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オール電化の家庭は注意!真冬の停電時に困らない“備え”を家電ライターが解説

ろうそく、電源、電柱など、停電しているイメージ写真
真冬の停電時、オール電化の家庭は特に”備え”が必要(Ph/イメージマート)
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昨年末、北海道では大雪の影響で大規模停電が発生。厳寒期に突入するこの時期、大雪や電力ひっ迫で停電する可能性はゼロではありません。そうなった場合、特にオール電化のご家庭は立ち行かなくなります。そこで今回は、家電ライターの田中真紀子さんに、真冬の停電時に備えてできることを指南してもらいました。

冷蔵室は「強」に、冷凍室はきっちり詰め込む

まずは、食品を貯蔵している冷蔵庫の対策を。食品の腐敗を防ぐために、何ができるのでしょうか。

「冷蔵庫は一般的に停電後も、扉を開閉しなければ2~3時間は保冷状態が保たれるとされています。さらに庫内の条件や周囲の気温によっては、4~5時間、またはそれ以上冷凍室の食品が溶けなかった、という報告もあります」(田中さん・以下同)

つまり、扉の開閉をしないなど条件次第では4~5時間は電気がなくても保存状態がキープできるということ。そのうえで、計画停電や悪天候による停電のおそれがある場合は、次のような備えがあると安心だと言います。

冷蔵庫を開けている女性
冷蔵庫は詰め込まないのがポイント(Ph/photoAC)
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「冷蔵室は食品を詰め込まず、容量の7割程度に。詰め込むと冷気が循環せず、冷えが悪くなります。また停電の可能性が高いとわかっている場合は、事前に温度設定を『強』に切り替え、しっかり冷やしておきましょう。さらに凍らせたペットボトルや保冷剤を冷蔵室の最上段に入れると、停電時、冷蔵室全体の温度上昇を多少でも遅らせることができます。

逆に、冷凍室はきっちり詰め込むのがおすすめ。凍った食材がお互いを冷やし合うため、保冷効果が持続します」

普段からごはんは小分けにしてラップに包んで冷凍し、水などもペットボトルに入れて凍らせた“自家製保冷品”をいくつか常備しておけば、予期せぬ停電時、すぐに冷蔵室の最上段に移せますね。

停電時に役立つ暖房器具は、昔ながらの石油ストーブ

食品と同様に気になるのが、暖の取り方。電気を使わず、暖まる方法はあるのでしょうか。

「当然ながら、停電になると電気で動く暖房器具は使えなくなります。特にエアコンやセラミックファンヒーターのように空気を暖める対流式暖房は、消すと短時間で温度が下がってしまいます。床暖房やオイルヒーターのように、壁や床を暖める輻射式暖房は蓄熱性が高いため、対流式に比べれば停電後もしばらくは暖かさが残ります」

あらかじめ停電が予想されるとき、可能であればエアコンより床暖房やオイルヒーターなどの輻射式暖房で部屋をじゅうぶんに暖めておくのもひとつの方法でしょう。

そのほか、厚手のカーテンを閉めておく、窓に断熱シートを貼っておく、といった対策も暖気を逃げにくくしてくれると言います。

もうひとつ、田中さんは停電対策に石油ストーブの導入も提案。

石油ストーブの導入の検討を(Ph/イメージマート)
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「停電に備えるなら、やはり電気を使わない石油ストーブは一台用意するとベター。石油ストーブはコンセントから給電することなく、乾電池をセットして、灯油を入れればお部屋を暖めることができます。乾電池がなくても、点火用ライターで点火することも可能です。

さらに、石油ストーブの上でお湯を沸かすことができるので、そのお湯を湯たんぽに入れることもできますし、多少の明かりになるため、夜も安心です。ただし、同じ石油暖房機でも、石油ファンヒーターは電気がないと動きませんのでご注意を」

石油ストーブに使う灯油は、ホームセンターのほか、近くの米店やガソリンスタンドでも入手可能で、1リットルにつき100円程度。石油ストーブの上でお湯沸かせばカップラーメンやレトルト食品を食べることもでき、重宝するでしょう。

スマホの充電対策には乾電池式モバイルバッテリーを

続いて、情報源や大切な人とのコミュニケーション手段となる、スマートフォンの充電手段について。

Anker PowerCore Fusion 10000』
家電ライター田中さんが愛用するのが、Anker PowerCore Fusion 10000』
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「災害による停電時も、情報の入手が非常に重要になります。できるだけスマートフォンが充電できる対策はとっておきましょう。停電したらまず行いたいのが、スマホを省電力モードに切り変えること。これによってバッテリーの消耗を抑えます。

さらに用意しておくと便利なのは、乾電池式モバイルバッテリーです。こちらは電気がなくても乾電池があれば充電でき、乾電池なら非常時でもコンビニなどで購入できる可能性があります。いまからストックしておくのがベストですね。個人的に、日常使いしているのが充電器一体型モバイルバッテリー。充電器としてスマホを充電しつつ、コンセントから外したあとはモバイルバッテリーとして使えるため、万一停電しても数回は充電できます。私が愛用しているのは、アンカー・ジャパンの『Anker PowerCore Fusion 10000』(5990円・税込)です」

Anker PowerCore Fusion 10000
充電器一体型モバイルバッテリー。『Anker PowerCore Fusion 10000』(5990円・税込)
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ポータブル電源を買うなら電池容量が1000Wh以上あるものを

最後に気になるのは、ポータブル電源の必要性。電池容量に応じて数万円から10万円以上と高価格帯なため、導入に二の足を踏んでしまいがち。

Jackery『ポータブル電源 1500』と電子レンジと電気ポット
Jackery『ポータブル電源 1500』は、消費電力1800Wの定格出力に対応
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「その通り、ポータブル電源はあると便利だと多くの人がわかっているものの、なかなか購入するきっかけがない電化製品でもあります。ですが、ここ数年で性能がよくなっていることに加え、キャンプやべランピングといったアウトドアブーム、車中泊しながらワーケーションするといったライフスタイルの多様化により、ニーズが高まっています。いつくるか分からない防災用と考えると購入を躊躇してしまう人も、楽しみが広がると思って検討してみるのもいいかもしれません。

なおポータブル電源は、電池容量によって値段が大きく異なりますが、防災時にも使うことを考えたら、1000Wh以上あると安心。必要最低限の家電を動かしたり、消費電力の少ない電気毛布につないで使うこともできます」

以上を踏まえて、真冬の停電時に備え、冬のセール期間中に導入を考えておきたいアイテムを教えてもらいました。