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にわかに注目「トンチン年金」って?注意点は?長生きリスクに備える対策をFPが指南

長生きのイメージ
長生きすると老後資金が足りなくなる可能性も?(Ph/photoAC)
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「トンチン年金」を知っていますか? 亡くなるまで年金を受け取ることができる終身年金制度の一種で、長生きをすることで、老後の資金が減るリスクへの対応が可能な仕組みとしてにわかに注目を集めています。節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、トンチン年金の仕組みと長生きリスクに対応するための手段について教えてもらいました。

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終身年金保険のトンチン年金

トンチン年金とは、加入者が亡くなるまで年金を受給できる、民間の保険会社が提供している終身年金保険の一種です。一般的な終身年金保険では、受給開始前に被保険者が亡くなった場合、払込保険料相当額が死亡給付金として支払われますが、トンチン年金の場合はこの金額が低く設定されています。

老後のイメージ
トンチン年金の仕組みを解説(Ph/photoAC)
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トンチン年金のメリット

トンチン年金のメリットは、長生きすればするほど年金を多く受け取ることができ、長生きすることで、老後の資金が減るリスクに備えることができること。公的年金だけでは生活が心もとない人がお守りとして加入しておくのは、ひとつの選択肢となるでしょう。

トンチン年金の注意点

トンチン年金の仕組みは、死亡時の払戻金を一般的な個人年金保険より低く設定し、その分を生きている人の年金原資に回します。そのため長生きすればするほど、支払った保険料に対する年金受給額が多くなります。

このように、加入者の死亡時期がいつになるかで給付額が変わる不確定要素の多い仕組みのため、死亡時期によっては支払総額を上回る金額を受給できず、結果的に損をしてしまう可能性もあります。

保険証券と現金
死亡時期によっては損をする可能性もあるトンチン年金(Ph/photoAC)
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長生きリスクに備えるのならまずはiDeCoから

今後、各社で終身保険が改良されたり、公的年金の受給額が一層減額されたりした場合はトンチン年金も有力な選択肢となる可能性がありますが、先に述べたように不確定要素が多い面は否めません。長生きリスクに備えるのであれば、他の制度もあります。まずはiDeCo(個人型確定拠出年金)を検討しましょう。

iDeCoは毎月一定額を拠出し、投資信託などで運用して、運用した資産を60歳以降に受け取ることができる仕組みです。60歳まで引き出せないデメリットはあるものの、非課税で運用できたり、掛け金は全額所得から控除できたりとさまざまなメリットがあります。仮に50歳であっても要件を満たせば、最長15年は積み立てができますし、15年程度運用ができれば一定の金額は増やせるとみていいでしょう。

NISAでの資産運用もおすすめ

長生きリスクに備えて資産運用をするのであれば、NISA(少額投資非課税制度)を使った資産運用もおすすめです。

NISAのイメージ
老後資金のためにNISAなどで資産運用する方法も(Ph/photoAC)
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NISA口座は証券口座の1つで、iDeCoと同様に投資で出た利益等にかかる税金(20.315%)非課税になるメリットがありますが、こちらはいつでも引き出すことができます。2024年1月からは新しいNISA(新NISA)として、非課税投資枠が1800万円に拡大してさらに運用しやすくなりました。年齢や働き方などによっては、NISA口座を使った資産運用も一案です。

あくまで投資ですので、投資の判断は自己責任のもとで行いましょう。また、ご自身での資産運用が不安な場合は、運用プランを決めて、お金を入れたら全自動で資産運用ができる、ウェルスナビなどのロボアドバイザーに資産運用の一部を任せてしまう方法もあります。

公的年金の繰り下げ受給

また、それでも資産や受給額が心もとない場合は、公的年金を繰り下げ受給するという方法もあります。繰り下げ受給とは、66~75歳の間に公的年金の受給を開始する制度で、1か月受給を遅らせるごとに、年金額が0.7%増額され、75歳まで繰り下げれば最大84%増額されます(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html)

iDeCoやNISAで資産形成をしつつ、働けるうちはしっかり働いてから繰り下げ受給をするなど対策をして、長生きをすることで老後の資金が減るリスクに備える方法を今から考えておくのがよいでしょう。

◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

丸山晴美さん
節約アドバイザー・丸山晴美さん
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節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/

構成/新藤まつり

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