不調改善

血糖値の改善には食べ方の工夫を!「1日5食」「食物繊維ファースト」が有効である理由

サラダがのった白い皿とフォーク
食物繊維ファーストにするだけで血糖値を下げることにつながると医師がおすすめ(Ph/イメージマート)
写真3枚

「血糖値」を意識して、野菜中心の食事にするなど、食事内容に気をつけている人も多いはず。でも毎食似たような食事内容では飽きてしまいます。そこで、万病のもとである「活性酸素」研究の第一人者で、『「血糖値がどんどん下がる」にいいこと超大全』(宝島社)を上梓した医師の板倉弘重さんに、何を食べるかではなく、どう食べるか、血糖値を下げるのに役立つ食事術を教えてもらいました。

食べる順番に気をつけて「食物繊維ファースト」に

食べるものは同じでも順番を変えるだけで血糖値を下げることができると板倉さんは言います。

「最初にご飯やパンではなく、食物繊維の多いものを食べるのがコツ。具体的には、ごぼう、大豆、キャベツ、セロリといった野菜、ひじき、わかめ、寒天などの海藻、きのこ類などです。

なぜ最初に食物繊維を多く含む食物を食べるのがいいのかというと、食物繊維は消化・吸収がよくないので、腸の中でなかなか消化されず、長い時間留まっているからです。つまりあとから食べるご飯の吸収もなかなか進まず、血糖値の急上昇を抑えることができます」(板倉さん・以下同)

“掃除上手”な食物繊維のあとはたんぱく質を選んで

食物繊維をいちばんに食べ、そのあとは何を食べるべきなのでしょうか。

「食物繊維には、腸の中の脂肪や不要物をからめとって、便として体の外に排出してくれるという役割も。そんな食物繊維の次に食べるのは、肉や魚、豆類、卵などのたんぱく質が多いおかずがおすすめです。そして、最後にパンやご飯などの炭水化物を摂りましょう。まず食物繊維を摂ることで血糖値の急上昇をセーブでき、次にメインディッシュとなる肉や魚などたんぱく質メニューを食べることで、満足感も得られます。

そして最後に炭水化物とすると、最初の食物繊維メニューから炭水化物を食べるまでにある程度時間が経っているので、吸収率の面でも糖質の吸収を減らすことができます。また、たんぱく質を摂っているので、ある程度満足考えられ、ご飯の量も自然に減らせることができ、血糖値の上昇も抑えられるはずです」

定食や幕の内弁当は何から食べるのがベスト?

それでは、定食や幕の内弁当では、何から食べるのが血糖値上昇を抑えるのに有効なのでしょうか。やはり意識すべきは「食物繊維ファースト」です。

天ぷらと汁物小鉢ご飯などが並んだ定食
定食は野菜や小鉢などから食べ始めると血糖値の急上昇を防げる。主食の天ぷらやご飯は最後のほうに(Ph/イメージマート)
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「カツ定食など、定食ものを食べるときは、まずはキャベツなどの野菜から食べます。野菜や海藻などの小鉢があるときにも先に食べるのがおすすめです。主菜のカツやご飯は最後のほうに食べましょう。幕の内弁当などの場合は、付け合せのサラダや煮物から食べるのがベターです」

1日3食よりも5食のほうが血糖値が安定する

血糖値が気になる人にとって、大食いやどか食いは禁物です。なので、食事を控えめにしている人も多いと思いますが、我慢しすぎてお腹が空きすぎてしまい早食いをして、結果どか食いしてしまうというのもよくありません。

「忙しくてなかなか食事が摂れなかったなどで、ものすごくお腹が空いてしまっている状況に陥ってしまうこともあると思いますが、そうすると脳に『お腹がいっぱいになった』という信号が届く前に早食いをしてしまうので、ついつい食べすぎてしまうのです。

逆に、食事と食事の間隔を短くすれば、強い空腹感を感じることがなくなり、食べすぎや早食いを防ぐことができるのではないでしょうか。日本人の多くは1日に3回の食事を摂ることが多いですが、東南アジアなどでは、1回の食事量を少なめにして、1日5回食事を摂るという国もあります。このように食事と回数を増やして、食事と食事の間隔を短くすれば、強い空腹感を感じることもなく、1回あたりの食事量が抑えられ、血糖値が急上昇することも防ぐことができます」

食事の間隔は3~4時間がおすすめ

具体的にどのくらいの間隔を空けて食事をするのがいいのでしょうか。

白い皿の上に白い目覚まし時計がのっていて、サイドにフォークとナイフが置いてある
食事の間隔は3~4時間がおすすめ(Ph/イメージマート)
写真3枚

「具体的に何時に食事を摂るというのは人ぞれぞれのライフスタイルによりますが、食事の間隔としては、短くなりすぎないように、3~4時間とすることをおすすめします。

例えば1回目を朝7時として、2回目は午前10時に間食、13時に軽めの昼食、17時に早めの夕食、5回目に軽めの夜食といった具合です。最後の5回目は寝る直前にならないように注意しましょう」

◆教えてくれたのは:医師:板倉弘重さん

医学博士。現在、同研究所名誉所員、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、茨城キリスト教大学教授、品川イーストワンメディカルクリニック院長を兼任。万病のもとである「活性酸素」研究の第一人者で、赤ワインやココアなどの抗酸化作用を明らかにしたことでも有名。2022年9月、『「血糖値がどんどん下がる」にいいこと超大全』(宝島社)を出版。

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