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「現金」と「クレジットカード」「デビットカード」海外ではどう使い分けるのがお得?お金のプロが解説

50ドル札とパスポート
海外旅行で使うのは現金?カード?(Ph/photoAC)
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コロナ禍の行動規制が緩和され、海外旅行を考えている人もいるのではないでしょうか。円安が続く今、海外での買い物はよりシビアです。そこで、現金とカードのどちらを使うのがいいか、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。

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トラベラーズチェックは2014年に終了

かつて、海外渡航時の決済手段としてポピュラーだったトラベラーズチェック。現金を持ち歩く代わりにサインをするだけで使える小切手のようなサービスで、盗難やスリの被害に遭いやすい現金よりも安全でした。

しかし、トラベラーズチェックは2014年3月末に日本での販売が終了しています。有効期限は定められてないので今も使うことはできますが、換金できる場所は国内外問わず減ってきています。そのため渡航前に、以前の残りなど未使用のものがないか確認しておくとよいでしょう。未使用のものがある場合は早めに換金をすることをおすすめします。

海外で使えるのは主に現金、クレジットカード、デビットカード

海外での支払いに使える方法としては、現金・クレジットカード・デビットカードがありますが、使い分けることで海外で賢く買い物ができます。

チップや小さな買い物では現金が必要

海外はキャッシュレス化が日本以上に進んでおり、現金を使う場面は少ないです。とはいえ、クレジットカード不可の店舗で買い物をする際やチップを渡すときに、どうしても現金が必要になります。

折り鶴と紙幣
カード社会でも、チップなど、どうしても現金が必要なことも(Ph/photoAC)
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さらに盗難やスリの被害に遭った場合に戻ってこないというリスクもあります。特に日本人は現金やデジカメ、ノートパソコンなどの高額商品を多く持っていると認識されており、海外でのスリやひったくり、置き引きの被害に遭いやすいので、海外ではとくに気を付けましょう。

現金を現地通貨へ両替するときは、日本と現地での両替レートが異なります。日本で現地通貨を両替する場合、米ドルやユーロ・英ポンドといったメジャーな通貨は日本で、そのほかのマイナーな通貨は現地で両替するのがおすすめです。

海外のATM
マイナーな通貨は現地で両替したほうがよいことも(Ph/photoAC)
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その理由は手数料で、マイナー通貨の場合、10%以上の手数料がかかることがあります。また、残った現地通貨を日本円に交換する際も同様に10%以上の手数料が必要となり、往復で20%以上かかることになります。

個人的な経験談ですが、とあるマイナー通貨の地域へ行ったときに日本円のレートがかなり悪かったので、米ドルに交換してから米ドルを現地通貨に交換した方がお得だったことがあります。旅行先によっては日本円だけよりも米ドルを持っていくことをおすすめします。

デビットカードは使いすぎ防止に

デビットカードも海外渡航時に便利な1枚。自身の口座残高から即時引き落としされるので、使った金額が可視化しやすく使い過ぎの防止になります。もちろん、多額の現金を持ち歩かずに済むので安全、かつ海外のATMで現地通貨を引き出せるので使いやすく便利です。クレジットカード同様、盗難された際には補償を受けることもできます。

通帳、家計簿、電卓、カード
口座から即引き落としされる「デビットカード」(Ph/photoAC)
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なかでも、ソニー銀行のVisaデビット付キャッシュカード「Sony Bank WALLET」は、外貨普通預金口座を作り、その残高内でVisa加盟店で決済した場合、手数料がかからないのでおすすめです(https://moneykit.net/visitor/sbw/sbw09.html)

ただし、外貨普通預金口座がない、または残高が足りない場合は、1.79%の事務処理経費(Visaの指定するレートで円換算した金額)が円普通預金口座から引き落とされてしまうので、注意しましょう。

「Sony Bank WALLET」の手数料表
「Sony Bank WALLET」なら手数料がお得に(ソニー銀行HPより)
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使い方はとても簡単。例えばハワイへ行きたいと思ったら、日本でソニー銀行(ネット)で米ドルを買って、その米ドルを使って、現地でSonyBankWALLET(キャッシュカード)でお買い物をすると、即時に外貨口座から米ドルが引き落としされる仕組みです。

決済手段はクレジットカードのVISAなので、VISA取扱店舗であれば利用することができます。対象の外貨は、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン、香港ドル、南アランド、スウェーデンクローナの10通貨ですので、対象となる地域へ旅行に行く際は、作っておいて損はない口座と言えるでしょう。

世界中ほとんどのシーンで使用可能なクレジットカード

万が一盗難の被害に遭った場合も、補償やサポートを受けられるというのがクレジットカード最大のメリットです。デビットカード同様、現金を持ち歩かなくていいのも安全なうえに、地域によって多少の違いはあれど、現在クレジットカードはほとんどの場面で使用可能です。

ウエストポーチと現金
盗難にあったなど、万が一のときにカードのメリットは大きい(Ph/photoAC)
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もちろん、利用額に応じてクレジットカードのポイントも貯まりますし、キャッシング枠があれば、海外で現金を引き出すこともできます。海外事務手数料がかかってしまいますが、為替レートに関係なくカード会社によって一律に決められているため、海外事務手数料の安いカードを選ぶことが海外でクレジットカードを使うコツです。

また、決済方法には日本円決済と現地通貨決済があります。日本円決済は買い物をした店舗がレートを決めることができ、高額レートでの請求をされる場合があります。そのためカード会社がレートを開示している現地通貨決済のほうが安心といえるでしょう。(https://qa.smbc-card.com/mem/detail?site=4H4A00IO&id=349)

現金の換金手数料が2.0〜10%なのに対し、クレジットカードの手数料は高くても2.0%程度なので、現金よりクレジットカードを使って損をするということは基本的にありません。そのため、結論としては、海外事務手数料が安いクレジットカードをメインで使うのがよいでしょう。

一万円札とクレジットカード
海外でクレジットカードを使うときは、ショッピング保険が付帯しているものを選んで(Ph/photoAC)
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また、海外でのクレジットカードの利用にはとくに、ショッピング保険が付帯しているものがおすすめです。国内・海外を問わず、クレジットカードで購入した商品が、万が一破損した場合や盗難にあった場合、ショッピング保険が適用され、補償を受けることができます。旅行前にご自身がお使いのクレジットカードと保険の適用条件を確認しておくと安心です。

海外旅行では、最低限の現金と手数料無料で使えるデビットカードも持って、場面に合わせてスマートに使い分けるようにしましょう。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
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節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/吉田可奈

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