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米と食パンのコスパ、実は大差ない?それでも節約アドバイザーが米食をすすめる理由

米と小麦食品
パン食と米食、どちらがお得?
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小麦価格の高騰からパンやパスタの値上がりが続いています。米も値上がり傾向にあり、食費増に頭を抱えている人も多いと思います。そんな中で、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんがおすすめするのは米中心の食生活です。その理由について詳しく聞きました。

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小麦だけでなく米も価格が上昇している

小麦価格の高騰だけでなく、米の価格も上昇しています。まずはその理由を解説します。

小麦値上がりの理由は不作、コロナ禍の影響、円安

小麦の価格が高騰している理由の一つは、小麦の産地であるアメリカやカナダでの不作、ロシアのウクライナ侵攻による供給懸念から世界的に小麦の価格が上昇していることです。さらに、新型コロナウイルスの流行で港湾労働者やコンテナが不足し、輸送費も以前以上にかかっています。

コンテナが乗った船
輸入に頼っている小麦食品は値上がりを続けている
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日本では小麦の多くを輸入に頼っているため、海外での小麦価格の上昇が国内販売の価格に直結します。さらには、2022年3月から続く急激な円安も輸入価格に大きく影響しています。

生産量の減少と流通コスト増加で米も値上がり

農林水産省が公表した内容によると、2022年9月の業者間での取引価格は玄米60kgあたり1万3961円で、これは前年同月に比べて706円増となっています。

主に国産品が流通する米の価格も上がっている理由は、大きく分けると2つあり、1つめは政府が主食用米から飼料用米や小麦などへの転作を促したことによる生産量の大幅な減少。2つめは肥料などの生産コストや流通コストの値上がりによるものです。

ごはんと食パン、実は1食あたりの価格は大差ない?

では、小麦と米の一食あたりの価格を比較してみましょう。総務省が発表している「小売物価統計調査」による価格推移をみると、2022年11月の食パン1kgあたりの全国平均価格は478円です。6枚切り食パンの目安となる60gで、食パン1枚あたりの価格を計算してみると、28.8円です。

トースターからパンが出ている
米と食パンの1食分の金額は大差ない
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また、同調査での同月のお米5kg1袋あたりの全国平均価格は2028円です。茶碗1杯150g分のごはんを精米換算した約65gから計算すると、26.3円です。

1食あたりの量を食パンは6枚切りの1枚(60g)、お米は茶碗1杯(150g)とすると、差額は2.5円と大差はありません。つまり値上がりしている中で食パンのコスパはお米とそれほど変わらないということがわかります。

気を付けるべきは菓子パン

6種の菓子パン
菓子パンはコスパが悪い
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一般的な製パンメーカーの菓子パンが1個あたり100~150円ほどと考えると、食パンとお米のコスパの良さがわかるかと思います。また材料費や製造コストの増加で菓子パンの値上げが続いています。菓子パンはあくまでも嗜好品として考え、食事として利用するのはおすすめしません。おやつに菓子パンよりも、おにぎりや焼きおにぎりにする、またサンドイッチやシュガートーストなど食パンのアレンジメニューにすると節約になります。

米食のメリット

それでもなぜ米食をおすすめするのかというと、お米はさまざまな食材や味付けで作るおかずとの相性抜群、バリエーションも豊富です。つまり、バランスのよい食生活を送ることができます。また、ごはんはパンよりも消化が緩やかなため腹持ちがよく、よく噛んで食べることでダイエット効果も期待できるといわれます。

白ごはん
パンよりも保存に向いている米
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そして、米の保存性の高さもあります。大量に長期保存しづらいパンと比べて、米は1か月以上もち、安く買えるときにまとめ買いすることが可能です。ただし、お米はニオイや香りがつきやすいため、購入後は密閉容器に入れて冷蔵庫の野菜室など涼しい場所で保管しましょう。

また、ふるさと納税の返礼品でも米は常に人気で、自治体によってはお得に手に入れることもできます。もちろん、パンを返礼品としている自治体もありますが、同額を寄付した際の返礼品を比較すると、パンは多いものでも35食ほど、米は3kgのもので約46食分、5kgだと76食分ほどになるので、コスパはお米に軍配が上がります。

米粉にも注目が集まっている

ちなみに、クックパッドで毎年恒例の「食のトレンド予測2023」では、ブームの兆しが見える料理のキーワード5つのうちの1つに米を製粉した「米粉」があります。

米粉のイメージ
米粉にも注目が集まっている
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輸入小麦粉のさらなる値上がりを見据えて、国内で自給できる米粉も小麦粉の代替品として注目を集めているようです。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
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節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/吉田可奈

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