家事・ライフ

専業主婦から社長になった薄井シンシアさんが伝授!スタッフ育成で活きた「子育てに必要な3つの“E”」

自分の常識を前提にしないコミュニケーションを

電子レンジも、私の発案でカフェテリアに導入したものの1つです。当時、タイの一般家庭に電子レンジはめったになくて、電子レンジを見たことがないスタッフもいました。でも、焼いてから時間が経ったパンも電子レンジでふかふかになったら、子供たちが喜ぶだろうと思って入れました。

薄井シンシア
「自分の常識が相手にとっても常識とは限らない」と言うシンシアさん
写真7枚

ところが、これも1か月経つと子供たちが「パンがかたい」「なんかパサパサ」と言い出しました。調べてみると、以前は当日の朝にパンを焼いていたのが、前日に焼く運用にいつの間にか変わっていました。スタッフは、焼いて時間が経っても電子レンジで加熱して出せば温かいし柔らかいからいいと思っているんです。

スタッフに悪気はないんですよ。ただ、電子レンジをよく知らないだけ。料理は出来立てが一番おいしいという前提はありつつ、レンジで温めたら冷めたままより美味しいよねという感覚が、彼らには分からない。電子レンジを使う日常を送っていないし、使っている人も周りにいないからです。「そうじゃなくて」と丁寧に説明して、パンは大変でも早朝から焼いてもらうようにしました。

自分の常識が相手にとっても常識とは限らない。これは今後、海外からの働き手が増えたり、高齢化社会で多世代交流したりするなかで、意識しておくべきことかもしれません。

◆LOF Hotel Management 日本法人社長・薄井シンシアさん

薄井シンシア
LOF Hotel Management 日本法人社長・薄井シンシアさん
写真7枚

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う大学のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラ社に入社し、オリンピックホスピタリティー担当就任するも五輪延期により失職。2021年5月から現職。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/藤岡雅樹 構成/赤坂麻実、編集部

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