラッシングが体温調節の助けに

寒がっている犬や猫を、体の内側から温める方法もあります。例えば、食事を厳寒時期だけカロリー高めの内容に変えること。

「寒冷地域の屋外で飼われている犬の場合には、体が熱を作り出すために、冬場は夏場の1~2割増しのカロリーを食事で取れるようにするといいと聞きます。一方、室内飼いの犬や猫で、寒さのために運動量が落ちている場合などは、摂取カロリーを増やす必要はありません」

ブラッシングも、ブラシで皮膚をマッサージすることによって血行がよくなる効果が期待できます。

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ブラッシングが体温調節の助けに(Ph/イメージマート)
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「皮膚を傷めないように気を付けてあげれば、毎日でもブラッシングして構いません。ただ、冬は空気が乾燥して、静電気が空気中の水分へ逃げられないので、ブラッシングの際にビリッとくることがあります。部屋の湿度をしっかり保って、ブラシの素材も見直してみましょう。一般に、動物毛のブラシは静電気が発生しにくいとされます」

感染症予防のためにも室内はしっかり加湿を

部屋の湿度が低くならないように制御することは、感染症予防のためにも大切なことだといいます。

「空気が乾燥すると、鼻や喉などの呼吸器系が持つバリア機能が低下し、細菌やウイルスが体内に侵入しやすくなるので、感染症にかかりやすくなります。人間が風邪をひきやすくなるのと同じことです。加えて、気温が下がって免疫力も落ちるので、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に、若齢や老齢の犬猫は注意が必要です」

湿度40~60%程度に

湿度は40~60%程度を保てるように、加湿器や霧吹き、濡れタオルなどを使って、空気の乾燥を防ぐことが大切です。

一方で、換気も欠かせません。あまり長く閉めきった部屋にいると、二酸化炭素中毒になることもあります。ときどき窓を開けて空気を入れ替えましょう。

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