甘みがあって、生で食べてもおいしい新玉ねぎが出回る春。この季節だけの味覚ですが、通年出回る黄玉ねぎと、栄養は異なるのでしょうか？ 野菜ソムリエプロの福島玲子さんに聞きました。また、せっかくの新玉ねぎをおいしくいただくレシピも教えてもらいました。
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疲労回復や抗酸化作用など、うれしい玉ねぎの栄養
乾燥させずに出荷される早取りの玉ねぎを新玉ねぎといいます。収穫から出荷までに1か月ほど乾燥させる黄玉ねぎよりも水分量が多く、やわらかくて甘みが強いですが、栄養成分に違いはありません。
涙が出る原因の成分は、実は体によい栄養
玉ねぎを切ったときに涙が出たり、食べて辛みを感じたりする原因の硫化アリルは、玉ねぎを切って細胞が破壊されることで、香り成分のアリシンに変化します。調理中には少し厄介に感じる成分ですが、新陳代謝をさかんにしたり、血液をサラサラにしたりとよい働きがあり、高血圧や糖尿病対策などに効果があるといわれています。
アリシンは、豚肉などに多く含まれるビタミンB1の吸収を促進し、ゆっくりと血液の中を流れて新陳代謝を促進するので、疲労回復に効果的です。
また、アリシンは熱に弱く、水にも溶け出しやすい栄養なので、生で食べたりスープに入れたりすると効率よく摂取できます。新玉ねぎは甘みがあって生食しやすいので、スライスサラダなどで食べるのがおすすめです。豚肉との組み合わせは効率的に栄養を摂るには最適でしょう。
ちなみに玉ねぎを切るときには、冷蔵庫でしっかりと冷やすことで、アリシンの揮発が弱まるので刺激を減らすことが期待できます。
抗酸化作用のほか“体にいい”栄養がたっぷり！
玉ねぎは野菜の中でケルセチンという成分の含有量がトップクラスです。ケルセチンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用のある脂溶性の栄養素です。
油と一緒に摂取することで吸収率が高まるといわれているので、油で炒めたり、マヨネーズと一緒に食べたりすると効率よく摂ることができます。ケルセチンは実よりも皮に多く含まれているので、よく洗ってから皮で出汁を取るのもおすすめです。
ほかにも、腸内環境を整えるオリゴ糖、食物繊維、ビタミンC、カルシウムなどが玉ねぎには含まれています。
野菜ソムリエプロおすすめのレンジ調理レシピ2選
最後に、新玉ねぎをおいしくいただくレシピをご紹介します。また、使い切れないときにおすすめの調理法もお話しします。
新玉ねのぎの甘みを味わう「レンチン蒸し玉ねぎ」
新玉ねぎは丸ごとレンジ調理で作ることができる「レンチン玉ねぎ」でいただくのがおすすめです。根の部分を切り落とし、食べやすいように切り込みを入れてから、ラップで包んで600Wの電子レンジで3～5分程度加熱するだけです。
湯気がふわっと広がった新玉ねぎに、かつおぶしと少量のしょうゆをかけたり、味噌とマヨネーズを和えたものをかけたりするとおいしいです。丸ごと1個の玉ねぎをぺろりと食べられちゃいますよ。
飴色玉ねぎは、レンジ調理＋砂糖で簡単に！
新玉ねぎは足が早く、せっかく買っても使い切れないこともあるかもしれません。そんなときは、飴色玉ねぎにして保存するといいですよ。飴色玉ねぎというと、長時間炒めるもので手間がかかるイメージがありますが、レンジ調理で時短できます。
みじん切りにした玉ねぎ（1個）に砂糖（小さじ2）をまぶして、耐熱容器に入れます。ラップをかけてから電子レンジ（600W）で3分加熱してから、フライパンで大さじ1のサラダオイルで約5分半ほど炒めると完成です。
玉ねぎの水分を排出させる作用がある砂糖をまぶすことで、水分が早く飛び、焦げやすくなるのです。手軽に、コクがあってふっくらときれいな飴色玉ねぎを作ることができますよ。
◆教えてくれたのは：野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成／イワイユウ