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さつまいもは「65~75℃」のお湯で茹でるとより甘くおいしくなる理由

生のさつまいも
NASAも注目しているほど栄養価に優れているさつまいも(Ph/photoAC)
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さつまいもには栄養成分がバランスよく含まれており、準完全食としてNASAも注目しているそうです。「炭水化物、ビタミン、ミネラルや食物繊維などが豊富で、特に女性におすすめの美容に効果的な栄養をたっぷり含む野菜です」と話してくれた野菜ソムリエプロの福島玲子さんに、詳しい栄養価と、おすすめの調理法を教えてもらいました。

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韓国美容でも注目のさつまいも

韓国では「コグマ(=さつまいも)ダイエット」と呼ばれる方法で、少女時代のメンバー・ソヒョンさんやドラマ『ドリームハイ』主演のペ・スジさんなどが実践して痩せたと、2〜3年ほど前に話題になっていました。さつまいもには特に女性におすすめの美容や健康に効果的な栄養素がたっぷり含まれているんです。

美腸につながる栄養がたっぷり

さつまいもは老廃物を排出する栄養が豊富です。スポンジのように水を吸収してドロドロになり、余分な糖質や脂質を排泄する水溶性食物繊維と、水分を吸収してかさを増やし大腸の働きを活発にさせる不溶性食物繊維がどちらも含まれているので、腸を整える効果が期待できます。食物繊維の量は、いも類の中でもトップクラスです。

紫芋の断面
さつまいもを切ったときに出てくる液体も栄養のひとつ(Ph/photoAC)
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さつまいもを切ったときに出る乳白色の液体であるヤラピンにも整腸作用があり、便秘予防にも効果的です。 ヤラピンは皮の周辺に豊富に含まれていて、加熱しても減少しにくいという特徴があります。

豊富なビタミン類で美肌効果やダイエット効果にも期待

抗酸化作用のある栄養が多いのも、さつまいもの特徴です。まず抗酸化ビタミンの一つであるビタミンCが豊富で、風邪の予防や疲労の回復に役立つほか、肌のシミ対策や炎症にも◎です。同じく抗酸化ビタミンであるビタミンE、抗酸化作用の強いβ-カロテンも多く含まれています。

また、ポリフェノールも豊富で、主に含まれるのはクロロゲン酸という成分です。クロロゲン酸は近年では抗酸化作用や糖吸収遅延、脂肪の蓄積を抑える効果などが発見されていて、肥満の予防のためのサプリメントなどにも利用されています。

ほかにも、脳のエネルギー源を作り出すために欠かせないビタミンB1、むくみの原因となるナトリウムを体外に排出するカリウム、血糖値の上昇を穏やかにするレジスタントスターチなども含まれていて、体にうれしい栄養がたっぷりなんです。

さつまいもの調理は温度が大切

さつまいもをおいしく食べるには、甘くなる温度を知っておくのがポイントです。ゆで調理やオーブン調理のコツを紹介します。

茹で調理は、水から入れて“甘くなる温度帯”を長く保つ

さつまいもは65~75℃で加熱すると、より甘くなると言われています。そこで、茹でて調理をするときはまず水の状態から入れて、徐々に温度を上げて65~75℃の状態を長く保ちましょう。茹で時間はサイズや量によって異なりますが、ひと口大より少し大きめにカットした場合に、1本分で15分程度が目安です。柔らかくなるまで加熱しましょう。電子レンジ調理は温度が急上昇するので、あまりおすすめできません。

ふかしいも
さつまいもは時間をかけてゆっくり加熱を(Ph/photoAC)
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ちなみにこれは、β-アミラーゼという酵素による働きです。さつまいもは加熱するとβ-アミラーゼの活性が高まり、それがマルトース(麦芽糖)に分解されて甘みが増します。このβ-アミラーゼがよく働く温度が65~75℃で、これ以上の温度になると働かなくなってしまいます。ですから、内部の温度がゆっくり上昇するようにさつまいもを加熱すると、β-アミラーゼがよく働く温度に長く保たれるため、より甘くなると言われています。

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