ヘアケア

春こそ注意したい「髪や頭皮のトラブル」、紫外線や乾燥から守るには?医師が語る

女性の後ろ姿
春に起こる髪や頭皮のトラブルの解決法をドクターハッシーが指南(Ph/photoAC)
写真6枚

髪が傷むのは、乾燥する冬だけではありません。春だからこそ受ける髪や頭皮のダメージの傾向を知り、対策をすることが健康的な髪を保つために重要です。春における髪トラブルの原因とその改善方法について、登録者数60万人を超えるYouTubeチャンネルで人気のドクターハッシーこと内科医の橋本将吉さんに聞きました。

春は髪のダメージが蓄積されやすい

東洋医学の考えでは、四季のある日本に住む私たちは、季節によって体の仕組みが少し変わるのだと橋本さんは語ります。

「秋は寒い冬に備えて体にエネルギーを蓄えようとするため食欲が増します。だから“食欲の秋”なんですね。冬はそのエネルギーを逃さないように省エネモードになり、春になると夏に向かって活発になっていきます。春先はその切り替わりどきですから、冬の延長で体はなまっているし、エネルギーが足りない状態です。

エネルギーが足りない影響は、髪の毛や爪に現れやすい。生命に必要な内臓から遠い指先や耳から凍傷が起きるように、エネルギーは臓器などに優先的に使われて、髪や爪は後回しにされてしまうのです」(橋本さん・以下同)

髪の毛をつかむ女性
春はエネルギーが他に使われてしまうため髪や爪は後回しに(Ph/photoAC)
写真6枚

紫外線はすでに“無視できない量”が降り注いでいる

空気が乾燥するのは冬というイメージがありますが、春も引き続き乾燥しているうえ、強い風が吹きやすい季節でもあります。

「髪が乾燥するとパサついたり、枝毛や切れ毛の原因になります。風に吹きつけられて花粉やホコリが髪や頭皮に付着したまま放置してしまうと、かゆみやフケの原因になりかねません。特に春は気温が上昇し、汗ばむ季節です。皮脂分泌が活発になるので、毛穴を塞がないように毎日のケアが大切になってきます。

日傘をさした女性が歩いている
肌と一緒に髪の毛もしっかり紫外線対策を(Ph/photoAC)
写真6枚

紫外線のピークは7月ですが、春にはもうアンチエイジング的には無視できない量が降り注いでいます。紫外線対策として肌は日焼け止めなどをするのに、髪のケアは見逃しがちです。髪の毛はケラチンと呼ばれるたんぱく質で構成されていますが、紫外線によりたんぱく質のもとになるアミノ酸が酸化して髪が痛み、艶を失う原因となります。頭皮が炎症を起こすと、毛根にもダメージがあります」

健康的な髪は食事で決まる

アンチエイジング的には油断しがちな春ですが、気を抜けないことが分かりました。春の髪のトラブル対策は、紫外線や乾燥から守ることです。

「紫外線対策は帽子をかぶる、髪用の日焼け止めスプレーや保湿オイルを使用する、などが挙げられます。髪を洗う前にブラッシングをして髪のホコリを落とし、湯船に浸かって頭皮の毛穴を開かせてから洗髪すると、しっかりと汚れを洗い流すことができます。その際には傷つけないよう爪を立てず、指の腹で頭皮をマッサージすると血行が良くなり、毛根が元気になりますよ」

艶やかな髪をつくり、抜け毛を防止するには、食事も重要です。

「髪はたんぱく質でできているので、良質なたんぱく質であり完全栄養食品と呼ばれる卵が、毛髪トラブル対策に有効な栄養源としておすすめです。また、もし抜け毛が気になっている人は、同じくたんぱく質が豊富で、イソフラボンも含まれる納豆も食事に取り入れてはいかがでしょうか。

たまご
髪はたんぱく質。卵や納豆などが毛髪トラブル対策に有効(Ph/photoAC)
写真6枚

イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをします。男性ホルモンが毛根にあるレセプター(受容体)にくっつくと、毛髪が抜けやすくなることがわかっています。ですから、イソフラボンが抜け毛対策になることが期待できます」

髪の毛を作る毛母細胞を活発にする亜鉛

毛乳頭から栄養素や酸素を受けとり、細胞分裂することで、髪の毛を黒くしたり髪の毛をつくりだしたりする毛母細胞があります。この細胞を活発にするのが亜鉛です。

「毛母細胞が細胞分裂して増殖することで、髪が生えたり伸びたりするのですが、その際に亜鉛をたくさん使います。そこで食べていただきたいのは、亜鉛が豊富なレバーです。ただし、レバーを摂りすぎると余分な脂が皮脂腺から出て、毛根を詰まらせる原因になります。食べすぎには注意してください。

レバー
毛母細胞を活発にするにはレバーがおすすめ。抹茶も◎(Ph/photo AC)
写真6枚

亜鉛は抹茶にも多く含まれているので、こちらのほうが生活に取り入れやすいかもしれません。しかも抹茶は細菌やウイルスから身を守る効果のあるカテキンも含まれているので、一石二鳥です」

◆教えてくれたのは:内科医 ・橋本将吉(ドクターハッシー)さん

内科医 ・橋本将吉(ドクターハッシー)さん
内科医 ・橋本将吉(ドクターハッシー)さん
写真6枚

東京都出身。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「医学教育という専門領域から、日本と世界の明るい未来を創造する」という理念の元、リーフェホールディングス(旧リーフェ)を設立。医学生向けの個別指導塾『医学生道場 』(https://igakuseidojo.com/)の運営や、YouTuber『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』として健康情報の発信。2022年9月に健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』 (https://healthcare-academy.co.jp/)をリリース。2か月で300人を突破。

取材・文/小山内麗香

●そのシャンプーのやり方、実は髪にダメージ!毛髪診断士が解説するヘアケア習慣

●育毛の常識を見直そう!「頭皮ケアのみではNG」の理由と育毛のプロがすすめるマッサージのやり方