家事・ライフ

経営未経験の主婦から社長になった諏訪貴子さん、「孤独」「不幸」という気持ちを変えるきっかけとなった言葉

過去は気にせず、前に進む

インタビュー中、諏訪さんは終始笑顔でポジティブな発言を繰り返すのが印象的だった。「これまでに何か大きな失敗をして、後悔したことはありますか」と尋ねると、「経営者に立ち止まる時間はありません」と断言する。

諏訪貴子さん
終始笑顔でポジティブな発言を繰り返すのが印象的
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「何かミスを犯してしまっても、現状できる限りの努力をした結果だから、それでよしと思うようにしています。過去は気にしない。どんなことも、自分が必死で頑張った結果だと自分を認めてあげて、前に進んでいくしかありません。

そもそも、人生において失敗することなんて、まずないと思っています。少なくとも私にとって、仕事上での失敗はダイヤ精機を失うことだけです。それ以外は何があっても失敗に当たらない。一見失敗に見えるものは、今後の成長への過程でしかありません。私にとっては学ぶことのほうが多い。すべての失敗は、会社を残すために必要なことなのです」

物事を決めるときは誰にも相談しない

社長として重要事項の決断に迫られる局面も多いが、物事を決めるときは誰にも相談しないとも明かす。

「相談することで、起きた結果を人のせいにしてしまう恐れがあるからです。もちろん、意見や提案は聞くようにしますが、誰にも相談しません。迷ったら、自分が面白そうだと思えるものを選択するようにしています」

諏訪貴子さん
物事を決めるときは誰にも相談しないという諏訪さん
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そんな諏訪さんが大切にしているのは、新しいことにチャレンジする精神だ。

「どんなことでも新しいことにチャレンジすれば視野が広がるし、知識やスキルがついていきます。それはいずれ自分の財産になる。昨年、政府の『新しい資本主義実現会議』のメンバーに入れていただいたときも、私で務まるのかと不安になりましたが、参加させていただくことで学ぶことも多いし、すごく刺激を受けています。

仕事でもプライベートでも、新たな道が開けるチャンスって、どこに転がっているか分からないものですよ。とにかく機会があって面白いと思ったら、チャレンジしてみる。そうすれば、これまでになかった景色が見えたりするものです」

◆ダイヤ精機代表取締役・諏訪貴子さん

諏訪貴子さん
諏訪貴子さん
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すわ・たかこ。1971年生まれ。ダイヤ精機株式会社代表取締役。1995年に成蹊大学工学部を卒業後、自動車部品メーカーにエンジニアとして入社。ダイヤ精機に2度入社するが、経営方針の違いから父に2度解雇される。2004年、父の逝去をきっかけに社長に就任し、業績を順調に回復させる。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013」 大賞(リーダー部門)を受賞。著書に『町工場の娘』(日経BP)、『ザ・町工場』(日経BP)があり、NHKでテレビドラマ化された。2021年には、岸田内閣「新しい資本主義実現本部」の有識者に選ばれ、日本郵政の社外取締役も務める。http://www.daiyaseiki.co.jp/profile/

撮影/黒石あみ 取材・文/戸田梨恵

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