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生命保険をかけすぎている人は要注意!見直すカギは「老後に必要な金額」の把握

保険のパンフレットと虫眼鏡
保険にお金を払いすぎていない?(Ph/photoAC)
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自分や家族に不測の事態があったときに備えて入る保険。ライフステージによって見直すべきだと言われますが、ポイントがわかりにくいものですよね。そこで、生活コスト削減コンサルタントの生方正さんから、将来のお金の不安をなくすために知っておきたい、保険の見直し方と、残りの人生に必要な資産と支出を把握するべき理由を教えてもらいました。

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将来必要な金額を計算して保険を見直す

どんな保障がついている保険に加入するのかは、その人の資産背景と家族構成などによって大きく異なります。まずは、現在自分がどれだけの支出をしていて、将来いくら必要なのかを認識することから始めましょう。

月々の家計を洗い出して老後に必要なお金を計算する

保険の見直しに悩んでいるならば、まず自分の毎月の家計を把握することをおすすめします。そうすることで、老後に必要な金額が少し見えてくるはずです。もちろん、年齢や家族構成などさまざまな要素によってその金額は異なってきますが、将来の見通しを知ることは“今、いくら使っていいのか”ということを把握することにつながっていきます。月に10万円で生活する人と30万円で生活する人とでは、必要な金額が3倍も変わりますから。

年金手帳と現金
もらえる年金と将来的な支出を考えて、保険の見直しを(Ph/photoAC)
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さらに、年金をいくら受給できるのかと、仕事をやめてから年金受給までの期間にいくら必要なのかが分かれば、仕事をしている間に貯蓄しておくべき金額やどの程度の補償額の保険に加入するのが適しているのか、そのヒントが見えてくるはずです。

見積もりを出して支出をコントロールする

生命保険の必要な補償額は、残された家族が当面暮らしていくのに困らない金額があれば足りるはずです。それなのに、死亡保障を掛けすぎて掛け金が生活費を圧迫していないか確認しましょう。自分や家族が今後いくら必要なのか見積もりを出してみるだけで、かけすぎている保険料を減らすこともできますよ。

支払う金額に対して受け取れる補償のほうが大きい、契約する価値のある保険を選び、支出をできるだけ減らしておくのが理想です。

知っておくべき医療費の知識

お金の知識が乏しいことで、保険に過剰に加入していることに気づいてない人もいます。保険を見直すときは知識を高めておくことも大切です。

「高額療養費制度」に記入している
「高額療養費制度」を使えば負担が減ることも(Ph/photoAC)
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今入っている保険は本当に必要か?

私の場合、自衛隊に入隊していた28年の間、けがに備えて傷害保険に入っていました。この間に保険で回収できたのは首を骨折して入院した1回だけだったんです。掛け金は月9000円、総額302万円を支払い、結果的に5分の4以上は戻ってこなかったということになります。

怪我で入院したのが1回だけで済んだのはよかったですし、万が一の“備え”として支払うのが保険といえるのですが、今振り返ってみると一番よい選択は、はじめから保険に加入しなかったことだと思っています。

「高額療養費制度」で上限を超えた分は還付

日本では、国民健康保険があるので医療費は3割負担ですし、もし大けがをして数百万円の医療費を請求されても、「高額療養費制度」を使うことで月の支払いの上限金額を超えた分が還付されます。

自己負担の限度額は年齢や前年の所得により代わりますが、年齢が69歳以下で所得額770万円未満の世帯であれば、1か月に支払う医療費の上限は約9万円です。

ただし、公的医療保険の利かない高額な医療費は対象外です。全額自己負担になる歯のインプラント治療などの自由診療だけでなく、先進医療も対象外になるので医療保険は慎重に選択しましょう。

◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん

生方正さん
生活コスト削減コンサルタント・生方正さん(Ph/藤中一平、イメージコンサルタント/坂井二朗)
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うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約術』(WAVE出版)など。

構成/イワイユウ

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