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《老いを実感した日》66歳オバ記者、ちょっとした段差ですっ転ぶ 手を差し伸べてくれた若者にすがりつけず…そのときどうした?

驚いた築地本願寺…そして「野原広子」の4文字になる日

先日、古いライター仲間のAさんと築地でお寿司を食べようということになったのね。で、寿司屋さんに向かう途中、築地本願寺に差し掛かったときにAさんが「実はうちの両親、ここに埋葬したのよ。3年前に納骨してそれきりだけどちょっと寄ってみようかな」と言うの。3年も墓参りをしなかったということにも驚いたけど、もっとびっくりしたのは築地本願寺のシステムよ。

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ライターAさんの両親が眠る築地本願寺の合同葬
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ここには墓碑はなくて石壁に名前を彫られるだけ。一定の料金を払えば粉骨をしたお骨はずっと預かってくれるっていうの。

6年喪中が続く私は、この間、田舎のお墓に何回手を合わせたかわからない。両親と弟の法事もまだまだ続く。それはそれでいいけれど自分が亡くなったらどうするの、と考えたら田舎の実家のお墓に入るのは現実的じゃないんだよね。

そんなことを考えながら、先日も築地に買い物に行ったついでにAさんのご両親のお名前をそっと撫でてきちゃった。

オバ記者
終活の一環で始めたポイ生活は思いのほか順調に進んでいる
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「野原広子」。この4文字のなる日がいつになるかはわからないけれど、それまで身辺を軽くしていたいというのが切なる願い。そのために「毎日、何か捨てる」を続けていて、先日は「いつかどこかで使うかも」と取っておいたほぼ新品の突っ張り棚をポイ。洋服も「高かったんだよね」と思った次の瞬間、「でももう100円でも売れない」とポイ。「パリの蚤の市で買ったのよ」と思うと同時に「でももう着ない」でポイ。Tシャツはシミがついていたらポイ。布地がくたびれていたらポイ。

捨てるってこんなに気持ちいいことだったんだね。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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