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「片付けられない女」66歳オバ記者が始めた“捨て活”、きっかけは両親の死 そしてたどり着いた「モノを捨てるコツ」

実家の要らない物は黙って捨てることに

ある時、押し入れの天袋を見たら何十年前のものだか、箱の色が変わっている引き出物のシーツやタオルがぎゅうぎゅうに詰まっているではないの。「こんなにどうする。いくつか残して捨てようよ」と言うと「全部使うから取っておけ」の一点張り。その押し問答を聞いていた友達のE子が小声で「聞く方が悪い。黙って捨てればいいんだよ」って。

なるほどねと思ってそれ以降は、「実家の要らない物は黙って捨てる」を弟と共有したの。とは言っても、母ちゃんがひとり暮らしをしているときは「黙って捨てる」を実行できるチャンスはそうそうなかったんだよね。チャンスが訪れたのはシモの世話が必要になってからよ。母ちゃんが昼寝をしている間に、押し入れの中の不要品を廊下に出して、その上に大きな布をかけて見えなくしちゃったの。「ん、なんだこれは?」と聞かれたけど知らんぷり。母ちゃんはすごく嫌な顔をしたけど自分の力で食事の準備もトイレの始末もできなくなったら、どうにもならない。逆に言えばそこまでならないと、片付けを認められなかったってこと。

弟と一緒に要らないものは黙って捨てることにした(母ちゃんの右にいるのが弟)
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動画を見て「毎日、何か捨てる」を実行

で、その子世代はどうか。先日、最近還暦になったばかりのR美とその話になったの。彼女は4年前に母親が亡くなった時、母親の抱えていたものを捨てるのに、半年かかったと嘆くんだわ。彼女の実家は敷地内に物置がある。「そこに母親の着物が山ほど。引き出物がどっさり。あと、『とりあえず』と突っ込んでおいた家財道具が大量」。で、「あの思いを娘にはさせられないよ」と言うんだけどね。独身の私はなおさらよ。お金を出せは遺品業者がきれいにしてくれるけれど、その前に要らない物は自分の手で片付けたいじゃない。てか、そうなるまでに、きれいに片付いた家で暮らしたい。

それで2週間前から、”捨て活”のコツの動画を見て「毎日、何か捨てる」を実行し始めたんだけどね。やり出してすぐにわかったのは私が66歳の今日までなぜ捨てられない女、片付けらない女だったかよ。片付けようという意識が強すぎたことが原因で、よしやる。絶対に人に見せられる部屋にすると、鼻息を荒くした段階で負け。気合い負けして30秒でくたびれて、「明日やろう」とぶん投げる。その繰り返しだったのよ。

オバ記者
「片づけよう」という気持ちが掃除の邪魔をしていた(写真は入院していた時の病室)
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片付けはそんな風に頑張ってすることじゃない。今日ひとつ、明日もひとつ、目についた不要品をタラ〜っとゴミ袋に入れて、それを家から出す。そんな風に小さく小さく始めて4、5日たつと、「要らないものはないかな?」と目で探すようになる。

それだけじゃない。これまで「要るもの」認定していたものが、「ん? あれ?」と疑いの目で見るようになったんだよね。こうしてちょっと勢いづいたので昨日はゴミ袋2つ、洋服を捨てた。4年前に亡くなった猫がボロボロにした毛布も、ちょっと抱きしめてからゴミ袋に突っ込んだ。やればできるじゃん、私!

オバ記者とねこ
19年連れ添った愛猫・三四郎との思い出も整理することができた
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◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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