人間関係

「今日こんなことがあって…」と仕事の不満を口にする妻に夫が絶対にやってはいけないのは「的確なアドバイス」

仲の良い夫婦
夫と気持ちよく話すためのルールは3つ(Ph/GettyImages)
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夫と気持ちよく話すための3つのルール

男性と気持ちよく会話するためには、戦略なしでは無理。そこで、夫を実験台にして、男性との対話術をマスターしてみませんか?

【1】3秒ルール

声をかけるとき、名前を呼んでから、本題に入るまで、2〜3秒の間を入れましょう。何かに気を取られている男性脳は、音声認識機能停止中と心得てください。「あなた、映画のチケット、とってくれるって言ったよね。あれ、とってくれた?」みたいなフレーズをいきなりまくしたてると、男性脳は、音声認識に失敗して、「ホエホエホエホエ、ホエフェッホ〜?」みたいに聞こえているのです。したがって、「はぁ?」と聞き返されていや〜な感じになる。

これを避けるために、「あなた、《2〜3秒》、映画のチケット、とってくれるって言ったよね」のように、間を入れるのです。話始めがスムーズになり、イライラが減りますよ。

【2】結論から言う、数字を言う

男性脳は、目的のない話に弱いので、最初に、目的や結論を告げます。また、数字を使うこともおすすめします。数字は、問題解決型の脳のカンフル剤。数字を入れると、意識が遠のく確率が減るからです。というわけで話の最初に、「お母様の七回忌について相談があるの。ポイントは3つ」のように導入します。

私は、自分の気持ちを語るときも、この手を使います。「これから、今日、私に起こった悲しい出来事を話してあげるね。あなたがするのは優しい共感。わかった?」男性は「優しい共感」こそが問題解決の道だとわかれば、見事に共感してくれます。

【3】共感をルールにする

我が家では、最低限の共感を夫婦のルールにしています。「私がテンパってキーッとなったら、理由はどうであれ、夫は『大丈夫?』と言いながら私の背中を撫でる」という約束。いつだったか、夫自身のことばで私がカチンときてキーッとなったとき、夫は何を思ったのか、とことこっとやってきて、「大丈夫?」って私の背中を撫でてくれました。

「いやいや、だいじょばないよ。あなたのせいだし」と、心の中では思いましたが、ルールを切ないくらいに順守してくれる夫に、なんだか愛おしさを感じました。

男性は、ルール順守が好き。だから、ルールにしておく。気持ちがないのに、いいのかって? これがけっこう大丈夫。人は案外、ことばだけでも、落ち着くもの。私のように、ルールを守ってくれること自体に愛しさが溢れることもありますしね。ぜひ試してみてください。

息子の共感力は母親にかかっている

ところで、小さな男の子は、ママにうんと優しいことばを言ってくれるのに、いつの間に、夫のようになってしまうのでしょうか。実は、思春期に分泌を増やす、男性ホルモン「テストステロン」が、男性の脳を問題解決型に導いているのです。つまり、思春期を機に、夫のような脳に変わっていくわけ。

ただし、その前に、母と子の間で、十分に共感型の会話体験があると、男子は、大人なっても、韓流ドラマのイケメンたちのような優しい口を利いてくれるのです。ところが、日本の母親たちは、子どもに対して命令と指図と叱責しか言わないことが多いように感じます。「学校、どう?」「宿題したの?」「早く風呂に入りなさい」「さっさと食べて。あー、こぼした!」なんて具合。これは実は、問題解決型の対話です。

男性脳を育てるという意味では、それは惜しい気がします。子どもと、ほんわかした優しい会話を交わす。「花が咲いてるよ」「風が気持ちいね」「全部食べたの。ありがとう、嬉しいわ」のように。駄々をこねたときも、「うるさい。言うこと聞かないと置いてくわよ」と言わずに「⚪️⚪️したいのよね。うんとわかる」と、せめて気持ちだけは受け止めてやる。
脳は、入力されなければ、出力できません。こういう優しい対話が入力されていれば、一生、女性との対話に困らない、モテ男子に育ちます。男の子をお育てのかたは、夫だけ
ではなく、息子の対話力も気にしてあげましょう。

◆著者:人工知能研究者、脳科学コメンテイター・黒川伊保子

人工知能研究者、脳科学コメンテイター・黒川伊保子
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1959年長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、”世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。著書に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(講談社)『思春期のトリセツ』(小学館)『60歳のトリセツ』(扶桑社)など多数。

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