エンタメ・韓流

ダークヒロインを演じる綾瀬はるか、「拳銃を構える姿」はなぜ見る人を惹きつけるのか?

『リボルバー・リリー』場面写真
綾瀬はるかの凜々しき拳銃を構える姿 (c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

綾瀬はるかさん(38歳)が主演を務めた映画『リボルバー・リリー』が8月11日より公開中です。数多くの名作を手がけてきた行定勲監督の最新作である本作は、大正時代を舞台に暗躍する女性主人公の姿を描いたもの。豪華キャスト陣による華麗なアクションだけでなく、激動の時代を背景とした人間ドラマも見ごたえある作品に仕上がっています。本作の見どころや綾瀬さんの演技について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説します。

* * *

綾瀬はるかと行定勲監督が約20年ぶりに再タッグ

本作は、作家・長浦京さんが大藪春彦賞を受賞した同名小説を、『GO』(2001年)や『世界の中心で、愛をさけぶ』(2003年)、『劇場』(2020年)など、数々の名作を手がけてきた行定勲監督が映画化したもの。

『リボルバー・リリー』ポスタービジュアル
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

行定監督の作品といえば、いずれもがその年を代表し、長く愛される映画たちです。そんな彼の最新作の主演を務めたのが綾瀬はるかさん。2人がタッグを組むのは、2002年に公開されたオムニバス映画『Jam Films』内の一編『JUSTICE』以来のこと。実に約20年ぶりの再タッグです。

『リボルバー・リリー』
行定勲監督  (c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

2002年頃というと、綾瀬さんが俳優デビューを果たしてからまだ間もない時期であり、行定監督がまだ気鋭監督の1人であった時期。俳優として、監督として、それぞれにキャリアを積み上げてきた2人が、ここでまた手を取り合っているのです。

さまざまな思惑と運命が交錯する、激動の時代の物語

時は大正13年。物語の舞台は関東大震災から1年が経とうとしている東京です。

歓楽街・玉の井にあるカフェ「ランブル」のオーナーである小曾根百合(綾瀬)は、旧知の仲である人物が一家惨殺事件を起こしたという報が気にかかり、たった1人で現場の秩父へ向かいます。

『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

現場の妙な様子に納得がいかない彼女は帰路につくものの、列車の中で軍人に追われている少年と出会い、彼を助けることに。少年は一家惨殺事件から逃れた人物なのでした。

『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

彼は父親から大切なものを預かり、これを誰にも手渡すまいと必死になって逃げています。聞けば父親からは、“玉の井の小曾根百合という人物”のところへ行けと言われたらしい。

「S&W M1917リボルバー」を手にし、次々に軍人たちを叩きのめす彼女こそがその小曾根百合なのだと、やがて少年は知るのです――。

長谷川博己、ジェシー、豊川悦司……力作に集った華々しい面々

綾瀬さんが演じる小曾根百合とは、「幣原機関」というスパイ養成機関で特別な訓練を受け、「幣原機関の最高傑作」とまで言われた存在。彼女を取り囲む役どころには、華々しい面々が揃っています。

『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

実戦において力を発揮する百合の協力者であり、知識の面でサポートする元軍人にして弁護士の岩見という人物を演じているのは長谷川博己さん。銃撃戦や肉弾戦など活劇シーンの多い本作において、彼はクールでシリアスな演技を展開し、作品全体の印象を引き締めるポジションを担っています。

『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

ずっとアクション続きだとついていけない観客だって出てくることでしょう。けれども彼の存在が、観客の注意を引きつけたり、はたまた逸らせたりする。サスペンス映画の側面も持つ本作で、非常に重要な役割をまっとうしているのです。

『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

物語のカギを握る少年・細見慎太を演じているのは、羽村仁成さん(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)。まだ10代半ばながら、先輩俳優陣に怯むことなく好演を刻んでいます。このポジションは“大抜擢”だともいえますが、彼は子役出身者ということもあり、すでに多くの出演作を持っている。重要人物の役に選ばれるに相応しい経験を積んできているのです。

『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

そして、百合を囲む女性たちをシシド・カフカさんと古川琴音さん、「幣原機関」の百合の後輩にあたる謎の男を清水尋也さん、少年を執拗に追いかける冷酷な軍人役をジェシーさん(SixTONES)が演じているほか、佐藤二朗さん、吹越満さん、内田朝陽さん、板尾創路さん、橋爪功さん、石橋蓮司さん、阿部サダヲさん、野村萬斎さん、豊川悦司さん、さらには緑魔子さん、鈴木亮平さんらが出番の多寡に関わらず、重要人物を演じています。

『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚
『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚
『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚
『リボルバー・リリー』場面写真
(c) 2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ
写真17枚

男性ばかりのこの面々の中心に立つのが、“ダークヒロイン”ともいえる小曾根百合役の綾瀬はるかさんというわけです。

関連キーワード