ヘアケア

スマホが原因の”スマホハゲ”や”スマホ白髪”になることも 肩や首のコリをほぐす簡単マッサージで対策

髪トラブルの原因は目と脳の疲れも

辻さんによると、スマホやパソコンによる目や脳の疲れも、髪を不健康にする一因となっているといいます。

眼精疲労が目だけでなく髪にも悪い理由

スマホの普及により目ばかりを使う生活を送っていると、目のピントを合わせる筋肉が働きっぱなしになるため、だんだんと疲れて正常な動きができなくなります。これが、眼精疲労と呼ばれるものです。

「眼精疲労は、目の筋肉のこわばりから、首や肩のコリを引き起こし、血流を滞らせるだけでなく、自律神経の乱れも招きます。ピントを調節する目の筋肉は自律神経がコントロールしているので、目を使いすぎてこの筋肉が疲れると、自律神経のバランスが崩れてしまうんです。

首のコリと同様に、眼精疲労も放置していると“スマホ白髪”や“スマホハゲ”を招きます。先ほどお話したように、マッサージや生活の改善をおすすめします」

目頭を押さえる女性
眼精疲労の放置はNG(Ph/photoAC)
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脳疲労が引き起こす自律神経の乱れにも注意

「姿勢と眼精疲労に加えて、情報過多による脳疲労にも気をつけていただきたいものです」と辻さんはアドバイスします。「仕事や家事の合間、寝る前など、ひたすらスマホで何かを見ていませんか? この時間、あなたの体は休めていても、脳は刺激を受け続けています。無意識のうちに新しい情報が休みなく流れ込んで働き続けると、脳は疲れ切ってしまいます」

現代人が1日に得る情報量は、江戸時代の1年分、室町時代の一生分といわれています。令和時代の脳は情報を処理するために活発に働き、自律神経の交感神経を優位にします。すると、体は緊張状態が続き、休息や睡眠を促す副交感神経への切り替えがうまくできなくなり、自律神経が乱れやすくなります。ただ、情報化社会となった今、スマホは手放せないもの。髪のためには、どうするべきなのでしょうか?

「だからといって、スマホを使わないのは難しいと思います。マッサージで頭皮を柔らかくすることで頭皮に血流が促されて、美しく豊かな髪が育つようになりますよ」

コロナ時代ならではの“マスク白髪”“マスクハゲ”

新型コロナウイルス感染症の流行により、外出時はマスクをつけるようになりました。これも実は、育毛に影響があると辻さんは指摘します。

マスクをしている女性
コロナ禍のマスク生活も髪トラブルの原因に…(Ph/photoAC)
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表情筋が衰えると頭皮にも悪影響が及ぶ

マスクによって顔の半分が隠れていることから表情が乏しくなり、表情筋が衰えてしまう人が増えていると辻さんは話します。

「表情筋が衰えると、重力に引かれて、おでこのあたりにある前頭筋が下に落ち、頭頂部にある帽状腱膜を引っ張ります。すると、帽状腱膜の上にある頭皮が、下に引き伸ばされてしまうんです。

ゴムホースをつぶすと水が流れにくくなるように、頭皮にある毛細血管も引っ張られて狭くなり、血液がスムーズに流れにくくなります」

水分不足で血流が悪くなると髪がボロボロに

マスク生活で喉の乾きを感じにくくなったと感じた人はいませんか? それにより水分不足になっているケースがあるそうです。体の水分が不足すると血液中の液体成分が減り、血がドロドロに。やはり、血流が悪くなってしまうそうです。

「血流が悪くなると、毛細血管をはじめとする細い血管しかない頭皮までうまく血が巡らなくなります。髪は血液が運ぶ栄養によって育まれるので、これでは豊かな髪が育ちません」

口呼吸になりやすいマスク生活にも注意

口呼吸による自律神経の乱れも、マスク生活によって招かれやすいとのことです。

「マスク生活で無意識に口呼吸になっている人が増えています。そうすると、体と精神をオンの状態にする交感神経が活発な状態が長く続きます。鼻呼吸は副交感神経を優位にしますが、口呼吸中心となり、オンオフの切り替えがスムーズに行われないと自律神経が乱れるのです」

マスクをしていると鼻呼吸がしにくいと感じる人は、夜寝る前にベッドの中で深呼吸をしてから眠りにつくようにするといいのだそうです。深呼吸することで副交感神経が優位になり、自律神経が整って頭皮に血流が回るだけでなく、リラックスできて質のよい睡眠をもたらしてくれると、辻さんはアドバイスします。

◆教えてくれたのは:管理理容師、理容師、ヘッドスパ専門店「PULA(プーラ)」経営者・辻敦哉さん

辻敦哉さん
管理理容師、理容師の辻敦哉さん
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1979年、埼玉県浦和市生まれ。埼玉県理容専門学校、東京文化美容専門学校を卒業、ロンドンTONI&GUYアカデミー修了。サロンで店長、営業推進部長を務めたのち、2011年に独立。現在は後進の育成に注力し、プーラ式ヘッドスパ専門店を全国展開中。著書に今年5月に出版した『「髪が増えるしくみ」から考案 頭皮が蘇るすごいマッサージ』、『育毛のプロが教える髪が増える髪が太くなるすごい方法』(ともにアスコム)など。

◆美容外科、皮膚科医師・コッツフォード良枝さん

日本抗加齢医学会専門医、銀座禅クリニック院長。 山梨大学医学部卒業後、国際医療センター国府台病院を経て、日本医科大学麻酔科学講座に入局。2011年から皮膚科、美容皮膚科、美容外科に従事する。フジテレビ『バイキング』、毎日放送『林先生が驚く初耳学!』、テレビ東京『なないろ日和!』などに出演するなど、メディアでも活躍中。

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