趣味・カルチャー

66歳オバ記者、1つ年を重ねて感じた 「変わったこと」と「変わらないこと」

オバ記者
1つ年を重ね、感じたこととは?
写真5枚

ライター歴30年を超えるベテランのオバ記者こと野原広子(66歳)。昨年、母の死、自身の大病などを経験。そして最近は心臓にも不安を抱えるようになった。そんななか誕生日を迎えまた1つ年を重ね、「年を取ること」を実感したのだった――。

* * *

大手術からめっきりお酒が弱くなった

ありがたいよねぇ。4年まえからFacebookを始めたら、今年の誕生日も「おめでとう」の花吹雪。人から「おめでとう」と言われることのない風来坊人生を送ってきた私は最初は戸惑ったけれど、いつの間にか「ありがとう」と心から手を合わせられるようになったの。われながら大人になったなぁと思うわ。

いやいや、大人になったどころじゃない。リアルでもお祝いしてくださる人がいて、3月31日は新宿御苑前の仕事仲間が割烹料理店で一席設けてくださり、女3人が個室でていねいな和食コースをいただきながらのブッチャケ話のまぁ面白いこと! 乾杯の小ビールと、一合のぬる燗をちびちびやっているうちに、「じゃあ、二次会へ」ということなって新宿歌舞伎町、ゴールデン街へ。

オバ記者
昨年、6時間もの手術を終えたオバ記者
写真5枚

いまでこそ銀座の近くに住んでいるけれど、上京してから私にとっての繁華街といったら新宿なんだよね。あまりに肌になじむので31歳で歌舞伎町に事務所を構えたほどだ。だけど私は、あの頃の私ではない。昨秋の大手術からめっきりお酒が弱くなって、心臓の調子もいまいちだ。親子ほど年の違う仕事仲間の見事な飲みっぷりに飲まれぬよう、ちびちびシャンパンをなめながら笑ってしゃべって、そろそろお開き、となったのが午前2時半。

ブルッときたら風邪、間違いなしなのに…

「なんか、今夜は年に3回のタクシーが捕まらない日だとタクシーの運転手さんが言っていたよ」と後から合流した昔なじみの編集者が言う通り、靖国通りは人であふれているではないの。バブル期は一万円札をピラピラさせてもタクシーに乗車拒否をされていたけど、そんなレベルじゃない。奪い合いたくても「空車」がこないんだから。

結局、朝まで開いている喫茶店で時間をつぶしてから始発で家に帰ったけれど、その夜は特に寒かったんだよね。出がけに「ダウンをバッグの底に押し込んでいこうかな」とチラリと思ったけれど、その前日、暑い中をコートを羽織っていってひどい目にあっている。「やーめた!」と決断したら大外れよ。

ブルッときたら風邪、間違いなしなのに、この夜は「ブルっ」×15回くらい。だけどそこはホレ、年の功だね。家に帰るなりうがいをして、葛根湯を飲んですぐにお布団の中へもぐりこんだの。翌日、1日ベッドの中で養生したら、その次の日は何ごともなかったよう

女の園が妙に居心地がいい

一昨年、取材で出会った観相学研究家の木村れい子さんと女性カメラマンの楠聖子さん、編集者のSさんと3人と、なぜかウマがあって定期的に飲み会を開いているんだけど、この日は昼のランチ会で「誕生日、おめでとう」ということになったの。この日も3時間、4者4様の話が飛び交い、楽しいなんてもんじゃない。

観相学研究家の木村れい子さんと
写真5枚

思えば私、農業高校の女子クラス出だからか、女の園が妙に居心地がいいんだわ。女性週刊誌の編集部とか趣味で通った洋裁教室とか、今通っているヨガ教室も気が付けば女ばかりよ。「でも女同士のマウント合戦とか、陰口とか、めんどくさいじゃない」と言われるけれど、実はこう思ったことが一度もないんだわ。そんな私を「女たらし」と言った男友だちがいたっけ。

なんてことを布団の中の夢うつつで思い出していた私。人の輪の中に入るとはしゃいで翌日にはダウンしちゃうんだよね。で、寝ては起き、ちょっと出かけて仕事をしては寝て、目覚めには心臓がバクバク。私、どうなっちゃうんだろう。

そんな日が数日続いたら、なんと、またまたしたいことが思い浮かんできたの。それはお茶会に混ぜてもらうこと。

心臓のご機嫌がすこぶるいい

私の生まれ故郷・桜川市では毎月第一木曜日に一般に門戸をひらいている「一黙会」が開催されているのよ。新緑と桜と菜の花のこの季節、どんな趣向をこらすのかしらと思ったら、いてもたってもいられなくなったの。と言ったところで年に一二度、茶室に座ったくらいで何言うかって話なんだけどね。幼なじみのE子をはじめ、着物姿が板についた同世代の話を聞く楽しさといったらないんだわ。

天ざるそば
絶品の天ざるそば
写真5枚

その前の腹ごしらえは車でひと山超えて八郷町の「ふるさと食堂」へ。天ざる(1000円)はふだん私が喜んですすり上げているアルバイト先の議員会館の安蕎麦とは別ものよ。

というわけでおっかなびっくりの66歳を迎えたけれど、ひと山超えたのかしら。今朝は心臓のご機嫌がすこぶるいいんだわ。

そういえば田舎のお茶会で会う同級生のY子に「今日は来ないの?」と参加を呼びかけたら、「それがさぁ。足首を捻挫しちゃって1か月も治らないのよ」と言うんだわ。スポーツ万能で私と違って不摂生とは縁のない正しい主婦のY子が?!

もちろん人それぞれで濃淡はあるけれどみんな年をとるんだなと思ったらちょっとホッとしちゃった。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
写真5枚

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

【342】大病を経験して考え始めた「終活」 老後資金の不安が「保険」で解消?

【341】考え始めた「終活」 きっかけは母の死、大病、そして心臓の“異変”

→オバ記者の過去の連載はコチラ