不調改善

免疫力アップのカギは体温!食べ物や漢方で体温を上げるにはどうしたらいい?

体温計をもっている
冬はとくに気をつけたい低体温の対策は?
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気温が低く、体が冷えやすい冬。冬の不調といえば冷え性ですが、実は低体温にも注意が必要です。 冷え性は気温の上昇とともに解消される場合もありますが、低体温は放置すると思いがけない不調につながる可能性があるといいます。漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんに、冷え性と低体温の違いや低体温の予防・改善におすすめの食材と生活習慣、漢方薬について教えてもらいました。

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低体温とは?冷え性との違いは?

冷え症とは、人が寒さを感じない温度でも、手足やお腹、腰などが冷えてつらいと感じる状態のことをいいます。気温が下がった日や冬場はとくに、エアコンをつけていても指先や足先などに冷えを感じることがある人もいるのではないでしょうか?

ただし、冷え性は体温の高い、低いには比例せず、触ると必ずしも冷たいわけでもありません。また、検査や診断時に特別な異常はあらわれません。

一方、低体温にはっきりとした定義はなく、一般的には平熱が35℃台の人を指す場合が多いです。寒い時期だから体温が低くなるのは仕方ない、と思ってしまいそうですが、直腸の温度が35℃以下の場合は低体温症と診断され、体の正常な機能が維持できず、重度になると凍死にいたります。

低体温の症状

人の体温は本来36~37℃に調節されています。これは、体内の代謝に使われる酵素が活発に働ける温度帯に合わせた仕組みです。

額に手を当てている女性
体の機能低下につながる低体温
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低体温になると酵素や細胞が不活発になるため、多くの臓器の機能に影響出て、消化吸収や脂肪代謝、免疫作用、思考力などが低下します。

低体温になる原因

低体温になる原因は3つあります。1つ目は体温を維持するのに必要な栄養素の不足。2つ目は、熱を生み出す筋肉と内臓の運動量の低下。3つ目は体温調整を司る、自律神経のバランスの乱れです。

体温を上げる栄養素と食材

適切な体温を維持するために意識したい栄養素は炭水化物です。

熱を生み出す栄養素は、たんぱく質、脂質、炭水化物の3つです。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、たんぱく質を13〜20%、脂質を20~30%、炭水化物を50~65%の割合で摂ることを推奨しています。

つまり、炭水化物を最も多く摂るのが効率的で、30~64歳女性の炭水化物摂取推奨量は243.4~333.1gとされています。しかし、30~60代女性の炭水化物平均摂取量は221.7g(令和元年国民健康・栄養調査)と、日本人女性は慢性的に炭水化物が不足している懸念があります。

炭水化物は主食となる食材から摂ることができるので、バランスのよい食事をしっかりと食べることが低体温の予防や改善に役立ちます。

ごはん

和定食
1日に必要な炭水化物量は、ごはんなら4〜6膳
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ごはん1膳(150g)で55.7gの炭水化物が摂れます(文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)。1日の炭水化物の必要量を全てごはんで摂る場合は、4~6膳が必要です。

「そんなに食べられない」と思った人は胃腸の元気がない状態かもしれません。胃腸は筋肉でできていて、使わないと衰え機能が低下します。適切な体温を維持できるようになるために、少しずつ食べる量を増やしましょう。

パン

さまざまな種類のパン
パンで1日に必要な炭水化物を摂るなら、6枚切りで6〜8枚が目安
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食パン1枚(6枚切り・60g)には27.8gの炭水化物が含まれます(同)。1日に必要な炭水化物をパンだけで摂る場合は7~8枚必要です。

とくに朝食で十分な量を食べられない、という場合は夕食を見直すのが有効です。夕食に食べた物がうまく消化されないで胃腸に負担がかかると、動きが鈍くなり食欲が低下します。夕食は脂質を控えめにし、ゆっくりよく噛んで食べるといいでしょう。

そば

ざるそば
十分な量のそばを食べられるようにおかずの量を調整して
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盛りそば1枚(200g)は炭水化物を52g含みます(同)。そばだけで1日に必要な炭水化物をまかなおうとすると、4~5枚が必要です。

おかずが多いと主食が食べづらくなります。とくに麺類は「炭水化物ばかりにならないように」と天ぷらや具だくさんのつけ汁などを用意する人も多いのではないでしょうか。十分な量のそばをおいしく食べられるようにおかずを添える、という意識で献立を立ててください。

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