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「卵巣がん疑い」65歳オバ記者、ついに最終診断の日 医師が告げると「ひざから崩れ落ちそうになった」

オバ記者
「卵巣がんの疑い」で手術を受けたオバ記者。果たして診断結果は…?
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「卵巣がんの疑い」で10月初めに手術を受けた、ライター歴40年を超えるベテラン、オバ記者こと野原広子(65歳)。12日間の入院生活を終えて退院したが、最終的な診断結果はまだ出ていなかった。そしてその日、緊張しながら診察室のドアを開けると、担当医が告げたのは――。

* * *

「で、結局どうなったの?」

今年の夏の初めから少しずつ膨らんできたお腹が8月になっていよいよ見過ごせないほどになり、重い腰をあげて区の検診に行ったら「卵巣が12cmに腫れています」と言われた。それから婦人科の専門病院に行って、そのあと大学病院で精密検査をしたら「卵巣がんの疑い」。その疑いを晴らすために6時間に及ぶ手術をして、その結果は?

オバ記者
手術する前に自撮りをした時のオバ記者
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いつまでも「卵巣がんの疑い」と書いている私に、「で、結局どうなったの?」と個人的にも聞かれることが多くなった。

「それがまだ…」と口ごもると、「引っ張るねぇ」と、まるで私が何かを隠しているかのような、疑いのマナコを向けられるようになった。疑いのマナコと言ってもちっとも痩せない私の体形を見て、重篤な病を隠しているというのではなさそうだ。なら、なんでちゃんと「良性の腫瘍でした」と言わない?という疑い。

腫瘍が良性か悪性かはすぐにはわからない

だけど卵巣にできた腫瘍が良性か悪性かは、開腹手術をしてもすぐにはわからなくて、正式に結果が出るまでに2段階あるのよ。

私の場合は「境界悪性の可能性が高い」というのが、手術中の迅速病理診断の結果だったの。迅速病理診断というのは、手術中に取り出した卵巣を急いで検査室に運んで顕微鏡で見て、手術でどこまでメスを入れるか決めるというもの。そして手術後、3週間かけて腫瘍のすみからすみまで顕微鏡で見た上での最終診断が下ったのがつい先日だったわけ。

実は私も、自分がこうなるまで知らなかったんだけど、腫瘍には良性と悪性だけじゃなくて、その中間の「境界悪性」というのがあって、私の場合、医師の”暫定的な”見立てはそれ。で、何か違うかというと、「境界悪性」は良性腫瘍ほどではないけれど、がんではないというのが、医学界というか、保険業界の認識なんだって。

恐る恐る診察室のドアを開けた

「それだけ手術の予後がいいってことですかね」と担当医は言うけれど、もし私が悪性だったときにおりる保険金の額を話したら、「そんなに?」とちょっと驚いた顔をなさった。

オバ記者
腫瘍が良性か。結果を聞くまで心が落ち着かない
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もちろん悪性でないにこしたことはないけれど、万が一、そうだったときに保険金が心の慰めにならないか? そんなことを考えながら、さて、どっちだ。緊張してその日を迎え、恐る恐る診察室を開けたら、担当医は手術の直後と同じ笑顔で、「よかったです。境界悪性のままでした。抗がん剤治療もしません。次は来年の2月に診察に来てください」ときわめてあっさり、サラッと言うので、私はひざから崩れ落ちそうになったわよ。

それにしても生まれて初めてした、12日間の入院体験は強烈だったわよ。おそらく我が人生を振り返ったときに、今回の手術、入院前と後では何もかも変わってしまった感じ。これまで17年間、賭け続けたがん保険を回収したい、なんて強欲は手術後の痛みと共に消えたけれど、いちばん変わったのが食事の好みなの。

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