家事・ライフ

薄井シンシアさんが語る“離婚の極意”「結婚は終身ではない」「離婚しても恨まない関係でいたい」

幸せな結婚を目指しつつ、円満に離婚する準備も

私が病気になったり、交通事故にあったときの緊急連絡先は、いまだに元夫です。だって離婚しても娘の父親ですよ。娘が日本にいれば緊急連絡先は娘にするけれど、彼女は米国にいるから、元夫に仲介してもらいます。離婚したからといって、他人になるわけがないんですよ。

娘も元夫と連絡を取りあっている

娘と元夫も、私ほどではないけれど頻繁に連絡を取っています。私も、元夫の誕生日など、用事があるときは彼と話します。だって家族ですから。男女の関係は終わっているかもしれないけれど、親としての関係は続いているんだから。

元夫にはパートナーがいるので、そこは配慮します。パートナーとの面識はないけれど、彼に電話をするときは、事前に「いま電話していいですか?」と尋ねます。

私自身は、もう誰かのスケジュールに合わせて生きるのは嫌。今の自由は変えられない。唯一、私が合わせたい相手は娘ぐらいなので、パートナーを欲しいとは思いません。

薄井シンシアさん
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熟年離婚を迷っている人にメッセージを送るとしたら、「離婚は決して悪くない」ということ。離婚=失敗でもありません。ただ、もし離婚をしたいなら、よほどの理由がない限り、時間をかけてでも円満な離婚を目指すことをすすめます。

一番格好悪いのは、離婚する気がないのに愚痴を言う人

もし相手が「離婚したくない」といえば、そういう選択肢もあるかもしれない。人生後半の夫婦は、争いごとをしないほうがよい。お互いに妥協できるなら妥協して、妥協できないなら離婚する。もし、ギクシャクしながらも夫婦で添い遂げたいなら、それもいい。ただ、「自分が選んだ道なら文句を言うな」と思います。

一番格好悪いと思うのは、妥協しながら文句を言う人です。「妥協するなら歯を食いしばって、やってよ」と思います。女友達と集まると、必ず愚痴を言い始める人がいます。でも私は「愚痴を言う暇があったら改善したら? 改善する力がないなら我慢すれば」と感じます。そういう時は10分間だけ愚痴を聞くけれど、それ以上は勘弁。あなたはそういう格好悪い人になりたいですか?

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
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1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/小山志麻 構成/藤森かもめ

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